【リックプレイス/前編】メガジーならではの立場で本部を目指す

公開日:2023.02.02

最終更新日:2023.02.06

※以下はビジネスチャンス2021 年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

裸一貫の創業から16年で107店舗に

メガフランチャイジーと一口に言っても、そのバックボーンは様々だ。多くの場合が事 業基盤や資本を持つ法人の新規事業として始まり、拡大させていくケースだが、中には創業からフランチャイズ一本でスタートし、メガフランチャイジーへと成り上がるケースもある。大手企業の花形営業マンからパチンコ屋の店長に転身し、フランチャイズと出会って独立したリックプレイスの石塚信司社長は、まさにその一人だ。創業16年で16業態・107店舗を出店する国内有数のメガフランチャイジーの半生を追った。 

 

聞き手:本誌編集長 中村 裕幸

(ビジネスチャンス2021年12月号「メガフランチャイジー半世紀」より)

                  石塚信司社長(56)

Profile◉いしづか・しんじ

1964年12月、名古屋市生まれ。83年4月に明治大学経営学部に入学。87年4月にセコム株式会社へ入社し、営業職に従事。その後91年11月に、有限会社中央遊技場(現:セントラックス株式会社)へ入社。同社のパチンコ店の店長として働く傍ら、新規事業としてFC事業を立ち上げる。その後社内独立を機に、株式会社リックプレイスを2004年11月に設立。「ITTO 個別指導学院」のフランチャイジーとして展開を始め、最盛期で97校舎を展開。現在も学習塾を柱に、多業種で事業を行う。

 

世の経営者には、家業を営む親の背中を見て社長を目指す人も多い。多分に漏れず、石塚氏の原点も経営者だった父親の影響が大きかった。小学5年生の時に書いた将来の夢の作文は、ホテル経営。子どもながらに目指した夢は、強い思い入れがあったという

経営者の原点は親の背中

 

―石塚さんが経営者を目指したきっかけは、社長をしていたお父様の影響だと伺いました。

 

石塚 実は、僕はいわゆる二号の子だったので、親父が実家に帰ってくることが多くありませんでした。それでもたまたま帰って来た時に、家族サービス的な感じで年に1、2回、大きなホテルに連れて行ってくれるわけです。そこにはボーリング場やゲームセンター、プールや遊園地なども併設されていて、レストランで食べるご飯も美味しい。とにかくみんな楽しそうにしていたのです。親父が帰ってきてくれたことの喜び、そしてその時にだけ味わえる非日常の空間が非常に楽しくて、そんな楽しさ溢れる世界を作れたら面白いなと思った のです。

 

―経営者の原点はそこから来ていたんですね。

 

石塚 一方で僕は父親の会社を継げるわけないので、「本家に負けねえぞ!」といったハングリーさというか、バネはすごく強かったと思います。

 

―新卒で入社した会社は警備会社のセコムです。なぜこの会社にしたのですか。

 

石塚 私が入社した1987年は、1人の学生が10社から内定をもらうような時代でした。私もたくさん内定をいただいていたのですが、親父が「お前、社長やるんだったら完全歩合の営業会社でやった方がいい」と。セコムを選んだのはそこでした。当時はバブル期でビルがバンバン建ち、警備の仕事も増えていたのです。ただ入社後に知ったのが、セコムは営業がめちゃくちゃ厳しくて新卒は回されないということでした。

 

―それでは、営業職には就けなかったのですか。

 

石塚 それが運良く回していただきました。きっかけは当時、セコムが社内でアメリカ留学生を募集していて、それに応募したことです。英語論文を提出した上で面談やディベートを何度も行い、最終的に創業者(現:取締役最高顧問)の飯田亮さんと面談させていただくことができました。その時に、「石塚、お前は営業やれ」と。結局、僕らの年は同期が200名いたのですが、アメリカに留学できたのが4名で、その内営業は私ともう一人だけでした。

 

―いわゆるエリートコースだったと思いますが、その後わずか3年で会社を退職してしまいます。

 

石塚 営業を極めたかったので、仕事自体はすごくやりがいもあり、それなりに成果も出していました。ただホテル経営と言っていたぐらいですから、ちょっと別の世界も見てみたいと思うようになったのです。具体的にはBtoCの仕事。セコムで培ったBtoBの営業は何となく分かったので、次はBtoCに行こうと。その時、たまたま声を掛けていただいたのが、中央遊技場(現:セントラックス)の山田欣一専務(現:社長)でした。

