【ボトルワールドOK】酒類の卸売から小売展開、そしてFC運営へ

公開日:2025.12.22

最終更新日:2025.12.18

※以下はビジネスチャンス2026年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

業務スーパー39店を介した複合出店で売上465億円を記録

 ボトルワールドOKは、奈良県を地盤にオリジナルの酒類専門店やスーパーを運営する企業だ。同社は神戸物産がFC展開する「業務スーパー」を主軸に、同社系列の総菜や弁当を販売する「馳走菜」、またスイーツ販売の「シャトレーゼ」や時間無人フィットネス「Life Fit」を運営するメガフランチャイジーでもある。母体となる桶谷ホールディングスは酒類の卸売からスタートし、小売事業やFC事業への参入、そして M&Aやホールディングス化など、年超の歴史で様々な変化を遂げてきた。

グループ9社の中核として小売業を展開

 ボトルワールドOKは、桶谷ホールディングスの中核企業だ。桶谷ホールディングスは、奈良を拠点にするグループ9社・社員500人以上・パート1800人超を有するコングロマリットだ。2024年月期のグループ売上高は684億円。そのうち465億円を占めているのが、オリジナルブランド及びFCで小売業を展開する同社である。

酒・食を中心に展開 近年は健康領域にも進出

 桶谷ホールディングスは、小売業を展開するボトルワールドOKと酒類卸売業の桶谷の2社を中核に、グループ9社で構成されている。
 ボトルワールドOKでは、酒類ディスカウントストアの「ボトルワールドOK」と「業務スーパー」を掛け合わせた「業務スーパーボトルワールドOK」を38店舗、業務スーパー店内に総菜や弁当を販売する「馳走菜」を20店舗、「シャトレーゼ」を2店舗、時間運営の無人フィットネス「Life Fit」を9店舗運営している。また、オリジナルブランドの酒類専門店「ボトルワールドOK」とスーパー「FRESH MART OKest」もそれぞれ1店舗ずつ展開する。
 桶谷は、同グループの祖業である酒類・飲料・調味料等の業務用酒卸業を行っている。関西でトップクラスのシェアを占めており、取引先は9000店舗以上。またEC事業も手掛けている。
 グループにはほかに、生鮮食品等の業務用卸売と小売を行うゼンキョウ、グループ全体の運送・物流を司るOBS、生チョコレート製造販売業のバーマンズ、埼玉を地盤に関東で業務用酒類卸を行う旭屋、同じく業務用酒類卸を富山・石川の北陸で展開する寿屋、自社ブランドの歯ブラシなどオーラルケア製品を中心に製造販売を行うライフレンジがある。
 同グループでは、ボトルワールドOKが展開する小売業によって「家庭の食卓に酒と食」を、グループ各社では業務用卸売によって「外食の楽しみ」と貢献してきた。近年は「お酒や食事を楽しむことができるのも健康があってこそ」という考えから、健康フィールドへと事業領域を拡大。「Life Fit」運営や前述のライフレンジ社の展開に繋がっている。
 2024年月期のグループ売上高は684億円。そのうちボトルワールドOKが465億円、桶谷が160億円と、中核2社の売上が90%以上を占める。

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関西を中心に出店する「業務スーパー ボトルワールドOK」

業務スーパー皮切りにFCビジネス参入

 2034年に創業100周年を迎える同グループ。戦前の創業から事業を変遷させながら、3代にわたって受け継いできた。2000年まで酒類販売を主軸としてきたが、2001年に「業務スーパー」のFCに加盟。現在では同ブランドFCで39店舗まで拡大した。

