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【日本型ケアファーム】高齢者施設×農園でコミュニケーションの場を提供

公開日:2023.12.17

最終更新日:2023.12.17

※以下はビジネスチャンス2023年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

ライフスタイルの多様化に対応するケアファーム

日本型ケアファーム (都市緑地:東京都新宿区) 太田裕之社長(66)

 都市緑地(東京都新宿区)は2020年設立。ケアファームの企画・開発・管理を手がけている。2022年8月、新潟県に1号目となる日本型ケアファーム施設「ココファンガーデン新潟亀田」を開設した。また、仮想空間を含めた農園でさまざまな人とコミュニケーションを取り、農園管理に関するコスト削減を可能にするアプリ「デジ畑」を開発し、一部特許を取得した。同社は2030年までに80施設の開設を目標としている。

 

 

 

日本とヨーロッパのケアファームの違い

 ケアファームとは、高齢者の住まいに農園を併設したもので、2000年頃からヨーロッパを中心に広がっている。2000年は日本の介護保険制度が施行され、世界的に介護に関わる環境が整備された年でもある。ヨーロッパにおいては、認知症患者の改善に有効との研究が進んでおり、農園を障がい者の通所施設とすることにより症状が改善する事例も多いという。こうした状況から、同社は介護の施設制度と障がい者の就労支援制度を組み合わせ、日本型ケアファームの仕組み作りを推進している。
 同社が考えるケアファームとは、「農園を起点としたコミュニケーションツールとして、生きがいを創出すること」を目的にしている。つまり、農園はあくまで市民や子供、障がい者の交流の場で、隣に高齢者住宅がある。デイサービスでは畑で獲れた新鮮な野菜が食べられる。農園があることが楽しみの一つになり、人々の生きがいに繋がる場所の提供をしたいと考えている。
 現在の高齢者住宅は、負担額と介護レベルでどこに入居できるか決まってしまう。同社が日本型ケアファームに着目したのは、こうした国内の仕組みに疑問を持ったからだ。今後、ライフスタイルの多様化に対応することが必要があり、障がい者との関わりや共存に社会的意義があると感じ、このようなスタイルを選んだ。

各世代が集う交流の場を提供

農地の後継者問題の糸口

 ケアファームは、後継者不在で荒れた農地の活用ができ、固定資産税が少ないまま、子孫に土地を残したい農家にも活用できる。なお、1号目の新潟の施設は学研ココファンが運営している。今後も運営は大手企業に依頼をするため、オーナーは集客を気にせず長期間で安定収入が見込める。
 同社が提案するのは、貸地として建物保有会社に貸す方法と、より高い収益性を求めるためにリスクを取り、自身で建設して運営会社に任せる方法の2つだ。また、農業経験のあるオーナーは、ケアファームに参加する市民に農園の指導を行う関わり方もできる。施設は、サービス付き高齢者向け住宅、高機能有料老人ホーム(ホスピス)など複数あり、オーナーの意向と土地やニーズ合わせて提案可能。土地の必要坪数は、施設とガーデンで約300坪から。600坪の敷地、300〜400坪の畑合わせて約1000坪あると大型施設の建設ができる。
 初期費用は、土地を所有している場合、例えばグループホームで税込み約2億円、大型の施設で土地取得費も含めると同様に約6億〜6.5億円が参考価格となり、利回りは7%以上を目標としている。

 

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