【プロントコーポレーション】コロナ下の大幅リブランディングで客層拡大

公開日:2026.01.19

最終更新日:2026.01.09

※以下はビジネスチャンス2026年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

「昼はカフェ、夜はサカバ。」の二面性で勝負

「PRONTO(以下:プロント)」を中心に、複数の飲食ブランドを手掛けるプロントコーポレーション。2025年10月末時点で、プロント186店舗、「ワインの酒場。DiPUNTO(以下:ディプント)」42店舗、「カフェ&ガストロノミアÈPRONTO(以下:エプロント)」26店舗、「和カフェ Tsumugi(以下:ツムギ)」19店舗、「エビノスパゲッティ」2店舗など、グループ全体で291店舗を展開している。同社は2021年のコロナ真っ只中に、プロントのリブランディングを実施。従来の「カフェ&バー」から「昼はカフェ、夜はサカバ。」の二面性を持つ業態へ進化した。同社の杉山和弘社長に、リブランディング後の変化や今後の展望について聞いた。

1店舗で2つの業態を運営 朝はカフェ、夜はサカバの二面性

同社は2021年に、主力ブランドであるプロントのリブランディングを実施した。二面性をキーワードにしており、朝はセルフサービスのカフェ業態、夜はフルサービスの居酒屋業態へと変貌を遂げる。コロナを機に消費行動が劇的に変化する中、同店は朝昼帯と夜帯、それぞれの需要に適した業態で増収増益を続けている。

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リブランディング前の旧来の店舗

商品クオリティ向上に注力 主力商品をリニューアル

 

―御社はプロントとディプント、エプロントとツムギの4ブランドでFC展開をされていますが、コロナ以降、業績はどのように推移してきましたか。
杉山 売上高は2019年に過去最高の281億円を記録しましたが、コロナの影響により2020年は157億円、2021年には126億円まで落ちました。そこからは回復基調にあり、2022年は182億円、2023年は238億円、2024年は254億円、そして2025年は260億円超えで着地する見込みです。
―現状、コロナ前の水準に戻っていない理由としては、何が挙げられますか。
杉山 コロナ下で、プロントを中心に約50店舗を閉店したことです。また、あの頃は「出歩くのが悪だ」という風潮がありましたから、夜の売上も激減しました。ただ、客数はコロナ収束に伴い、徐々に戻ってきました。現在、昼の客数は2019年を上回っています。
―コロナを機に、カフェ需要も変化しています。
杉山 皆さんの生活スタイルが変わり、テレワークなどで朝早くから出社する人が減りました。そのため、カフェ業界全体で朝のお客さんが減っていると思います。
―朝の需要が減少した分、どこに注力していきますか。
杉山 商品クオリティの向上に注力しています。朝は、20年近くのヒット商品「あさごぱん」を強化し、モーニング利用の価値を上げました。また、昼の主力商品であるパスタも昨年リニューアルしました。イタリアンなどの専門店には勝てませんが、生パスタも扱っており、カフェの中では非常に美味しいパスタだと確信しています。加えて、クリームを使った女性受けするようなドリンクを増やすなど、新規を引き付ける取り組みは、積極的に行っています。
―ブランドごとの売上構成比をお伺いします。
杉山 店舗数にほぼ比例しており、プロントが売上の3分の2ほどを占めています。
―プロントが大多数を占めますが、今後の注力業態は。
杉山 プロントとディプント、エプロントとツムギの4業態に注力していきます。まず、プロントは時代を問わず推していく考えです。次に伸びているので言うと、ディプントとツムギで、ここは力を入れていきます。
―ディプントとツムギはなぜ伸びているのでしょうか。
杉山 ディプントは、リーズナブルにワインと食事が楽しめる、客単価3000円前後の居酒屋です。メイン料理の生ハムをはじめ美味しい一品料理を多数揃えており、女性のお客様を中心に支持を受けています。また、当店では初心者の方でも飲みやすいランブルスコという微発泡のワインをメインに据えています。これを通してワイン人口の増加に寄与しているのではないかと思います。
―ツムギについては。
杉山 ツムギは、日本茶と“和と洋の融合”をテーマにした食事や和スイーツで構成された和カフェです。世の中に抹茶ブームがある一方で、ツムギは抹茶だけにフォーカスせず、日本茶、食事、和スイーツの3点要素が上手く組み合わさっています。また、日本の伝統色である藍色をブランドカラーにした内装デザインにもこだわっています。メイン層は30~40代ですが、高校生や70~80代の方々にも受け入れられ、女性客が9割を占める業態です。