卸売から小売業、そしてFCビジネスへ業務スーパーFC募集開始翌年に参入

 同社の創業は1934年。大阪市で創業者の桶谷平八郎氏が「おきなや本店」という屋号で、奈良県吉野の実家で醸造した酒の販売を開始した。商いは順風満帆だったものの、戦争により会社は解散。同氏が戦地から帰国したのは1946年だ。資金封鎖により無一文になった同氏は「酒屋を再開したい」という想いのもと、「桶谷商店」を設立。地元では力のある酒販店があり、酒類販売の免許がなかなか下付されない中、菓子や飲料水の卸売をしながら、十数回にわたり免許の申請を行った。1963年、ようやく酒類販売免許を獲得した同氏は、酒類の卸売を再開したのである。
 1968年、当時25歳だった現会長・桶谷陸氏が経営権を託された。陸氏は1971年に業態を法人化し、1984年には社名を「桶谷」に変更。その間も営業所を各所に開設し、関西中心に酒類の卸売事業を拡大していった。
 1992年、同社は酒類のディスカウントストア「ボトルワールドOK奈良店」を開設した。これが後に、同グループの売上の約7割を担うことになるボトルワールドOKの起源である。
「ボトルワールドOK」は、当時ほかに同業がほとんどいなかったこともあり、大ヒット。これを受けて同社では奈良市内に次々と増店し、2000年には4店舗まで拡大した。ところが同業の増加に加え、酒類販売免許の緩和によりコンビニやスーパーで酒類を扱うようになり、店の経営は厳しくなっていったのである。「次の一手として、現会長が考えたのがスーパーとの併設です。自社にスーパー運営のノウハウはありませんでしたが、2000年に『業務スーパー』のFC募集を開始した神戸物産を、会長に紹介してくれた方がいました。実際に店舗を見学して本部の話を聞き、会長は『これだ!』と加盟を決めたそうです」(植鉢文人専務取締役)
 2001年4月、桶谷では「ボトルワールドOK 奈良店」の酒売り場を縮小し、業務スーパーを併設した「業務スーパーボトルワールドOK」1号店として開設。他の店舗にも順次、業務スーパーを併設していった。
「2003年から2008年が第一次出店期です。毎年1~2店舗の拡大を続けて、2007年には10店舗に到達していました」(同氏)
 2008年にはリーマンショックにより、一旦出店を停止。その後は2010~12年の間で3店舗出店する程度で、本格出店を再開したのは、2015年の同グループのホールディングス化以降となる。

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卸売から小売への転換となった「ボトルワールドOK奈良店」(92年オープン)

M&Aで拡大、ホールディングス化 事業会社化と同時に出店ペース加速

 同社では卸・小売を軸に、酒販会社や食品のM&Aによる事業拡大を続けてきた。2015年1月、グループを管理する親会社として桶谷ホールディングスを設立。業務用卸売事業を桶谷、小売事業をボトルワールドOKと、それぞれ事業ごとに会社を分離したのも同じタイミングである。
「M&Aでグループが拡大する中、勤怠や給与の部分など、それぞれの会社の方法が残っていたので、一本化していく必要がありました。また、当時は同じ会社で卸売と小売を行っていたので、市場の変化のスピードに対応していくためにも、事業ごとに分社化して経営のスピードを高め、且つ事業会社単位で責任と決裁の権限を明確化していく必要があったのです」(同氏)
 2015年の事業会社化を機に、ボトルワールドOKは積極的な出店へとシフト。出店戦略の1つが、リロケーションによるリニューアルオープンだ。コロナ禍の2020年以降は、FC参入当時にオープンした店舗が開店15年から20年を迎えるタイミングであった。初期の店舗は小型タイプで、設備の老朽化も進んでいた。
「関西では1カ所で青果、精肉、鮮魚も含めて食材全てを買える店舗への需要が高まっていました。そこで小型店や老朽化した店舗を閉め、近くに大きな店舗をリニューアルオープンするよう強化しました」(同氏)
 現在「業務スーパーボトルワールドOK」は、同じ屋根の下に「ボトルワールドOK」、FC展開の「業務スーパー」、専門会社へ業務委託している青果・精肉・鮮魚の生鮮3品(そのうち一部店舗の青果店をグループ会社のゼンキョウが運営)が居並ぶ形を主流としている。そのうちの複数店舗では、神戸物産FCのお惣菜・お弁当の「馳走菜」も併設。売場面積を拡大して展開を広げている。
 同時期からは関西を飛び出し、九州エリアへの進出も開始。2021年の久留米での出店を皮切りに、福岡、熊本で合計7店を出店した。「企業としての成長を考えると、関西以外にも進出したいと考え、出店余地のある九州を選びました。飛び地になると、1~2店舗の営業では店長任せになってしまい管理が行き届きません。そのため、10店舗体制を構築し、九州で拠点化しようと当初から決めていました。今は営業体制を盤石にすることを優先しています」(同氏)
 2024年以降は関西での店舗リニューアルに一定の目途がつき、新規出店を再開。現在、「業務スーパーボトルワールドOK」の店舗数は店舗に到達。業務スーパーのフランチャイジ―の中で店舗数は上位に位置する。同社では創業100周年を迎える2034年までに50店舗の展開を目標としている。

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ボトルワールドOK羽曳野店

食の多角化と健康領域への進出

 2015年のホールディングス化の2年後、2017年には桶谷晃弘氏が3代目社長に就任。同時に2代目の桶谷陸氏は会長に就任した。新体制となった同社では、近年事業の多角化を進めており、新たなFCブランドにも加盟。2024年からは、シャトレーゼやLife Fitでの出店も加速させている。

