就労系FCの可能性 (Part.3〜4)
公開日:2025.12.25
最終更新日:2025.12.25
※以下はビジネスチャンス2025年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
【就労系FCの今】
•障害者雇用が人手不足解消の切り札に
•給付金を軸に安定収益を確保
•就労支援B型を中心にFC参入が加速
社会貢献と事業性の両立で急増中
2025年、団塊世代が後期高齢者となり、日本は本格的な超高齢化社会を迎えた。深刻化する人手不足の中で、今注目したいのが「就労系福祉事業」との連携だ。障害者雇用等を通じて社会課題の解決に貢献しながら、安定した労働力の確保と企業価値の向上を実現できる新しいビジネスモデルが広がりを見せている。
Keyword
一般就労:企業や公的機関などへ就職し、労働契約を結んで働くこと
福祉的就労:障害のある人が就労支援を受けながら働くこと
工賃 :福祉的就労をした際に支払われるお金
サービス管理責任者(サビ管):障害者福祉サービスにおいて支援の総合的な管理を担当する責任者
障害者自立支援サービスの市場動向や就労支援の解説は下記記事を参照してください↓
就労系FCの可能性 (Part.1〜2)
Part.3
有力FCブランド一挙公開
本特集で掲載する就労系FCブランドを表にまとめた。今回登場するのは、就労移行支援が2ブランド、就労継続支援A型が3ブランド、就労継続支援B型が8ブランドとなっている。中には、就労系ブランドを複数手掛けている企業も存在するが、基本的にはFC展開中のブランドを掲載している。
| ブランド名 | ディーキャリア | manaby | はぐくみ弁当plus | ほまれの家 | Tetoria | manaby CREATORS |
| 会社名 |
デコボコベース |
manaby |
GLUG |
フォープラン |
Hand Aid |
manaby |
| 業種 |
移行支援 |
移行支援 |
A 型 |
A 型 |
A 型 |
B 型 |
| 会社設立 |
2014年 |
2016年 |
2009年 |
2018年 |
2022年 |
2016年 |
| 事業開始 |
2016年 |
2016年 |
2017年 |
2014年 |
2022年 |
2016年 |
| FC開始 |
2016年 |
2017年 |
2017年 |
2015年 |
2022年 |
2017年 |
| 事業所数 |
99拠点 |
30拠点 |
196拠点 |
96拠点 |
9拠点 |
10拠点 |
| 直営事業所数 |
5拠点 |
15拠点 |
0拠点 |
5拠点 |
2拠点 |
3拠点 |
| FC事業所数 |
94拠点 |
15拠点 |
196拠点 |
91拠点 |
7拠点 |
7拠点 |
| 利用者数 |
2581人 |
850人 |
3281人 |
– |
131人 |
– |
| 平均利用期間 | – |
6~12カ月 |
– | – |
9.32カ月 |
– |
| 平均工賃 | – | – | – | – |
7.5万円 |
1.3万円 |
| 累計就職人数 |
3111人 |
– |
292人 |
– |
6人 |
– |
| 年間就職人数 |
623人 |
312人 |
– | – | 3人 | – |
| 就職定着率 |
93.4% |
89.4% |
– | – |
70% |
– |
| 加盟対象 | – |
法人 |
両方 |
法人 |
– |
法人 |
| オーナー数 |
123 |
15 |
413 |
73 | 7 | |
| 初期投資合計 |
1380万円 |
1100万円 |
5000万円 |
– |
2000万円 |
1100万円 |
| 加盟金 |
400万円 |
400万円 |
1500万円 |
500万円 |
150~300万円 |
400万円 |
| 保証金 |
60万円 |
なし |
– | – |
100万円 |
なし |
| 研修費 |
80万円 |
なし |
– | – |
50~100万円 |
なし |
| ロイヤリティ |
22万円 |
売上から待遇改善加算を引いた12% |
16万5000円~ |
5~10万円 |
10% |
売上から待遇改善、加算を引いた12% |
| FCモデル月商 |
