【フォレスト】サブウェイで日商世界一を記録

公開日:2025.10.29

最終更新日:2025.10.15

※以下はビジネスチャンス2025年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

優良物件をつないだ人の縁

 フォレストは神奈川県に加盟店を展開するフランチャイジ ーだ。現在はファミリーマートを2店舗、サブウェイを2店舗、上島珈琲店を1店舗、進研ゼミ個別指導教室を1店舗展開している。45歳で独立し、フランチャイズ事業で起業した林恒雄社長の転機は、常に「人の縁」。現在に至るまでの道のりについて、同社の林恒雄社長に話を聞いた。

45歳で銀行マンから独立 ファミリーマートに加入

─ ─林社長はFCに加盟される前、信用金庫に勤められていたと伺いました。
 銀行マンとして地域の法人顧客を担当し、コミュニケーションをとりながら顧客の問題解決をすることにやりがいを感じていました。しだいに、自分でも何かを興すことに興味を持つようになり、このまま銀行員を続けてもいいのか疑問を持つようになりました。
 そこで体力的にもまだ余裕のある45歳をひとつの区切りに、独立を決意したのです。ただ、そうは決めたものの初めは何をやればいいか全く見えておらず、起業もゼロからは難しい。そんなとき、FCという仕組みに出会ったのです。
─ ─初めて加盟をしたのはファミリーマートということですが、コンビニを選んだのはどんな理由からですか。
 普段から買い物をするといった、なじみがあった点が大きかったです。当初は複数のコンビニブランドを見ていましたが、2つの理由からファミリーマートに決めました。1つは時間を限定した開業を了承してくれた点です。当時からコンビニは時間営業が多かったですが、私は従業員が無理なく働ける環境にしたかったため、24時間営業には抵抗がありました。また、この時からすでに複数店舗の出店を構想していたため、法人化しても社員の負担が大きくなりすぎないようにしたかったのです。その点でファミリーマートは柔軟な対応をしてくれました。
 もう1つは担当者の熱意です。物件探しや打ち合わせの際、私の仕事が終わった20時以降でも打ち合わせに来てくれるほど、親身になって考えてくれた。この人だったら任せられると思ったのです。
─ ─ファミリーマートの経営を軌道に乗せた後、選択したのはコンビニの多店舗化ではなく、他業種のサブウェイでした。
 当時、コンビニの出店数が少し頭打ちだと感じていた面もあり、別のブランドを模索していました。ちょうどその頃、たまたま綱島のサブウェイで食事をする機会があったのですが、ヘルシーでとても美味しかったです。店内に加盟店募集のチラシがあったので、それを見てすぐに問い合わせをし、話を聞きに行きました。

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FC1号店のファミリーマート三ッ池公園口店

クイーンズスクエア横浜に出店 チェーン内で世界一の売上を達成

─ ─当時サブウェイは、まだ日本に上陸してから間もなかった頃ですよね。
 そうですね。まだ上陸3年目で、日本での出店数も多くありません。ただ当時から、世間の注目度が高かったことを覚えています。開業に当たっては、八景島シーパラダイス入口横の物件など、本部から紹介された物件がいくつかあったのですが、人通りなどを考えるとどれもピンとこなくて決めきれませんでした。
 そんな中、目を付けたのが当時まだ建設中の「クイーンズスクエア」でした。どうすれば出店できるのかと考えた末に、工事現場に掲示されていた開発会社の連絡先に電話を入れたのですが、「会社案内を送れ」と言われ、そこから行き詰ってしまいました。それもそうですよ、当時はファミリーマート1店舗しかなかったわけですから。
─ ─そこからどのように出店までつなげたのでしょか。
 これには人の縁というものを強く感じたのですが、たまたま私の姉の夫の兄弟が、横浜ランドマークタワーの開発企業と縁のある方でした。その方を通じて、隣接するクイーンズスクエア横浜の事業主体企業に話を通してくださり、出店が実現したのです。偶然の積み重ねでしたが、動けば縁はつながると感じました。
─ ─みなとみらい地区を一躍人気スポットに押し上げた商業施設ですから、オープン時はさぞ混んだのでは。
 若い方たちは、サブウェイに対してアメリカ西海岸の良いイメージを持っていたようなのですが、それがクイーンズスクエアの位置するみなとみらいに持つイメージと近かったのです。その相乗効果からか、オープン初日から大変多くの方が来店してくれました。2日目にはちょうど近隣で花火大会があって、1時間半待ちの列ができたほどです。その日の売上はサブウェイ全世界の店舗の中で1位を記録しました。