FCビジネスを多角化 シャトレーゼ、Life Fitに加盟

「創業90年を迎え、これから100周年に向けたフェーズに向かうにあたり、長年手掛けてきた『食』『酒』のフィールドで新たな新事業を展開し、成長を加速させたいと考えました。また働く従業員の活躍の場を広げる目的もありました。社員として入社し、店長、SV、エリア統括として頑張ってくれている従業員が次の成長ステップを築くためには、営業本部や増店に加え、新事業への挑戦もできる環境を作りたかったのです」(同氏)
 桶谷ホールディングスでは、酒類卸売や食品卸として全国の飲食店との取引がある。新規のFCビジネスを始めるにあたり、顧客と同業となってしまう飲食業は選択肢としてなかったという。あくまでも小売に特化するという方針の中、「食」「酒」のフィールドでまだ網羅していなかったのが、スイーツ領域であった。そこで同社が辿り着いたのが、業務スーパー同様に日本全国にFC展開で店舗を張り巡らしている「シャトレーゼ」だ。同社は2024年以降、兵庫県神戸市と奈良県生駒市に2店舗を出店。長期的には、「シャトレーゼ」で10店舗以上の体制を目指す方針だ。
 また近年、「健康」領域にも進出している。2024年9月から24時間・年中無休・無人の本格フィットネスジム「Life Fit」の出店を開始。2025年末で9店舗を出店している。同ブランドは2025年11月時点で全国の会員数10万人・店舗数200店舗を突破しているが、同社の検討時点ではまだ30~40店舗の頃であった。
「地域の皆様の健康への貢献に加え、福利厚生としてグループ社員のジム利用を補助することで、社員の健康をサポートできるという考えもありました。同業態のジムを複数見学した中で『Life Fit』を選んだ決め手となったのは、ユーザー利用料・月額2980円(税別)という低価格と、本格的マシンの掛け合わせによる『競争力の高さ』です。また本部経営陣の若さ、スピード感、誠実さから、会社の成長性を感じました」(同氏)
 小売業とは業態が大きく異なるが、無人運営で人手が掛からないこと、30坪強で展開できて出店余地が大きいこと、月額制のため安定的に売上が入るストックビジネスであること、且つ仕入れが不要なため売上=粗利となることなど、多くのメリットを感じているという。同社では中長期的にLife Fitで50店舗を目指している。

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「食」の延長線上でスイーツ領域への参入を決意

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初出店からわずか1年強で9店舗を出店

創業100周年に向けてグループ売上高1000億円が目標

 2034年の創業100周年に、桶谷ホールディングスでは売上高1000億円を目指している。そのうち、中核企業であるボトルワールドOKの売上目標は650億円だ。目標達成に向け、同社では既存事業の増店による売上増、更なる新規事業へのアプロ―チを行っていくほか、M&Aも検討していく。
「主力事業である『業務スーパーボトルワールドOK』の増店はもちろんのこと、新ブランドを展開する上で指標としている『1事業につき売上高10億円以上』を目標に新事業の『シャトレーゼ』や『Life Fit』を増店していきます」(同氏)
 また同社では新たな試みとして、2025年12月に、リロケーションにより閉店となった『ボトルワールドOK』1号店の跡地に、酒と食のセレクトショップを開設予定。屋号は1934年に創業者が立ち上げた「おきなや本店」とし、目的買いではなく、時間があると訪れたくなるようなワクワクする店を目指す。直営店舗として、今後店舗を拡大していく計画だ。

会社概要
代 表者 代表取締役社長 桶谷 晃弘
所在地 奈良県奈良市
設 立 2014年(親会社の桶谷ホールディングスは1934年創業)
従業員 社員198人 PAスタッフ1730人
売上高 465億円(2024年12月期)
事業内容 酒DS「ボトルワールドOK」 運営、「業務スーパー」 FC運営、お惣菜・お弁当「馳走菜」 FC運営「シャトレーゼ」 FC運営、24時間フィットネス「LifeFit」 FC運営

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(奈良県奈良市)
植鉢 文人専務取締役(45)
Profile◉うえばち・ふみと
1980年7月生まれ。2003年に大学卒業後、8月に株式会社桶谷に入社。約4年半は店舗に勤務し、計6店舗のうち3店舗で店長を務める。その後、SVや酒類バイヤー、店舗開発担当等を行う。2015年、持ち株会社制移行で設立された事業会社の株式会社ボトルワールドOKの執行役員に就任。2017年7月に取締役、2020年10月に桶谷ホールディングス執行役員兼務、2021年4月に常務取締役、2023年4月に専務取締役に就任。現在は同社の全事業の統括責任者を務める。

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