500万円 |
700万円 |
1700万円 |
– |
416万円 |
550万円 |
| 営業利益率 |
40% |
– |
21.40% |
– |
11.9% |
– |
| 損益分岐となる利用者数 |
15人 |
14人 |
– |
17人 |
13人 |
18人 |
| 事業所あたりの定員数 |
20人 |
10~20人 |
20人 |
20人 |
20人 |
20人 |
| スタッフ人数(1事業所あたり) |
5~7人 |
3~10人 |
7人~ |
5~10人 |
4~6人 |
3~10人 |
| 坪数 |
30~40坪 |
25~30坪 |
24~60坪 |
– |
30~40坪 |
25~30坪 |
| 推奨立地 |
ターミナル駅から、徒歩7分以内他 |
– |
駅徒歩15分以内の1~2階 |
– |
駅徒歩10分程度 |
– |
| ブランド名 |
キャリカク |
リハスワーク他 |
でじるみ |
すずらん |
ARU |
ワンダーフレンズ |
夢尊ワークス |
| 会社名 |
キャリカク |
リハス |
グローバルソリューション |
DW 総研 |
ARU |
ワンダーフレンズ |
夢尊ワークス |
| 業種 |
B 型 |
B 型 |
B 型 |
B 型 |
B 型 |
B 型 |
B 型 |
| 会社設立 |
2016年 |
2012年 |
2010年 |
2021年 |
2021年 |
2015年 |
2020年 |
| 事業開始 |
2021年 |
2016年 |
2023年 |
2021年 |
2021年 |
2018年 |
2020年 |
| FC開始 |
2023年 |
2021年 |
2023年 |
2024年 |
2022年 |
2023年 |
2023年 |
| 事業所数 |
30拠点 |
65拠点 | 67拠点 | 20拠点 | 57拠点 | 23拠点 | 7拠点 |
| 直営事業所数 | 6拠点 | 43拠点 | 10拠点 | 15拠点 | 5拠点 | 15拠点 | 3拠点 |
| FC事業所数 |
24拠点 |
22拠点 |
57拠点 |
5拠点 |
52拠点 |
8拠点 |
4拠点 |
| 利用者数 |
600人 |
1700人 |
1600人 |
260人 |
800人 |
798人 |
200人 |
| 平均利用期間 |
18カ月 |
24カ月 |
– | – | – | 18カ月 |
24カ月 |
| 平均工賃 |
2.5~3万円 |
1.8万円 |
2~2.5万円 |
1.2万円 |
– |
3.2万円 |
2.8万円 |
| 累計就職人数 |
40人 |
63人 |
10人以上 |
60人 |
– |
41人 |
15人 |
| 年間就職人数 |
20人 |
31人 |
– |
12人 |
– |
15人 |
3~5人 |
| 就職定着率 |
50% |
75% |
– |
100% |
– |
60% |
95% |
| 加盟対象 |
両方 |
両方 |
法人 |
両方 |
両方 |
法人 |
両方 |
| オーナー数 | 26 | 22 | 32 | 5 | 85 | 7 | 4 |
| 初期投資合計 |
1300万円 |
1800~4000万円 |
2000万円 |
1700万円 |
300~500万円 |
800~1000万円 |
1600万円 |
| 加盟金 |
500万円 |
100万円 |
300万円 |
550万円 |
120万円 |
300万円 |
165万円 |
| 保証金 |
0円 |
100万円 |
0円 |
0円 |
0円 |
なし |
0円 |
| 研修費 |
0円 |
50~100万円 |
0円 |
0円 |
0円 |
なし |
0円 |
| ロイヤリティ |
9% |
9% |
5% |
5% |
8~15万円 |
15% |
10% |
| FCモデル月商 |
390万円 |
600万円 |
500万円 |
330万円 |
400万円 |
500万円 |
450万円 |
| 営業利益率 |
20~30% |
30~40% |
– |
30% |
40% |
50% |
40~50% |
| 損益分岐となる利用者数 |
13人 |
25人 |
12人 |
– |
10~14人 |
– |
9~10人 |
| 事業所あたりの定員数 |
20人 |
