【連載 第10回】~市場を押さえたパッケージづくり~南部の兵法
公開日:2024.04.13
最終更新日:2024.08.08
※以下はビジネスチャンス2024年6月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
スピード展開に対応できる仕組み【第10回】
フランチャイズ業界で本部構築・開発のコンサルティング事業を展開するディーセント・スタイルの南部晃舗社長。手掛けた企業は飲食、リサイクル、フィットネス、小売、福祉、教育など70社を超える。「売れる」業態とは何か、強い本部作りについて解説する。
フランチャイズモデルで展開する場合、FC本部は加盟店をスピーディーに拡げていく必要があります。ノウハウの蓄積スピードが店舗数の増加により格段に上がるからです。その際、本部における業務フローの標準化及び効率化は大変重要です。検討者が加盟を諦めてしまう、契約はしているが出店できないといった問題が起こらないようにするためです。加盟から出店までの業務を生産ラインと見立て、それぞれの業務が流れ作業のように進む業務体制の構築を行うことで、スピード展開に対応できる本部となります。
スピード展開に必須な5項目
加盟契約から出店までの流れの中で、スピード展開に影響を与えるポイントは次の5つです。
①加盟開発体制
営業と資金調達に対応する体制が必要です。問い合わせに素早く対応する専任営業マンの配置や、どこでも開催が可能なウェビナーの導入、契約内容に対する深い理解、契約までの業務フロー標準化といった仕組みを整えましょう。資金調達においては、金融機関に提出する資料や面談時のQ&Aの準備が必要です。外部専門家と連携し、スムーズかつ確実な資金調達を目指します。
②物件開発
エリアに関係なく物件情報を収集できる体制にすることで、契約から出店までがスピーディーに進みます。出店検討エリアの物件情報をスムーズに収集できるネットワーク構築、既にネットワークを持つ大手不動産業者とのアライアンスや、出店条件を見直すサイクルを作ります。
③採用スキーム
採用原稿の標準化、出稿媒体の選定やスキルのいらない業務設計など、マンパワーに頼らないオペレーション設計が必要です。
④店舗施工業者ネットワーク
全国、どのエリアに出店したとしても、同一品質の施工が行える業者ネットワークを確立します。設計から施工までの業務フロー標準化のほか、施工単価もある程度均一になるようにします。
⑤仕入れ・物流ネットワーク
出店希望エリアが取引中の物流業者の配送エリア外だった場合、新たな物流業者を探して構築することになり、出店スピードは遅くなります。全国対応できる物流ネットワークをあらかじめ持つことで、全国出店に対してスムーズに対応することができます。
規模が小さい本部の場合、契約から出店まで加盟店サポートをスタッフ1人で担当することもあるかと思います。スピード展開を目指すのであれば、なるべく早いタイミングでそれぞれの役割ごとに本部スタッフを揃えるようにしてください。
次回は、チェーンが拡がる仕組みについて解説します。
Profile なんぶ・あきお
愛知県名古屋市出身。1977年生まれ。明治大学商学部卒業後、日系コンサルティングファームにて、飲食・サービス・小売など様々な業界の診断・改善コンサルティングに従事した後、2004年独立。2社設立・売却を行った後、2008年に株式会社ディーセント・スタイルを設立し、家系ラーメン「町田商店」や800拠点を超えるデイサービス業態などの本部構築をはじめ、飲食・サービス・小売・福祉など上場企業を含めた様々な業界・業態に対するチェーン本部支援を行なっている。
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