「ABホテル」ブランドで100店舗体制を目指す 支配人の業務委託方式等低コストモデルを確立

ABホテル(愛知県安城市)

沓名 一樹 社長(39)


スポーツクラブ運営で東証一部上場企業の東祥(愛知県安城市)のグループ会社として、全国に25店舗を展開しているABホテル(同)。同社は2017年12月に東証ジャスダック、名証二部上場を機に出店を加速し、この2年間で7棟をオープンさせた。中期経営計画でも年間5棟以上の出店で、100店舗体制を目指している。(※2020年4月号より)



沓名 一樹 社長(39)

くつな・かずき

1980年愛知県生まれ。2003年東祥に入社。2011年同社ABホテルホテル部長、分社後の2015年専務取締役を経て、2016年に代表取締役社長に就任。


全国25店舗展開し年間売上67億円

出張ビジネスマンが主要顧客

同社は2020年3月期の売上高は前年比121.5%の67億円、営業利益同124.9%の17億6100万円を見込んでいる。

主力ブランドの「ABホテル」は、平均客室数130室、出張ビジネスマン中心のいわゆるビジネスホテル。中心となるのは13㎡のシングルルームで、「Amenity(快適さ)&Bright(明るい)」という名前の由来通り、客室にはワイドダブルベッド、高級羽毛布団のほか液晶ワイドテレビを備え「快適な室内環境作りに注力している」(沓名一樹社長)。

コインランドリー、大浴場を併設し、朝食バイキングを提供する。平均単価は約8000円、稼働率は平均約80%。

東海エリアを中心に出店を進めてきたが、2019年には九州地方に初進出、4月に福岡県行橋市に126室の「ABホテル行橋」を開業。大阪・長野に1棟など計4棟を開業させた。2020年には7月の「ABホテル堺東」を皮切りに7棟、2021年以降も4棟の出店を計画している。

同社の出店戦略は、愛知県中心としたドミナント戦略。しかし、近年は全国エリアに拡大している。「出店地域は絞らずに需要を見込めるエリアを選定していく」(沓名社長)というが、基本的には製造業が多く、地方都市がメインになる。「東京はじめとする大都市圏は競争も激しいうえに、建築費も高い。敢えてこうした立地は避けて、競合も少なく、客単価6000円以上取れ、収益性の見込める地方の立地に力を入れていく」(沓名社長)という。

近年、ホテル業界はインバウンド需要獲得に力を入れているが、同社の比率は僅か3%。インバウンドは世界情勢に大きく左右される。そのため、同社はあくまでも、国内ビジネス客を中心に、「インバウンドに頼らないビジネスモデルを確立させていきたい」(沓名社長)。

実際、同社が出店するエリアは、地方・郊外ながら近隣に企業の工場や、研究施設が多い場所を狙っており、ビジネス客でも中期的に滞在するニーズも多いという。

出店は土地の購入、事業用定期借地、建物賃貸借の3つ。仮に130室の建物ならば、建築費は5億5000万万円程度で、客室単価6000円、80%の稼働率ならば売上は約2億3000万円、経常利益は35%を見込めるという。

「立地条件によっては取得も積極的に行っていきます。低金利の現状では、地方の土地を安く購入すれば返済計画も比較的立てやすくなる」(沓名社長)。

原則として、既存施設のリブランドを行わず、あくまでも更地に新築するスタイルだ。

2019年12月にオープンした「ABホテル大阪堺筋本町」

中期経営計画「サンサン計画」推進

経常利益率10%増の35%へ

同社はもともと東祥のホテル部門として発足し、第一号店をサンルートホテルのフランチャイジーとして、1999年11月にオープン。2005年より独自ブランドの「ABホテル」として多店舗化を進めてきた。

「東祥がスポーツクラブの出店用地を吟味する中で、郊外型のホテルとしてスタートさせたのが始まりです。8号店をオープンさせた2014年にABホテルとして分社化しました。これを機会に、単体としてマーケットから資金調達するために上場を目指したのです。上場以来、常に土地情報が入ってくるようになり、出店ペースが速くなってきました」(沓名社長)。

運営は低コストモデルを追求。支配人の業務委託方式や自動精算機等の設置により、競合他社より10%程度高い経常利益率25%前後を確保している。

支配人の業務委託制度とは、独立開業を希望する夫婦に対して、一定の研修期間後に業務委託費として支払うシステム。日々の稼働率によって評価し、正式にその店舗を任せるという仕組み。常に希望者がおり、最近はリタイヤしたビジネスマンやコンビニエンスストア経営者などの問い合わせが多いという。

基本的にフロントスタッフが館内にいるのは、6時~24時まで。夜間は本部がサポートする体制を整えている。

「仮に鍵をかけたままで入れないというトラブルに対しては、提携の警備会社に来てもらう。しかしながら実際はこうしたトラブルは年に数回あるかないか」(沓名社長)。

同社は2019年3月期から2021年3月期までの中期経営計画として「サンサン計画」を進めている。これは売上高79億円、経常利益20億円、店舗数37店舗4868室まで拡大していくものだ。

沓名社長は青写真を描く。

「年間5店舗以上、全国1000店舗体制を早急に確立させていきたい。運営面でも稼働率は最低でも80%は確保、経常利益率は35%にまで上げていきたい」。



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