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サブウェイクイーンズスクエア横浜店、日商世界一を達成

初期投資だけではない、先を見据えたブランド展開

本部の体制が決め手 カフェ業態でMARKIS 出店

─ ─その後は2001年にサブウェイをもう1店舗出店しますが、それ以上は多店舗化せず、「上島珈琲店」に加盟されています。このブランドを選んだ理由は。
 カフェ業態に興味を持っており、そのうえで京都の喫茶店を関東でやりたいという思いがありました。私の世代は京都に憧れがありまして。修学旅行で行った場所や散歩道にある喫茶店、雰囲気の良い内装や清水焼で作られたカップなどみんな好きでしたね。それを実現するべく模索した中で知り合った方が、京都のとあるコーヒー店と関わりのある方で、その方を通じて京都に何回も足を運びました。
 当時、そのコーヒー店は関東進出を検討していたので、他にあまりない形だと思いますが当社のほうからFC展開を提案していました。
─ ─カフェ業態のプロジェクトはご子息が中心になって取り組まれているそうですね。
 カフェ業態に参画することを打ち出した際に、それならばと手を挙げてくれました。当社は業態未経験でしたので、彼が勉強のため先程のコーヒー店に入社し、焙煎の現場で修業してくれました。これも恵まれた縁でしたが、彼はもともと京都の仕事に興味を持っており、そのコーヒー店にカップを卸している陶器業者の社長のご子息と友達だったことがきっかけでした。
─ ─ただ実際には、進めていた関東進出のFC展開は実現しなかった。
 ビジネスモデルは固めていましたし、メニューも出来上がっていました。あとは開店するだけという状態だったのですが、物件開発のところが難しかったです。先方には専任の店舗開発の方はおらず、私の方で物件を探して回りましたがどれも上手くはまらない。やはり専門の方が動かないと良い物件が取れないと痛感し、断念しました。
 そして、改めて次に何をするか考えていたときに出会ったのが上島珈琲店でした。事務所に届いたDM を見て興味を持ったのがきっかけで、すぐに本部に話をしに行きました。
─ ─同じカフェ業態でしたが、どのようなところに魅力を感じたのでしょうか。
 まず私が良いなと思ったのは店の雰囲気や内装でした。ほかにも、以前にたまたま来店したことのある京都の寺町店は、店舗の中に小さな庭園があり、水や木、石の並びなど京都らしい雰囲気が良く、とても魅力的でした。加盟の決め手は、本部の親会社がUCC ホールディングスであること。また、加盟店へのバックアップ体制が整っていた点も大きな理由です。
─ ─上島珈琲店を出店しているショッピングセンター「MARKIS 」は「クイーンズスクエア」と同様、物件の取得が難しかったのでは。
 当時建設中だった MARKIS の事を知り、ぜひここでやりたいと上島珈琲店の開発の方に掛けあっていただきました。本部では開店に反対意見もあったそうですが、開発担当の方が、当社のサブウェイクイーンズスクエア横浜店の実績を評価してくださり、強く交渉してくださったそうです。
 店舗の目の前にはみなとみらい駅の改札口があり、買い物客や美術帰りの方たちがよく休憩に利用され、人通りの多い場所にあります。人にも立地にも恵まれたと思います。

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上島珈琲店MARKISみなとみらい店、駅直結の好立地にある

理念は三位一体 まずは地盤固めに注力

─ ─フランチャイジーの多くは、1つのブランドが成功するとそのまま4~5店舗というようにある程度の規模感まで伸ばしていくところが多いです。1、ないしは2店舗で別のブランドに切り替えるのは何か理由があるのですか。
 リスク分散が大きな理由です。一つのブランドに依存すると、いざ本部が無くなったとき共倒れになってしまう。それを避けるためにも複数ブランドを展開することは必要だと考えています。
 もう一つ大きな理由として初期投資額の高騰があります。出店費用だけではなく、その後のリニューアルにも大きな金額が必要になります。立地、月商の見込み、初期投資額だけでなく、先を見極めながら展開しています。
─ ─長くブランド展開、経営をされる中で大切にされていることはありますか。
 従業員に日頃から三位一体、共存共栄を大切にと伝えています。三位とはお客様、従業員、会社です。お客様には満足度を、従業員には売上目標達成で夢と希望を、会社には利益をもたらすことで循環と発展を生むことができます。これが私の会社設立からの理念です。
─ ─今後、御社の事業をどのように進展されますか。
 まずはこれから出会う縁を大切にしながら経営を続けたいと思います。そのうえで、既存店舗の売上増加を目指す。たとえばサブウェイ新横浜店ではリニューアルを検討していますので、よりお客様に喜ばれる店舗にしたいですね。地盤固めをしながら、増店や新ブランドの加盟などは息子や若い世代の人材を中心に進めていってほしいと考えています。

会社概要
代表者 林 恒雄
所在地 神奈川県横浜市港北区
設 立 1993年11月
資本金 30,000,000円
年 商 7億6000万円(2025年6月期)
従業員  85人(パート・アルバイト含む)2024年2月現在
事業内容
・ファミリーマート
・SUBWAY
・上島珈琲店
・進研ゼミ個別指導教室各FC事業

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(神奈川県横浜市)
林 恒雄社長(77)
Profile◉はやし・つねお
1972年に日本大学卒業。同栄信用金庫入庫し、1991年に退職した。1992年にFC1号店となるファミリーマート三ッ池公園口店を開店。1993年にフォレストを設立し、代表取締役に就任した。

 

 

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