【業務スーパー】1500店舗まで拡大戦略継続(後編)

公開日:2023.07.27

最終更新日:2023.07.31

※以下はビジネスチャンス2023年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

中食・焼肉事業を次の柱に 「業務スーパー」依存しない企業体質へ

冷凍・常温など関連商品をまとめたレイアウト

PB商品の開発力に強み グループ工場からの「製版一体」経営

――2023年10月期の業績予想は、連結売上高4400億円(前期比8.2%増)、営業利益297億円(同6.8%増)で、10年連続増収増益を目指しています。今後も増収増益を続けていくための施策は。
沼田 一番は新商品の開発だと思っています。当社の場合、プライベートブランド(PB)商品が集客に直結し、SNSやメディアでの発信が非常に売上に貢献しています。引き続きしっかりと魅力的な商品開発を行うことが重要だと考えています。
――年間の投入アイテム数は。
沼田 目標値としては、輸入の新商品で300〜350、グループ工場の新商品で50の計400アイテムくらいです。
――新商品は全て社長がチェックされると聞きました。
沼田 週に3回、試食プレゼンの場がありまして、輸入品は週2回行っています。
――御社は、「製版一体型」が特徴で、これがPBの多さにも繋がっている。
沼田 PBを積極的に自分達の売り場に向けて作っていきます。一般的なスーパーであれば、ほとんどナショナルブランド(NB)を扱いますが、メーカーは基本的にどこの小売店でも売れる商品を作ることがベースになります。
――そのため、あまり尖った商品は作りにくい。
沼田 当社の場合はあくまで「業務スーパー」のユーザーが好む商品を、自社グループ工場で製造したり、海外から輸入する。
――自社グループ工場でPB商品を作るシステムは、コロナ禍では非常に効果がありました。
沼田 やはり自社でいろいろコントロールできる強みがあります。コロナ禍では、非常に即効性のある改善が求められましたので、既存品の改良に労力を割きました。これまでは新商品に注力していた訳ですが、数字として表れるのは半年とか、長い時は1年かかるので、急速な世の中の時流の変化に対応できません。これが前期の期中の内で改善が一定効果見られました。やはり製造から販売まで一気通貫で繋がってるからこそ、クイックに動けるというのは強みだと思います。
――自社グループ食品工場は全国で25か所あります。
沼田 自社グループ工場を持つということは、その工場で製造した商品の品種と価格が少なくとも日本で一番でないといけないと思います。ですからNBよりも品質価格で優位なものが作れないと自社グループ工場を持つべきでないと思います。それができると判断したもののみ自社グループ工場での開発を進めています。
――なんでも自社グループ工場にしようと思うと、商品によってはNBの方が優れてるのにPBを持つということが目的になってしまう。
沼田 判断を誤ってしまう恐れもあります。様々な商品がありますが、その中で輸入品と国内品でどちらが適正なのか選択をしたり、輸入品ならばどの国から輸入するのが適当であるのかを考えたり、国内であればNBとして調達する方がいいのか、自社で作った方がいいのかを商品毎に考えています。
――NBの方が良い商品は。
沼田 カテゴリーによっても違いますが、例えば飲料品は、専用のラインで製造しないとコストが合わない。それに見合った販売力も必要です。しかしそれだけの販売力を今の当社の売り場で持っているかといったらそうではない。とすれば、これは自分達が参入する意味が無いと思います。
――取り扱い商品が5000アイテム以上あります。現状では店舗への出荷額に対して30%強がPBです。今後この比率はもっと増やしていく考えですか。
沼田 出来る限り増やそうと思っています。ただ何が何でもPBが良いというわけではなくて、中にはNBが将来に渡って良いという判断をすれば、ずっとNBを取り扱っていきます。
――理想のPB比率は何%ですか。
沼田 正直ちょっと分からないというのが正確なところです。自分達が成長していく過程で、PBからNBに変わる可能性もあります。円安で調達コストが上がった結果、従来の国内NBから輸入品に切り替えたものもありますし、逆の場合もありました。時流によって柔軟に対応していくように心掛けています。

「馳走菜(ちそうな)」は収益向上 「プレミアムカルビ」100店舗体制

――御社は「業務スーパー」の他に、中食事業として「馳走菜」ブランドや、外食事業として「プレミアムカルビ」ブランドの焼肉店なども展開しています。今後、新しい柱になりそうな事業はありますか。
沼田 「プレミアムカルビ」店舗は現在19店舗ですが、新たな柱にするため、100店舗以上は出店していきたいと考えています。できれば業務スーパーだけに依存しない会社にしていきたいです。
――「馳走菜」や「プレミアムカルビ」もFCで展開しているのですか。
沼田 基本的にはFCです。人材雇用やマネジメントも含めて、FCの方が非常に負荷が軽くなりますので、多店舗展開には向いているかなと思います。
――外食事業だと「神戸クック・ワールドビュッフェ」も店舗展開している。
沼田 「ワールドビュッフェ」は今神戸に直営店が1店舗あって、それ以外はFCです。直営店に対する考え方は、基本的にはテスト店であるとか、従業員の研修の場という捉え方をしています。こういった場所でしっかりと教育し、新しい加盟企業の従業員の教育の場として考えています。将来は基本的にFC中心にやりたいのですが、今は直営を進めながらFC化に向けた検証を行っているところです。

PB比率は30%強。今後もPB開発に注力

【業務スーパー】1500店舗まで拡大戦略継続(前編)はこちら

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