【後編】海外でもっとも成功したラーメン店 /味千拉麺

現地のパートナーのやる気を損ねない柔軟性が大事



重光産業

熊本県菊池郡

重光克昭社長(53)



今年フランチャイズ事業開始50周年を迎えた老舗ラーメンチェーン「味千拉麺」。

中国やマレーシア、シンガポールなど、東南アジアやヨーロッパにも積極的に進出しており、海外では日本発の外食系FCとしては最多の734店(本誌調べ)を展開する。

 創業者である父からバトンを引き継ぎ、「味千拉麺」を日本を代表するチェーンに育て上げた重光克昭社長に話を聞いた。


前編はこちらから

(ビジネスチャンス2022年2月号より)


重光 克昭社長(53)

 

中国とシンガポールでは加盟店が上場


海外でも行列ができる人気ぶり


―現在は、中国を中心に、海外で734店舗を展開しています。最初の海外進出こそ失敗に終わりましたが、その後は着実に店舗数を増やされています。うまくいった要因は何でしょうか。

重光 大事なのは柔軟性だと思います。日本のフランチャイズは何でもかんでも型にはめたがるというか、締め付けを強くする傾向がありますが、海外にいったらこのやり方は通用しません。もちろん、味の部分など、絶対に守ってもらわないといけない部分もあるのですが、それ以外の部分、例えば店舗の運営方法であったり、新メニューの導入方法であったりといったところについては、現地の方の裁量に任せてしまった方が案外うまくいきます。中には、オリジナルのメニューの提供を認めているケースもあります。


―日本人は勤勉で実直な方が多いので、逆に締め付けは厳しい方が合うのかもしれません。国民性に合わせた対応が求められるということですね。

重光 そうですね。日本人の勤勉さはもちろん素晴らしい部分ではあるのですが、その反面、個性はあまり感じられません。逆に海外は、自分達のやり方でやっている部分があるので、同じチェーンのお店でも、それぞれ個性が違いますよね。


―他にも海外展開が成功した要因はありますか。

重光 ロイヤリティの部分も大きいと思います。うちは非常に低くて、固定で1000ドルに設定しています。日本円だと約10万円です。


―固定だと、稼げば稼ぐほど儲かるのでやる気が出ますよね。最初から固定でやっているのでしょうか。

重光 いえ、もともとはパーセンテージでやっていましたが、海外に出るタイミングで変えました。知名度のない場所でやって頂くわけですから、少しでもオーナーに利益を出してもらわないといけませんからね。それに儲かると分かれば2店目、3店目も出してもらえます。



海外のパートナー企業2社が 「味千拉麺」で上場



―海外店舗の多くは中国に集中しています。次に多い国はどこでしょうか。

重光 シンガポールですね。ジャパンフード・ホールディングスという会社で、日本人の高橋研一さんという方がオーナーをされています。非常にがんばってらっしゃっていて、現在「味千拉麺」を14店舗出店されています。他にも、「麺屋武蔵」や「大阪王将」など、いろいろな日本の外食チェーンに加盟されています。今はシンガポールで上場もされています。


―高橋社長はどのような経緯で「味千拉麺」に加盟されたのでしょうか。

重光 大手の電機メーカーの社員としてシンガポールに駐在していた際に、現地の将来性にビジネスチャンスを感じて起業されたそうです。我々のチェーンに加盟されたのは、当時、現地に美味しいラーメン店がなかったからだと聞いています。スタートはいろいろうまくいかなかった部分もあったようですが、すぐに経営を立て直し、その後は右肩上がりで成長を続けておられ ます。その手腕は、見事と言う他ありません。


―日本の方が海外で成功してメガフランチャイジーになったわけですね。先述の中国のパートナー企業も含め、「味千拉麺」で上場した会社が海外に2社もあるというのは驚くべきことです。 

重光 「本部は何してんだ」と言われないように、我々ももっとがんばらないといけません(笑)


―フランチャイズを50年やっておられると始めた当初と比べると、仕組みや内容はだいぶ変わったと思います。

重光 私が入社した当初は、契約内容が非常に緩く、自由度の高いフランチャイズになっていました。もちろん良い面もいろいろあったのですが、どちらかというと悪い面の方が目立っていました。それで社長になってしばらくした2000年から1年ほどかけて契約の見直しを行いました。具体的には、食材の仕入れ先を勝手に変えたり、あるいは店舗が老朽化しているのに全然リニューアルしてくれない加盟店がいくつかあったので、是正してくれるように頼みました。契約解除も含め、いったんすべて整理しました。


―古いオーナーも多いでしょうから、 反発もかなりあったのではないかと思います。

重光 ちょっとやりにくかったですね。ときには私も出ていって交渉にあたりました。今も大手の本部と比べれば契約内容はだいぶ緩いとは思いますが、ブランド全体の統一感は以前よりも格段に上がりました。


―2000年以降、海外も含めた店舗数はずっと増加傾向にあります。

重光 海外と比べると国内店舗の増えは少なめですが、それでも毎年コンスタントに出店を続けています。来年に入ってからも1店舗、新規の出店が控えています。一方で海外の方は、これまで通り各地のパートナーにがんばってもらいつつ、オファーがあれば新しい国にも積極的に進出していきたいと思っています。中国についてはパートナー企業が現地で加盟募集も行っているので、これからまだまだ増えていくと思います。


―競争の激しいラーメン業態を50年続けるのは並大抵のことではありません。

重光 一昔前は、チェーン同士の競争というのが割と目立っていたと思います。ところが最近は、フランチャイズよりも創作的なラーメンの人気が非常に高い。それだけラーメンという食べ物が支持されていて、お客様の嗜好も変わってきているということでしょうね。我々にとってはそういう個人店もライバルなわけですから、競争はますます激しくなっていくでしょう。これからも流行りも取り入れながら、熊本ラーメンの特徴というものをしっかり出してやっていきたいですね。


―さらに50年続けていくために取り組んでいることがあれば教えて下さい。

重光 何年も前から言われていることではありますが、食の安全性はこれからますます重要になっていくと考えています。我々もそうした状況を踏まえ、4年前に製造工場を新設し、今まで以上に安全で美味しいものを提供できる体制を整えました。もちろん、食材を供給するだけでは駄目で、実際にそれを調理して提供する店舗への指導、そして空間造りにも気を遣っていく必要があります。その上で、フランチャイズにとって一番大事な本部と加盟店との信頼関係を築き上げて行ければなと思っています。


4年前に新設した製造工場

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