20人 |
20人 |
20人 |
20人 |
20人 |
20人 |
| スタッフ人数(1事業所あたり) |
3~7人 |
4~10人 |
4~7人 |
4~5人 |
3~5人 |
4~5人 |
3~5人 |
| 坪数 |
30~40坪 |
30~60坪 |
30坪~ |
35坪~ |
20~30坪 |
30~40坪 |
30~66坪 |
| 推奨立地 |
人口14万人以上/都市 |
駅徒歩5分以内/他 | 駅近 | 駅徒歩5〜15分 | 特になし | 独自の選定基準あり | 人口10万人以上 |
厚生労働省の調査によると、就労移行支援事業所と就労継続支援A型事業所の数は減少傾向にある一方で、B型事業所は増加傾向にある。実際、B型のFC本部も増えており、コロナ以降にFC展開を開始したブランドが短期間で拠点拡大している。たとえば、グローバルソリューションが手掛ける「でじるみ」は2023年にFC展開を開始し、現在は67拠点に拡大。サブカルチャーに特化した訓練メニューで、他社と差別化を図っている。また、リハスは、ものづくり特化型「リハスワーク」と、農福連携特化型「リハスファーム」の2ブランドでB型を展開しており、両ブランドで65拠点を構える。
雇用契約を結ばないB型事業所は、最低賃金の支払い義務がないことからも参入障壁が低いとされる。ただし、新たに創設された障害福祉サービス「就労選択支援」が2025年10月に開始されることに伴い、利用者獲得に影響が出る可能性が示唆されている。就労選択支援は、各人に適した就職先や支援を選択するためのサービスだ。障がい者が新たに就労継続支援B型の利用申請をする場合は原則利用する必要があるため、利用開始までに時間を要するほか、就労選択支援を経て希望の事業所が変わる恐れもある。2025年10月時点で対象となるのはB型事業所だが、A型事業所や就労移行支援事業所にも段階的に適用される。
なお、一覧表は各企業へのアンケート調査をもとに作成している。FCモデル月商や営業利益率などの数値はあくまで一例であり、店舗規模や出店立地により変動する可能性がある。
Part.4
制度ビジネスに加盟するには
就労移行支援や就労継続支援は、障害者総合支援法で定められた障害福祉サービスの1つだ。障害福祉サービスには、人員や設備、運営に関する基準が定められており、開業するには基準を満たし、指定を受ける必要がある。

必要な設備・面積などは自治体により異なる。
人員基準が高ハードル サビ管の採用が鍵
就労支援事業を開業するには、指定基準を満たす必要がある。指定基準は法人格と人員基準、設備基準とその他に大別できる。中でも、人員基準は要件クリアのハードルが高い。
人員基準は、就労移行支援事業と就労継続支援事業でそれぞれ異なる。ただし、いずれの事業においてもサービス管理責任者(以下:サビ管)の配置義務がある。サビ管は、利用者の個別支援計画の作成や外部の専門職との連携、事業所スタッフへの技術指導など、サービス提供のプロセス全体を管理する役割がある。職種により3~8年以上の実務経験と研修受講が必須な上、業務負担も大きいことから、近年は人材不足が深刻化している。サビ管の採用に悩む事業所も少なくない。
さらに、管理者や生活支援員、職業指導員の配置も必要だ。就労移行支援事業の場合は、管理者と生活支援員、職業指導員と就労支援員を配置する。就労継続支援事業の場合は、管理者と生活支援員、職業指導員が必要だ。配置数は、利用人数により変動する。なお、管理者は他職種と兼任することも可能だ。
一方、設備基準を満たすには、サービス提供に支障のない広さを備えた訓練作業室に加え、相談室や多目的室、洗面所・トイレ、事務室を備える必要がある。なお、必要な設備・面積などの詳細は自治体により異なる。
また、自治体によっては就労継続支援事業所を開業できないケースもある。自治体は、障害福祉計画で定めているサービス利用見込み量に対して、すでにサービスが必要量に達している場合、サービスがニーズに対して過剰にならないよう、新規事業所の指定申請などを拒むことができる。これを総量規制と言い、対象のエリアでは原則として開業できない。厚労省の調査によると、総量規制を実施する自治体は全体の割に留まっている。

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