【エターナルホスピタリティグループ】居酒屋から脱却し飲食業のインフラへ(後編)

公開日:2026.01.13

最終更新日:2026.01.09

※以下はビジネスチャンス2026年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

参・複数カ国同時進行でグローバル展開を加速 組織再編で国内・海外両軸の地盤を固める

アフターコロナでは、同社は積極的な事業展開を図っている。2023年には、長きに渡り焼鳥業界を牽引してきた「やきとり大吉」のFC本部であるダイキチシステムを子会社化し、グループ全体で1158店舗体制(2025年7月末時点)を築き上げた。2024年は社名変更して海外展開を本格化。さらに、2025年にはグローバル展開と国内外の各地域における最適な展開を図るため、地域統括会社を配する組織再編を実施した。特に、規模が大きく収益の基盤である国内鳥貴族は、「鳥貴族西日本」と「鳥貴族東日本」に分割することで、機動的かつ柔軟な経営を志向する。

目標的ブランドをグループイン 大吉の低投資を活かす海外戦略

―2023年に、大吉のFC本部であるダイキチシステムを子会社化されました。その経緯について教えてください。
大倉 実は、私に大チェーンの夢を与えてくれた店主は、もともと大吉を運営されていました。なので、私のDNAは大吉なんですよ。そのため大吉は憧れであり、目標的な存在でずっと意識していました。だからこそ、大吉との差別化で鳥貴族を作ったのです。
 そういった中で、今から十数年前に大吉がサントリーグループになったことを知りました。その時から、タイミングが合えば一緒にグループとしてやりたいと思っていました。機会を伺う中で、コロナに入って自分なりに戦略を考えていたときに、やはり大吉もグループになってもらい、アフターコロナでともに成長していきたいと考えました。そこで、当時のサントリーさんの弊社担当部長に「大吉をグループに入れたいんだけど、どう思う?」と聞いたら、「Win-Winですね」と言ってくれたんです。それがスタートです。
―同じ焼き鳥業態として、どう棲み分けを図っていくお考えですか。
大倉 大吉と鳥貴族の違いは、出店立地と店舗面積、客層にあります。出店立地は鳥貴族が駅近なのに対し、大吉は住宅立地です。また、鳥貴族の店舗面積は大吉の4倍ほどでテーブル席が中心です。そして、お客様の年齢層は鳥貴族が20~30代中心で、大吉は40代以上となっています。こうした特徴の違いを知っていましたので、十分に棲み分けできると判断をしました。
―大吉とのシナジー創出について、考えていることはありますか。
大倉 当初は、共同購入やブランド力向上がシナジーだと思っていました。大吉がグループになってくれたことで、真に日本一の焼き鳥グループになれたと。
ただ、最近はともに海外進出しようと考えています。2025年11~12月にベトナム法人を設立する予定ですが、実はベトナムにおいては先に大吉を出店します。
―その理由は。
大倉 まず、大吉は小型店舗で低投資のため、テストマーケティングなどを実施しやすいと考えました。ベトナム市場をモニタリングした後、鳥貴族を出店していく構想です。
 また、ベトナムはかつての日本のように脱サラなど、起業家精神を持つ若者が非常に多いです。そういった方々には低投資の大吉がぴったりなんですよね。
―大吉は初期投資を抑えた開業プランが特徴で、鳥貴族の3分の1程度の資金で開業可能だと聞きました。脱サラによる個人開業が多いブランドなので、ベトナムの現状とマッチします。
大倉 今、鳥貴族では約1200人のベトナム人がパート・アルバイトで働いています。その子たちは日本で働いた後、母国に戻って働きたい、もしくは起業したいんですね。では、入口だけではなく出口を作ってあげたいと考え、大吉のベトナム進出を決めました。日本でノウハウを貯め、ベトナムに帰って大吉を出店する。そのような構想です。

