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【連載 第9回】~市場を押さえたパッケージづくり~南部の兵法

公開日:2024.02.14

最終更新日:2024.04.12

※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

加盟検討者が最終決定をするポイントとは【第9回】

ディーセント・スタイル 南部 晃舗 社長(46)

 フランチャイズ業界で本部構築・開発のコンサルティング事業を展開するディーセント・スタイルの南部晃舗社長。手掛けた企業は飲食、リサイクル、フィットネス、小売、福祉、教育など70社を超える。「売れる」業態とは何か、強い本部作りについて解説する。

 前回、フランチャイズ募集を始めるには自社で展開している業態をパッケージ化する必要があるとお伝えしました。加盟検討者は様々な情報をもとに業態選定を行いますが、中でも最終的な意思決定に関わる項目があります。それは、①初期投資額②投資回収期間③月次営業利益額の3つです。もちろん、企業理念や経営ビジョンなども重視する検討材料ではありますが、パッケージとして見た場合には、この3項目の重要性は極めて高いものです。では、それぞれどのような状態を目指すといいのでしょうか。

最重要3項目

①初期投資額
 初期投資金額の大小は加盟開発に大きく影響を与えます。当然、初期投資額の大きいものは大・中規模企業など、それなりに資本力のある会社しか検討することができません。初期投資額の小さいものは個人事業主や中小零細企業なども加盟検討が可能になるパッケージとなります。つまり、加盟開発時のターゲット母数が大きく変動します。下の表を参考にしてください。
 自社業態の初期投資額がいくらであるかを明確にした後、ターゲット母数が増えるように初期投資額の設定を再度検討してみても良いと思います。

②投資回収期間
 加盟検討者は初期投資をどれぐらいの期間で回収できるのかを重視しています。投資回収期間が長いほど投資リスクが継続するということですので、より短い回収期間が実現できる業態に魅力を感じます。
 業態や規模により投資回収期間の妥当性は違います。ライフサイクルが短い業態や制度、ビジネスは18ヶ月から24ヶ月以内。大箱の業態やライフサイクルの長い業態では30ヶ月から48ヶ月以内での投資回収を一つの目安とすると良いと思います。ただし、競合と思われる業態より投資回収期間が短くなるよう、ブラッシュアップする必要はあるでしょう。

③月次営業利益額
 毎月どれぐらいの利益額が残るのかで、加盟ターゲットが変わります。例えば、毎月の営業利益額が40万円程度の業態の場合、加盟検討者は脱サラや個人事業主などの個人オーナーが中心となります。法人の加盟検討者を募集したい場合、営業利益額が60万から80万円程度残るような業態を作る必要があります。資本力の大きな企業や大箱の業態を検討する法人の場合は、営業利益額を月額100万円以上求めるところも存在します。自社業態の月次営業利益額が狙うべきターゲット像と合っているか再確認しましょう。なお営業利益率で考えた場合、業態規模にもよるので一概には言えませんが、ロイヤリティなどを差し引いた状態で15%以上残るのが望ましいと言えます。
 以上、3項目について、自社で業態を見直してみるとよいと思います。また、常にこの視点を念頭に置いて業態をブラッシュアップし続けることが、本部として展開していく上で重要なことだと思います。
 次回はスピード展開に対応できる仕組み作りについて解説します。

Profile なんぶ・あきお
愛知県名古屋市出身。1977年生まれ。明治大学商学部卒業後、日系コンサルティングファームにて、飲食・サービス・小売など様々な業界の診断・改善コンサルティングに従事した後、2004年独立。2社設立・売却を行った後、2008年に株式会社ディーセント・スタイルを設立し、家系ラーメン「町田商店」や800拠点を超えるデイサービス業態などの本部構築をはじめ、飲食・サービス・小売・福祉など上場企業を含めた様々な業界・業態に対するチェーン本部支援を行なっている。

 

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