「最後の家族旅行」をコンセプトにFCを開始/メモリア

トレーラーハウスを利用したこだわりの空間


メモリアホールディングス

岐阜県大垣市

松岡 泰正 会長兼社長(56) 


岐阜内に16拠点の葬儀場を構えるメモリアホールディングスが、全国FC展開に乗り出した。同社が採用するのはトレーラーハウスを利用した葬儀場で、葬儀規模の縮小ニーズに合わせた家族葬のプランとなっている。同社の松岡泰正会長兼社長に、チェーン展開での勝算について聞いた。

(ビジネスチャンス4月号より)

松岡 泰正 会長兼社長(56) 

PROFILE:まつおか・たいせい■1965年生まれ。国立岐阜工業高等専門学校を卒業後、両親の営む浄化槽メンテナンス会社に入社。2000年に新規事業として葬儀会社をゼロから立ち上げ、わずか十数年で葬儀専門業者としては岐阜県最大級の企業に育て上げた。戦略やマーケティング、会計などの研究と実践により独自の経営論を構築する。現在は同業者向けの勉強会も主催しており全国20社以上に経営指導を実施している。



「この機会にしか知れないことがある」

叔父の葬儀に感銘を受ける



――御社は2000年に創業され葬儀事業を展開されていますが、創業にはどのような経緯があったのですか。


松岡 創業以前は実家の家業で「浄化槽点検業」を行っていました。浄化槽とは下水道が無い地域に水洗トイレを付ける時に必要なものなので、下水道が通れば必要なくなります。次第に地元でも下水道が整備されることになったため、家族で新規事業を探し始め目を付けたものが葬儀事業でした。それが1990年頃の話で、まずは弟が葬儀会社で修行することになりました。

 弟が修行を始め10年ほど経った時に、その葬儀会社で父の弟、つまり叔父のお葬式を行ったのです。その時なんと800名もの人が参列してくれ、中には俳句や詩吟を手向けてくれる人がいました。私はその時に初めて叔父が地域の有力者の会社で社長を任され、俳句や詩吟など様々な活動をしていたことを知ったのです。

 お葬式で叔父の人望の厚さを知り、こういう機会でなければ知れないこともあると思いました。起業するのに勇気が出ず時間が掛かっていたのですが、この体験が大きな決め手となり、「亡くなった方とご家族中心の温かいお葬式をやりたい」と創業することになりました。



トレーラーハウス型式場の外観 

――今回新しくトレーラーハウス型の葬儀場を展開されるということですが、どうしてトレーラーハウスを利用することにしたのでしょうか。

松岡 この葬儀モデルは1年ほど前から取り組み始めたのですが、コロナになって参列する方が激減したことがきっかけでした。私たちが葬儀事業を始めた2000年頃は、地元のの岐阜県でも参列者が120名〜150名ほど来ることが一般的でしたが、コロナ前には15名〜20名になり、このコロナ禍で平均10名以下にまで減少しました。家族葬や密葬という小規模な葬儀を求める人が全国的に増えてきて、今までの葬儀場のサイズが合わなくなってきたのです。

 そのためコンビニを改装して葬儀場にしてみることも試してみたのですが、やはり葬儀には建物の雰囲気がとても重要になるので、コンビニの雰囲気が残る所では難しいという結論に至りました。

 そしてその時に、トレーラーハウスの利用を思い付きました。トレーラーハウス3棟をコの字型に置けば中庭ができて、小洒落た雰囲気を作ることができるのではないかと。通常の建築物で中庭を作ろうと思うと莫大なコストが掛かりますが、トレーラーハウスなら簡単にできます。さらに通常の葬儀場は一度建てると再生不可能ですが、トレーラーハウスであれば撤去も比較的簡単にできるというメリットがあります。


――なぜ葬儀場は一度建てると再生不可能になるのでしょうか。

松岡 たとえばレストランがあって、それを葬儀場に改築することはできても、葬儀場からレストランに改築することはできません。どうしても「元葬儀場」というイメージが強く、心情的にその後の建物を使おうと思う人がいないからです。使わなくなった葬儀場は撤去するしかなくなりますが、試験的にやってみたコンビニ改装モデルの施設(相談サロン兼法要式場)の撤去にも2000万円ほどの費用が掛かりました。その点、トレーラーハウスであれば設置も撤去も簡単にでき、リユースが可能です。場合によっては本部で買い取ることも可能です。



独自の集客ノウハウ提供

スーパーバイザーの手厚い指導も



――葬儀場の概要は。

松岡 私たちが展開するトレーラーハウス型式場は「最後の家族旅行」をコンセプトとしており、内装設備は高級リゾートホテルのような雰囲気作りをします。標準モデルではトレーラーを3棟使用、土地の坪数は250坪以上であれば出店が可能です。加盟金は300万円で出店許諾料が200万円、研修受講料は80万円となっています。ロイヤリティは売上の3%で、10年間加盟契約です。

内装は高級リゾートホテルをイメージ

 それ以外の初期投資は、トレーラーハウス型式場の「買い取り」と「レンタル」の2パターンがあります。買い取りの場合、トレーラーハウス3棟の内装・家具付きで6550万円、サインや整地・造成、電気・ガス・上下水道の引き込みなど諸々の費用を含めて8250万円程となります。またそれ以外に、運転資金として別途1250万円ほど必要です。レンタルの場合はトレーラーハウス代が不要になるので、約1700万円と運転資金2000万円で起業することが可能です。

 

木目調であたたかな雰囲気のヴィラ棟

トレーラーハウスは基本的には車両という扱いですが、自治体によっては建築物として判断されるケースもあります。その場合はトレーラーハウスの下に基礎を作る等の対応が必要です。基礎を作る場合は、建築確認も含めて540万円ほど費用がかかります(自社実績)。




――収益モデルは。

松岡 葬儀単価80万円で月間受注が10件を目安とし、年間売上高は9870万円ほどを見込んででいます。償却前営業利益は買い取りの場合で28%程度、レンタルの場合は21%ほどを想定しています。月間に6、7件で損益分岐点を超える計算です。

 また当社は、2000年創業当初から会員制度を作り、会員プランに合わせた割引を行い独自の集客方法を確立しています。地域の方との繋がりを作っていく長年のノウハウを持っているので、受注件数を徐々に上げることができ、開業後数年で月10件の受注は見込めます。各自治体で人口の推移を発表しているので、そこを見れば年間の死亡者数の予想が立てられますし、人口の高齢化もあって2040年をピークに今後も需要は増え続けるでしょうね。


――理想とする葬儀を行うためには、スタッフの教育も重要になってくるかと思います。

松岡 オープン前に3カ月間当社で研修を受けてもらう予定です。葬儀の受注の仕方や式のあげ方、接客方法などを直接指導します。また開業後1カ月間は本部のスーパーバイザーが現場に張り付き、研修で指導したことが実践できているかを確認しながらサポートします。思い出を語り合う温かい最後の家族旅行を提供するため、加盟店のサポートにも全力を注いでいきたいと思っています。








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