【東洋企業】会社休眠を経てFC専業のメガフランチャイジーへ

公開日:2025.11.06

最終更新日:2025.10.21

※以下はビジネスチャンス2025年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

約5年で5業態30店舗運営まで事業を拡大

 東洋企業は愛知県名古屋市を中心に「おたからや」23店舗、「わおん」3店舗、「スクールIE」2店舗、「就労継続支援B型ONEGAME」1店舗、「コンパスウォーク」1店舗の計5業態30店舗を展開するメガフランチャイジーだ。同社の祖業は不動産事業だが、前社長の他界により2017年より休眠状態に入った。そんな同社が復活を遂げたのは2020年のこと。現社長の大畑典道氏がFC専業に舵を取り、フランチャイジーとして生まれ変わった。さまざまな失敗を繰り返しながら、組織力の向上に注力しつつ店舗数拡大を進める大畑社長に今後の展開を聞いた。

数年間の会社休眠状態からFC専業会社として事業再開

 愛知県名古屋市を拠点とする東洋企業は、買取専門店の「おたからや」やペット共生型障がい者グループホーム「わおん」など5業態30店舗を運営している。最も店舗数が多いおたからやは、岐阜県や愛知県、三重県や静岡県で店舗を構えている。
 同社は1958年に現社長の祖父が創業して以来、60年ほど貿易業や不動産業を営んでいた。その後は現社長の父が事業を受け継いだが、約8年前に父が他界すると事業活動を停止し休眠状態となった。
 そんな同社が事業活動を再開することになったのは2020年のことだ。会社整理のため、当時「TSUTAYA」のFC本部でSVや加盟開発などをしていた大畑典道社長が、約3年間の休眠を経て事業を再開。大畑社長は本部としてFC事業に携わっていた経験から、FC加盟による事業展開を開始した。
「TSUTAYAが洗練された本部であることは内部にいた経験からよく知っているのですが、初期のオーナーさんあっての今なので、個人的には新規加盟をしてもあまり旨味がないと考えました。そこで、拡大している市場で今後伸びる可能性のあるブランドを見つけようと思いました」(大畑社長)
 同社はFC専業の会社として生まれ変わり、そこからメガフランチャイジーへの道のりが始まった。しかし、休眠状態であり、全くのゼロの状態から開始したため、最初は苦労続きだった。最初に「MJG接骨院・整体院」、次いで「ローマ軒」に加盟するが、どちらもすぐに立ち行かなくなったという。
「当時は完全に情報弱者の状態だったため、いろいろな失敗をしてきました。経営者としての勉強も足らず、なりふり構わず儲かりそうな業態を選んで加盟していました。結局、約5年間で14ブランドに加盟し、そのうち9ブランドは撤退に終わっています。今では徹撤退基準を明確にしており、事業開始後1年で、従業員の給料や労働環境を良くする見通しが立たないのであれば撤退という基準にしています」(大畑社長)
 そのような状況で2020年に加盟したのが、貴金属やブランド物の買取専門店のおたからやだ。コンスタントな出店で現在は店舗に拡大しており、好調な店舗は月商3000~4000万円を売り上げている。
「おたからやは、これまでの出店で培った創意工夫と出店条件の緩和で増店しやすくなりました。多店舗運営していることで本部からの優遇もあり、出店すればするほど利益を出しやすい構造になっています」(大畑社長)

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「おたからや」は現在4県で23店舗を展開

コロナ下のフルリモート募集で多数の人材採用を実現

 同社は事業再開にあたって、新たに従業員を集める必要があった。2020年当時はコロナ真っ只中だったが、フルリモート形態を導入したことで想定以上の人材が集まったという。
「当初は本社勤務で採用募集しようとしたものの、本社所在地が駅から距離の遠い住宅街だったことで断念しました。本社移転も考えましたが、出店に資金を割きたいと考えフルリモートで募集することにしました」(大畑社長)
 現在でもフルリモート勤務のアルバイトが十数人在籍しており、店舗で行うバックオフィス業務の大部分をリモート化している。店舗運営に関しても出店準備の大部分を営業部門が担っていたが、管理部門との分業化を進めたことで、営業部門は出店後の店舗運営に専念できるようになった。大畑社長の目指していた組織化が実現しつつあるようだ。
 しかし、近年は徐々に採用難を感じていると言い、会社環境の整備や条件面の強化など、さまざまな工夫を重ねている。たとえば、今年は年間休日を110日から120日へと増やしたという。
「採用の対策は常に進めています。年間休日に関しても、そもそも120日以上にしないと応募が来ないと言われました。そのようなことも初めて知ったので、アドバイスを受けて120日にしたという感じです。変化が段階的なので一気に応募が増えた実感はありませんが、その取り組みをしていなかったらもっと来ていなかったかもしれないですよね」(大畑社長)
 業績が好調に推移していることもあり、現在は人事部を創設して採用や教育にも注力している。以前から在籍していた社員とともに少しずつ体制を作りつつ、一部はアウトソーシングして部署としての完成度を高めているという。
「人事部はコストが見合うようになったため新設しました。正直なところ、コストはかかりますが未来のために割くべきものだと思っています」(大畑社長)

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新規事業「コンパスウォーク」の出店を加速

介護・飲食事業へ挑戦 新たな事業柱創出を目指す

 当初の目標は2030年に50店舗、売上高50億円の達成だった。一方、直近の業績は30店舗で、年商は14億円。売上規模としては早期の目標達成が可能であることを見据え、現在は持続性の高い事業の模索に舵を切っている。その一環として、介護事業の「コンパスウォーク」の出店を岐阜県大垣市で進めており、今後も加速していく方針だ。
「近年はコロナもあり、いつ災害などで事業が立ち行かなくなるかわかりません。そのような状況で、1つの事業が駄目になってもまだ3つあるからと胸を張って社員に言ってあげられることを目指しています。事業の柱をバランスよく4本ほど持っている状態が理想です」(大畑社長)
 さらに、今年から飲食事業にも参入する。もんじゃ焼きのFC「どてっぱん」に加盟しており、9月オープン予定となっている。
「店舗を増やせるだけ増やす方針だと、現状では収益が出ていてノウハウもあるおたからやしか出店できないことになってしまいます。買取は堅実に勝てる試合だけ取りに行き、それ以外は新たな試みをしたいです。当社がおたからやで成功できたのは、時流に乗ることも含め、市場の拡大に合わせて加盟店が本部と一緒に利益を作っていくことができるブランドだったからです。そういう市場、ブランドを再び見つける必要があると思っています」(大畑社長)
 今後数年間は、人事部の体制強化や管理職の適切な育成に注力しつつ、新事業である介護事業と飲食事業の拡大を進めていく。

 

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(愛知県名古屋市)
大畑 典道社長(39)
Profile おおはた・のりみち
1985年生まれ、愛知県出身。2009年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社。TSUTAYA事業に約11年携わり、店長、SV等を経験。2020年に東洋企業株式会社を引き継ぎ現職へ。現在に至る。

 

 

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