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#鳥貴族

LAの「TORIKIZOKU Torrance店」

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米国店舗は3店舗

米国とアジアで同時展開 知名度の高いエリアが好調

―2024年には社名変更して、海外進出が本格化しました。現在は5つのロケーションに展開されていますが、進出国選定の基準はありますか。
大倉 現在はアメリカと韓国、中国と台湾、香港で展開していますが、最初にアメリカを選定したのは、私の中で「アメリカで成功してこそ本当のグローバルブランド」という想いがあったからです。その中で、LAは日本人を含めアジア人のコミュニティが多く、焼き鳥が浸透していたので、成功しやすいだろうと考えました。
―ほぼ同時期に東アジア各国にも進出されています。
大倉 東アジアはインバウンドが多く、ある程度、鳥貴族ブランドの認知度があります。焼き鳥も浸透しているため、東アジアを選びました。
―外食FCの進出先として東アジアはメジャーな選択肢ですが、中国に展開する企業は稀です。展開状況はいかがですか。
大倉 出店エリアにより格差はあります。日本ブランドが浸透しているエリアはスタートから好調ですが、鳥貴族の知名度が低いところはスロースタートですね。
 ただ、私たちが進出しているエリアにはサイゼリヤさんやはま寿司さんも出店されているため、大衆価格の店にとっては可能性のあるエリアだと思います。
―アメリカと韓国、中国は直営、台湾は合弁、香港はFCで展開されています。進出方法はどのように決定されているのでしょうか。
大倉 マネジメントに携わる人がいる場合は直営展開しており、合弁かFCはパートナーの希望に合わせて臨機応変に対応しています。先方が合弁で展開したいようでしたら合弁になりますし、FCでも問題ない場合はFCになります。FCの方がローリスクですよね。
―特に、アメリカは土地が広大なので、直営展開では大変な部分も出てくるのではないでしょうか。
大倉 おっしゃる通りで、当初は直営をある程度展開してからFC募集しようと考えていました。しかし、現在出店しているカリフォルニアとロサンゼルスは、アメリカの中でも物価と人件費の高いエリアです。建築費も高騰しており投資が重いため、今はFCに切り替えています。
―国内店舗と海外店舗の収益構造の違いについてお伺いします。まず、価格帯を教えてください。
大倉 価格帯が最も低いのは上海で、日本円で言うと360円ほどで提供しています。それ以外の国は日本よりも高いです。たとえば、台湾や香港、韓国は500円前後となっています。最も高いのはアメリカで、4ドルと8ドルの均一にしています。現在の1ドル155円台の為替で考えると、4ドルは約620円、8ドルは約1240円になりますから、日本と比較するとかなり高いです。それでも、各国でリーズナブルと思っていただける価格を基準として、設定しています。
―5つのロケーションのうち、収益性が高い国はどこですか。
大倉 今は香港が一番良いです。2店舗展開ですがトップラインが高く、月商は4000万円台となっています。
―なぜ、それほど好調なのでしょうか。
大倉 鳥貴族ブランドが浸透していることと、焼き鳥が受け入れられていること。また、他社でも香港が一番売れているケースが多いと聞きますので、国自体にパワーがあるんでしょうね。
―ちなみに、焼き鳥に馴染みのない外国人に対し、焼き鳥をどう説明されていますか。
大倉 外したくないポイントとしては、焼き鳥という言語で広めることです。ただ、焼き鳥だけでは弱いですから、その国に合わせた解釈の仕方はしています。たとえば、アメリカではチキンバーベキューや串焼きといった言い方を含めて写真とともに説明しています。

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香港店舗が好調

肆・TCCという名称でチェーン展開 加盟企業17社で253店舗を運営

同社は、一般的なFCチェーンよりも強固なビジネスパートナーとしての関係性を確保することを目的としている。限られた加盟店オーナーを「カムレード(同志)」と称し、FCではなくカムレードチェーン(TCC)として多店舗展開を進めている。国内661店舗のうちTCC店は253店舗あるが、加盟企業はわずか17社だ。数十店舗単位を運営する加盟店が多数となっている。

