経営者が知らないとマズイ業績を上げるためのファイナンスの裏ワザ 

更新日:11月10日

(ビジネスチャンス2019年10月号より)


山口真導 社長

アカウンタックス 代表取締役社長

山口真導氏


公認会計士・税理士。経理代行のアカウンタックス代表。ビズ部・部長。債権の入金確認や振込業務を含む、経理の全機能を提供し、キャッシュ・フロー改善に貢献している。毎月開催する節税セミナーには多くの経営者 が参加して好評を博している。




融資を引き出しやすくする 

書類作成のコツ


先輩経営者から銀行は融資をしてくれないという愚痴を聞いたことがありませんか?

不思議なもので、こうした愚痴がアチコチから聞こえてくるにも関わらず、銀行対応のやり方を変えたという話は聞きません。

例えば、取引銀行を変更しても、銀行対応の方法を変えなければ、そのうち、また同じ不満を持つことになります。それは、融資の可否は銀行の問題ではなく、銀行の担当者の問題だからです。

 根本的に改善したければ、どんな担当者が相手でも融資を受けられるようにすることです。そのための魔法のツールとして融資依頼書を紹介したいと思います。



融資は書面で依頼する


 そもそも、銀行に対する不満の発生源は、社長自身は融資を受けるに相応しい会社だと思っているのに、融資が受けられないことです。つまり、銀行が会社の実力を正しく理解できていないということです。そこまで解ったら簡単です。

 あとは融資に相応しい会社であることを、口頭という不安定な状態ではなく、書面でキッチリ確実に伝えるだけです。その書面に何を書く必要があるかを具体的に説明していきましょう。



融資依頼書に書くべき内容

融資依頼書に書くべき内容は次のとおりです。


① 融資依頼内容


(1)借入希望額

借入希望額額に遠慮は無用です。希望額を臆せず記入しましょう。


(2)借入希望日

資金が間に合わないと困るので、実際に資金が必要な1週間前ぐらい前の期日を借入希望日として書きましょう。とくに希望日が無い場合は、だいたい1カ月後を記入すると良いと思います。審査には、早ければ2週間程度かかりますが、通常は1カ月程度かかることが多いからです。


(3)借入希望期間(又は返済希望月額)

借入後、完済までにどのくらい期間を要するかを記入します。しかし、何年で返済するかという話よりも毎月どれぐらいの金額なら返済していけるかの方が現実的な場合も多いと思います。その場合は、返済希望月額を記入するのも良いでしょう。借入金の返済と同時に利息の支払も必要なので、返済希望月額を記載することで、銀行側で複雑な計算をし借入希望期間を割り出してもらえます。


(4)借入条件(担保・保証人等)

保証人をつけるのか、担保を差し入れるのかを書きます。好き好んで担保や保証人を付ける方はいないと思いますので「保証人・担保なし」という記入で大丈夫です。但し、必ず叶えられるということではありませんのでご注意下さい。


(5)具体的な資金の使い方(資金使途)

設備資金の融資を申し込む場合は、設備投資に必要な額とその根拠となる見積書を、運転資金の場合は、資金繰り実績表を添付します。



② 事業所概要


(1)会社名

会社名を書きます。会社名を最近変更した会社は、信用情報を引き継ぐために旧社名も並記しましょう。


(2)住所

登記住所を記入します。登記住所と事務所所在地が違う場合は両方書きます。



(3) 設立年月日

会社を設立した年月日を書きましょう。設立後、他の会社と合併したなどの組織変更が あった場合は、沿革を記載します。


 ⑷ 従業員数 

役員数、従業員数を書きます。


 ⑸ 開業の経緯会社を開業した経緯について書ます。

社会的問題を解決するような事業をされている方は、熱く書くことをオススメします。


⑹ 理念・ビジョン

会社で定めたものがあれば、記載しましょう。 ⑸とダブるのであれば、両方まとめて一 つの項目にして下さい。


③ 事業の内容


⑴ 会社の特徴

他の同業者との「 良い意味での違い」をアピールできれば、融資に有利になります。


 ⑵ 提供しているサービス

自分たが得意先に提供している商品又はサービスについて、箇条書で列挙してください。可能であれば、各サービスに対する価格や過去の売上高も記載してください。商品パンフレットがある場合には、別紙として添付します。


 ⑶ 会社・提供しているサービスの強み

自分たちの会社や、提供しているサービスの強みを書きましょう。独りよがりな自慢話 にならないように気を付けて下さい。出来るだけ客観的に、具体的な強みを沢山書き出 して下さい。


④ 主なターゲット


⑴ 主要顧客とそのニーズ

得意先の属性(業種・業態・規模など)を明らかにすると同時に、彼らが自社に対して 、どのようなニーズを持っているかを書いて下さい。


⑵ ターゲット顧客とそのニーズ

これから取引したい取引先のイメージを、出来るだけ具体的に説明しましょう。そして、彼らが自社に求めているニーズを書き出してみましょう。


⑶ 顧客満足度を高めるために行っていること

既存の得意先が離脱していかないようにするために行っていることを具体的に書きましょう。


 ⑷ 新規顧客を獲得するためにおこなっていること

新規の顧客開拓として実施している施策を具体的に書きましょう。資金使途と関連するように書けると融資の必要性のアピールになります。


⑸ 顧客リスト

実際の顧客リストを提示しましょう。有名企業と取引がある場合はアピールすると良いでしょう。安定的な得意先を保有することが伝わることで、自社の継続性・安定性を伝えることができます。


⑤資金を借り入れることによる効果(売上増加・利益増加・人員確保等)


 融資が受けられた場合に、経営にどのようなプラスの効果があるのかを具体的に書きましょう。その効果が高ければ高いほど、返済可能性も高まるので、融資に有利に働きます。ここがヤマですので、じっくり考えて記入して下さい。依頼書を提出した後に、銀行からの質問が予想されるので、「なぜ、なぜ、なぜ」と突き詰めて検討し、出来るだけ詳細に記載してください。



⑥ 収支計画・資金計画


 ⑴ 売上計画票

毎月の売上計画について書きます。提供する商品又はサービスごとの内訳も明らかにして下さい。

 ⑵ 資金繰り予定表

月次の資金繰り予定表を作成して添付します。依頼した融資が受けられた場合の計画を作成して下さい。作成に不安のある方は会計事務所に協力してもらうと良いと思います。



融資依頼書を作成する理由


 融資依頼書を作成する目的は、審査担当者に自社の情報を正しく伝えることで、支店内の審査担当者や支店長の、正しい融資判断を引き出すことにあります。口頭で融資の依頼をするということは、営業担当者の記憶と印象に基づいて、融資稟議書が作成され、それを材料として融資の決裁が行われるということです。つまり、営業担当者の能力に依存した状態を、社長自らが作り出しているのです。


 融資依頼書を融資稟議書の作成担当である営業担当者に渡すことで、営業担当者は、稟議書作成の手間を大幅に削減することが出来ます。場合によっては、融資依頼書丸写しの稟議書が作成される可能性もあります。その結果として、自社の意図した情報が審査担当者や支店長に伝わり、正しい評価に基づいた必要な融資が「引き出される」のです。


 自分は変えられますが、他人は変えられません。銀行の悪口を言うことは、恥ずかしいことだということに早めに気が付いておくことをオススメします。



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