釘師10年、与えられた新天地

石塚氏が転職した中央遊技場は、都内でパチンコホールを複数運営する企業。前職時代に石塚氏が顧客として開拓した先の1社であった。セコムでBtoBの営業を学んだ石塚氏にとって、BtoCの事業は魅力的なものだった。そして将来のホテル経営に向けて新たに勉強を始める中、フランチャイズビジネスと出会う。

苦労の日々の中、経営者としての素養を積んだ

 

―前職の取引先に転職されたということですが、決め手は何だったのですか。

 

石塚 将来的にホテル経営をしたいとお話ししましたが、中でも僕はカジノをやりたかった。ただ日本ではカジノはできなさそうなので、同じアミューズメントのパチンコならそれに近いし、面白い。勉強になると思ったのです。

ただ入社後は大変でした。店長として日中働き、23時に閉店してからは毎日釘師として2〜3時間台の調整をする。台の入れ替えの時なんかは朝までやっているわけです。努力の大切さは十分に学びました(笑)。

 

―ただその生活も10年が過ぎて解放というか(笑)、新たなミッションを課せられるわけですね。

 

石塚 今思うと、社長も「石塚をパチンコ屋の店長にしておくだけではもったいない」と思ってくれたのだと思います。その時に初めて、「お前、新規事業を探してこい」と。

 

―それがフランチャイズとの出会いだった。

 

石塚 いえ、最初はフランチャイズに限定していたわけではなく、僕の友達が経営している個店の焼き鳥屋さんや居酒屋に話を聞きにいったりしながら情報収集をしていました。でも聞けば聞くほど、彼らがやっているような事業はうちでは難しいと思うようになったのです。

 

―それはなぜですか。

 

石塚 私が考えた新規事業は、そのために社員を雇うというものではなく、今いるパチンコ店の人材をジョブローテーション的に活用したいというものでした。ただそう考えた時に、私の友人がやっているような自社業態を彼らができるかというと…。

私も友人らと話をして、「確かにあいつは昔から飯が好きで器用だったなぁ」と思い出しましたし、そんな生き道を知った人でも大変だと言っているわけですから。それをゼロからやっていくのは厳しいと思い、フランチャイズを探すことにしたのです。

 

―なぜ社内の人材活用にこだわったのですか。

 

石塚 パチンコの仕事は大変ですし、やりがいも感じづらい。だからこそ、新規事業を通じてやりがいを持ってもらい、今いる人材を離職させないようにしたかったのです。なぜやりがいが持てないかというと、パチンコ屋というのは社員に売上・利益を一切公開しません。知っているのは店長だけで、ナンバー2といっても一つの列の機種を扱う程度です。そうなると面白味というのは限界があるのです。

 

―そして2000年8月に、念願のフランチャイズとしてオープンさせたのが「牛角」でした。

 

石塚 外食以外にサービス業なども見ましたが、候補には全く挙がりませんでした。というのは、元々新規事業で行かせる社員が決まっており、彼らが最初にやりたいと言ったのが飲食だったからです。それで飲食だったら何にするかとなった時に、牛角だねと。牛角については説明会や店舗視察も行ったのですが、もうインスピレーションに近いものがありました。

 

―出店初月から月商1800万円を記録し、大ブレイクしました。

 

石塚 牛角はロジック的に勝つべくして勝った。肉の質も良く、店舗の雰囲気もジャズが流れたお洒落な内容で、接客もダウンサービスといって跪いて接客する。それまでの焼肉屋は、肉も漬けダレみたいなものに漬けた肉で、店内も煙がモクモクしているし、店員もちょっと横柄なところがあった(笑)。当時教育を受けたのは、この食材と店舗の雰囲気と接客サービスのそれぞれを客単価1000円分に強化する。そうすればその三本柱で客単価3000円をいただけるというものでした。

 
 

1号店目から火を噴いた牛角ブランドは、最盛期で7店舗となる。ただその一方で、他の外食ブランドは牛角ほどのインパクトはなく、20店舗ほどを運営していたが苦労も多かった。そこに来て、本業のパチンコ店にも向かい風が吹く。当時専務と外食事業部長を兼務していた石塚氏は、本業と新規事業の建て直しに奔走しながら、改めて自身を見つめ直す。

後編へつづく

 
 
 
 

 

 

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