18年目以降は新規加盟を停止 既存オーナーとの信頼関係を構築

―多店舗展開において大切にしていることを教えてください。
大倉 根本的な考えとして、まずは加盟店に利益をもたらして、幸せになっていただきたいという想いがスタートのときからありました。本部は後からで良いのです。幸せな加盟店が増えたときに、本部が利益を生むという発想でやっています。だから、ロイヤリティを5万円にしました。
―今の時代、飲食FCでロイヤリティ固定万円は破格です。その金額からも、加盟店に儲けてほしいという想いが垣間見えます。
大倉 また、オーナーさんが多店舗展開しやすいよう加盟金も低く設定しています。1店舗目を出店する際は、加盟金50万円と保証金50万円が掛かりますが、2店舗目からは加盟金50万円だけです。鳥貴族を広めたいという想いもあり、このような設定にしました。店舗数が増えるとバイイングパワーが付きます。それによるスケールメリットが享受できるようになりました。
―ただ、御社は長い間、加盟店募集をされていません。
大倉 道頓堀店を出店した18年目以降は、新規加盟店を募集していません。その頃には、直営を次々に出店できるようになったほか、既存加盟店の出店ペースも上がってきたため、新規加盟店を入れる必要がなくなったのです。ただし、社内独立による加盟はあります。
―新規を入れる場合は、どうしても研修やフォローが必要になります。その点、既存加盟店による増店はスムーズです。
大倉 加えて、新規を入れると、鳥貴族の理念やビジネスに対する想いが薄まる可能性があります。当社は十数年前に加盟を止めていますから、長い方では30年、短い方でも十数年の付き合いです。だから、他のFCよりも深い関係だと思っていますし、成功することが一番の信頼関係構築に繫がります。そのおかげで、過去1件の訴訟もなく、信頼関係を構築できていると思います。

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近年はファミリー客が増加

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幅広い層が利用できる飲食業界のインフラを目指す

居酒屋業界の生活必需店から飲食業のインフラへ

―近年、客単価2000~2300円の格安居酒屋チェーンが勢いを増しています。同業他社と比較した御社の強みを教えてください。
大倉 これまで鳥貴族は焼き鳥居酒屋の代名詞になっていましたが、今は客層が広がっており、ファミリー客も年々増えています。その分、以前ほどアルコールは出ていません。今では、そこまでお酒を訴求していません。どちらかと言うと、良い意味でファミレス化。格安居酒屋さんとはバッティングせず、それぞれが共存共栄できるのではないかと思っています。
―今後はファミレス化に舵を切っていくのでしょうか。
大倉 目指すところは、飲食業のインフラです。以前は、居酒屋業界の生活必需店と言っていたのですが、今後は居酒屋というカテゴリーを取り除いて、飲食業界のインフラを目指します。
 今、SNSでエゴサーチしても、ライバルとして挙がっているのは居酒屋ブランドではなく、サイゼリヤさんやスシローさん、王将さんといったファミレスブランドが多いです。鳥貴族もそのカテゴリーになってきたのだと実感しています。居酒屋業界は最も栄枯盛衰が激しいジャンルです。その中で40年間、第一線でお客様に支持されてきたのは、居酒屋というジャンルから抜け出し、客層が広がっているからだと思います。今後は飲食業のインフラになることで、業態の寿命を伸ばし、永遠のお店、永遠の会社にしていきたいです。
―居酒屋から脱却し、幅広い層が利用できる店を目指すのですね。
大倉 客層の拡大は十数年前から考えていました。なぜなら、かつてコンビニは30代男性のお店でしたが、今では老若男女に利用されています。ユニクロさんも、以前は若者がカジュアルな服を買うイメージでしたが、今やお年寄りがダウンジャケットを購入されています。こうなっていかなければ、全国隅々にまで出店できないですし、末永く愛されるブランドになれないのは分かっていましたので、幅広い客層に受け入れられるよう試行錯誤してきました。
―2026年の抱負は。
大倉 国内の出店を増やしていくと同時に、海外の出店を強化します。こうして、グローバルカンパニーになる礎を作る年にしたいですね。

エターナルホスピタリティグループ
(大阪市中央区)
大倉忠司社長(65)
1960年大阪府生まれ。調理師専門学校卒業後、大手ホテル、焼鳥店勤務を経験。1985年、「焼鳥屋 鳥貴族」を創業。その後、株式会社イターナルサービス(現:株式会社エターナルホスピタリティグループ)を設立し、チェーン展開を開始。2014 年東証ジャスダックに株式上場、2016 年には東証1部指定(2022年東証プライム市場へ移行)。2021年持株会社体制へ移行。2024年は社名を「エターナルホスピタリティグループ」に変更し、新たなビジョン「Global YAKITORI Family」を策定。「第二の創業」と位置付け、積極的な海外進出と事業領域の拡大を図っている。

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