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昼と夜で様相が異なる「PRONTO」

創立33周年でブランドを刷新 客層が広がり売上も好調

―プロントは2021年にリブランディングを行いました。今のプロントの強みは。
杉山 まさに「昼はカフェ、夜はサカバ。」この二面性のオペレーションが一番の強みだと思います。朝昼はカフェメインのお客様で売上利益を上げ、夜は飲み需要のお客様で売上利益を上げられる点です。
―リブランディングに踏み切った経緯を教えてください。
杉山 プロントが30周年超えた段階で停滞感まではいきませんが、新しいことに取り組まなければと考えていました。そういった経緯でリブランディングを計画したのですが、実施しようとしたときにコロナが流行しました。いったん止めるか迷いましたが、こういう時だからこそ思い切ってやろうとリブランディングを実行しました。
―リブランディングによる変化はありましたか。
杉山 客層の幅が広がりました。以前は40代以上の利用者が6~7割を占めていたところ、現在は30代以下のお客様が5~6割に増えました。
―リブランディングにはある程度の費用が掛かるため、オーナーさんの理解を得るのは大変だったのでは。
杉山 実は、椅子や内装はそのままなので中身はあまりいじっていません。看板とメニューの変更が基本となるため、投資はそこまで大きくありませんでした。思い切ったことをするのに、これくらいの金額でできるということで、納得を得て進めていきました。
―では、それほど反対は出なかったのですか。
杉山 そんなことはありませんが、リブランディング後に直営店の売上が上がったため、その結果を見て踏み切る方がどんどん増えていきました。現在、186店舗中166店がキッサカバを営業しています。旧来の店舗は残り店舗です。

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朝のヒット商品「あさごぱん」

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ワインが気軽に楽しめる「Di PUNTO」

FC中心に全国各地へ出店加速 2030年の450店舗体制を目指す

現在、同社は都心の一等立地をメインに展開しているが、今後はFCにより全国各地に出店を進める計画だ。そのため新規加盟開発に注力するほか、既存加盟店の増店やマルチブランド展開も推進していく。直近のテーマは「シンプル&バリュー」で、オペレーションの簡素化と顧客価値の向上を追究している。

4ブランドでFC加盟促進 マルチブランド展開を推奨

―今後はどのように店舗展開を進めていくお考えですか。
杉山 毎年、ブランド全体で30店舗以上の出店を基本にする方針です。中長期の目標は2030年の450店舗になるので、そこに向けて増やしていきます。
 また、今後はFCを増やしたいと考えています。プロントブランドは関東のど真ん中が圧倒的に多く、他エリアはまだまだ出店余地があります。直営店は都心しかコントロールできないため、全国に広がるほどFCの比率は高まっていくと思います。
―プロントFC店の収益モデルを教えてください。
杉山 47坪・94席で開業した場合、月商は980万円、営業利益は78.4万円(8%)を見込んでいます。当社は一等立地戦略で、基本は駅近に出店しています。サントリーグループの情報網と信頼力で優良物件を確保し、オーナー様に紹介しています。
―昼と夜で売上比率は異なりますか。
杉山 基本、昼売上の方が高いです。夜は客単価が上がりますが、営業時間が短いです。店舗にもよりますが、モーニング・カフェタイムは朝7時から夕方17時または18時まで、そこから23時までがバー・サカバタイムとなっています。
―ディプントの収益モデルは。
杉山 30坪・席60で開業した場合、月商は900万円、営業利益は126万円(14%)を想定しています。
―複数のブランドに加盟されているオーナーはいますか。
杉山 今、まさにマルチブランド展開をおすすめしているところです。たとえば、プロントだけを運営されているオーナー様が近くにもう1店舗出店したい場合、当社にはディプントやツムギといった選択肢もあるため、ご自身の拠点で何種類かの店を出せるメリットがあります。

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和の3点要素が組み合わさった「Tsugumi」

オペレーションの簡素化を意識 本部が無償で請け負う従業員研修も

―プロントの二面性は強みでもある一方、オペレーションの複雑さが懸念されます。
杉山 大変なのは間違いないですね。なので、できるだけ手間を掛けずにドリンクや料理を出せるよう、オペレーションの簡素化は常に意識しています。たとえば、新メニューが出た際は、リリースから2週間後くらいに各店舗の情報を集めます。オペレーションの負荷はどうか、品質のブレが出やすいかどうか、その辺をチェックして微修正をかけています。夜はメニュー数が増えますが、協力会社さんに調理を進めていただいたものを仕入れることで、なるべく手間が掛からないようにしています。
―昼と夜でオペレーションが異なるため、従業員を育てるのも大変そうです。
杉山 マニュアルはありますが、それに加えて、本部でキャスト(アルバイト)研修を請け負っています。時給分はオーナー様にご負担いただきますが、本部への費用は一切かかりません。
 当然、社員研修も実施しています。FC店の社員さんが受けるベーシック研修は、業態コンセプト理解や基本オペレーション、サービス習得といった内容で約1カ月間行います。そのほか、店舗運営に必要なマネジメント業務の理解を目的としたフォローアップ研修や、好事例など各店の取り組みを共有する勉強会などを開催しています。
―各ポジションに応じたさまざまな研修が用意されています。
杉山 本社1階にある研修施設を最近リニューアルしまして、そこで新メニューの説明会やオペレーション研修などを実施しています。
―プロントはリブランディングなどにより新規客が増えている状況です。こうした新規客をリピーターにするため取り組んでいることはありますか。
杉山 1つは、プロント公式アプリです。こちらの費用は開業費に含まれていです。アプリには、自社マネー決済サービス「プロントマネー」を導入しており、チャージ金額に応じてポイントが還元されるチャージバック特典や、利用回数に応じてクーポンが増えるランクアッププログラムが搭載されています。このプロントマネーは、使うほどお得なロイヤルカスタマー向けのサービスとなっています。たとえば、3回利用した場合はシルバー会員となり、夜の角ハイボールが何回でも無料でサイズアップできます。15回利用しゴールド会員になれば、カフェタイムのコーヒーもサイズアップの対象となります。ランクは、スタンダード(開始時)・ブロンズ(利用1回)・シルバー(3回)・ゴールド(15回)・ダイヤモンド(50回)・ゴッド(200回)の6段階となっています。
―かなりお得な内容です。もう1つのリピート施策は。
杉山 QSCの向上は常に意識をしています。そのためSVが店舗に赴き、顧客視点で店舗を評価するサービスビジットレポート(SVR)や、毎月の業績検討会を実施しています。

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リニューアル後のテストキッチン

顧客層を広げるブランド開発 認知向上のため海外展開に挑む

―2026年の抱負をお伺いします。
杉山 まずは、先ほどの主要4業態をしっかり増やしていくことです。また、2025年の戦略テーマに、オペレーションの簡素化とともにお客様に対する価値も出していく「シンプル&バリュー」というものを掲げていたのですが、来年も引き続きこれに取り組んでいきます。
―御社はリブランディングや新規業態開発など、さまざまなことに挑戦されています。これまでのプロントとこれからのプロントについて、考えをお聞かせください。
杉山 一昔前のプロントはカフェ&バー一辺倒で、タバコを吸うお客様に優しいお店でした。そして今、変えつつあるのはディプントとツムギ、エプロントを含め、色んなお客様に対応できる業態を増やしていくことです。タバコを吸う人を排除するのではなく、吸う人も満足できる環境、吸わない人も気持ちよく過ごせる環境を実現できるような形で運営していきたいと思います。
 また、当社はこれまで海外展開に消極的でした。しかし、インバウンドが増える中、海外の方に知っていただくために海外出店をしようと考えています。そして、海外の方が日本に来られる際にも、利用していただける形にしたいと考えています。

プロントコーポレーション
(東京都港区)
杉山和弘社長(51)
1974年、奈良県生まれ。1998年に神戸大学経済学部を卒業後、サントリー株式会社(現・サントリーホールディングス株式会社)に入社。2017年に株式会社プロントコーポレーションの取締役、常務取締役を経て、2021年に株式会社プロントサービス代表取締役社長に就任(兼務)。2023年に株式会社プロントコーポレーション代表取締役社長に就任。

 

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