【エターナルホスピタリティグループ】居酒屋から脱却し飲食業のインフラへ(前編)

公開日:2026.01.13

最終更新日:2026.01.09

※以下はビジネスチャンス2026年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

幅広い客層を取り込み永遠の会社を目指す

 2025年に創業40周年を迎えた「鳥貴族」。全品均一のリーズナブルな価格設定で人気を博しており、2025年7月末時点での国内店舗数は661店舗となった。 2024年には、鳥貴族ホールディングスからエターナルホスピタリティグループに社名変更し、これを機に海外展開を加速。この1年で5つのロケーションに進出し、海外15店舗を出店した。グローバルカンパニーを目指す同社は、従来の焼き鳥居酒屋を脱却し、今後は幅広い客層を取り込む飲食業のインフラになるべく舵を取る。創業40年の歩みとこれからの鳥貴族について、創業者である大倉忠司社長に話を聞いた。

壱・物価高でも国内鳥貴族は増益確保 海外への先行投資で前期は減益

同社の2025年7月期の売上高は前期比10.6%増の463億5600万円、営業利益は同3.9%減の増収減益だった。売上高は国内外への出店と既存店の成長により、増収基調を維持している。一方、営業利益は原価上昇や運営経費の増加が影響するも、国内鳥貴族は増益を確保。しかし、海外進出に伴う先行赤字により、前年同期比で減益という結果になった。

物価高で4年連続の値上げ 新メニューで付加価値を付ける

-2025年7月期決算では増収減益という結果になりましたが、直近の業績についてどう見られていますか。
大倉 アフターコロナという中では、及第点かなと。売上はコロナ前よりも高く推移しています。ただ、当初予定していた数字には届きませんでした。また、想定よりも仕入れ原価が上がったことで、利益は前期を下回る結果となりました。現在は、既存店も含めて堅調に推移している状況です。
-近年の物価高から、御社は4年連続で値上げをしています。鳥貴族はワンプライスで打ち出していることもあり、消費者へのインパクトも大きかったのではないでしょうか。
大倉 全品を一斉に上げる形になるため、お客様からするとインパクトに感じられると思います。価格設定がさまざまあるお店でしたら、値上げする商品と据え置く商品を配置するなど、目立たせずに価格改定することができますが、当店は全品均一なので目立ちます。
―かつては327円均一でしたが、現在では390円均一となりました。価格上昇分の付加価値はどのように付けていますか。
大倉 価格上昇の大きな理由は、すべて国産食材にしたことだと考えています。鶏肉は創業時から国産を使用していますが、2016年には鶏肉以外の食材もすべて国産にしました。そこは付加価値を作れました。加えて、新メニューや限定メニューにもこだわり、現在は年6回ペースで投下しています。そういったところで、お客様にも総合的価値を感じていただけていると思います。
-現在、既存店の収益モデルはどうなっていますか。
大倉 直営モデルは月商900万円前後に対し、営業利益が10~12%です。FLR比率は、原価率35%前後、人件費率35%前後、家賃7~8%となっています。

#フランチャイズ
#エターナルホスピタリティグループ
#鳥貴族

1号店の俊徳店

弍・創業1年目で倒産の危機 全品均一価格が起死回生の一手に

鳥貴族は1985年に「焼鳥屋鳥貴族」の屋号で創業し、その翌年から全品均一価格制を導入した。当時は100円ショップも浸透しておらず、均一価格が珍しかったこともあり、同制度は消費者に大きな衝撃を与えた。大倉社長は創業時から全国展開を見据えて、同ブランドを立ち上げたと話す。

創業2年目から全品均一を導入 前年比140%の売上増を実現

―鳥貴族は創業40周年を迎えました。改めて、ブランド立ち上げ時の想いについてお聞かせください。
大倉 鳥貴族は、全国チェーンを作ろうという想いで創業したブランドです。20歳くらいの時から、「せっかくこの世に生まれてきたのだから、何か大きいことがしたい、社会的インパクトがあることをしたい」という気持ちがありました。そうした中で、ある焼き鳥店の経営者と出会い、お店を手伝うことになりました。その時の仕事ぶりを店主に認めていただき、「大倉君。君とならチェーン展開、それもビッグなチェーン展開ができると思う。だから、うちに来ないか」と、お誘いを受けました。その夢に私も惚れまして、その時から大チェーンを作りたいと思うようになりました。
 その後、店主のもとで3年間、ナンバー2のポジションで働きました。そのうち自分でやりたくなり、大チェーンを作るべく鳥貴族を創業しました。
―鳥貴族の特徴の1つに、均一価格があります。均一価格を取り入れた経緯は。
大倉 私がよく通っていたお店が、230円均一だったんです。当時は100円ショップも広まっていなかったため、初めて店を訪れた際は全品均一価格に衝撃を受けました。そこは個人店ですが大繁盛しており、私もファンの1人でした。そのときに、将来自分で飲食をやることがあれば、この均一価格を絶対に取り入れたいと思いました。
―しかし、創業1年目は均一価格を採用されていません。
大倉 2年目からの採用です。創業1年目は150円、250円、350円というスリープライスゾーンでした。しかし、1年間ずっと赤字で、このままでは倒産してしまう。そんな状況になり、前々から頭にあった全品均一をスタートしました。
―全品均一のアイデアがあったにも関わらず、創業時に取り入れなかった理由は。
大倉 全品均一価格にすると、原価率の計算が難しくなります。当時、飲食業界の価格設定は仕入れ価格の3掛けが一般的でした。100円で仕入れたものは300円、200円だと600円という形で、原価率がすぐ計算できますよね。それが全品均一にした場合、仕入れ価格がバラバラなので、蓋を開けてみないと原価率が計算できません。これをやる勇気がなかったんですね。しかし、倒産するかもしれない状況になり、「じゃあもうやってまえ!」という形で始めました。
―均一価格導入後のお客さんの反応はいかがでしたか。
大倉 均一価格が浸透していない時代でしたから、皆さんびっくりされていました。手応えもあり、導入1年後には140%の売上増になりました。

大吉との差別化を意識 旧来の焼鳥イメージを払拭

―100円ショップが浸透していなかった約年前、焼鳥業界はどのような状況だったのでしょう。
大倉 当時は「やきとり大吉(以下:大吉)」が、大阪を中心に恐らく200店舗以上あったと思います。大阪は大吉だらけというイメージでした。それだけ出店していたものですから、大吉を真似た焼き鳥店もポツポツ生まれていました。
―ということは、大吉との差別化は常々考えていたのですか。
大倉 おっしゃる通りで、大吉と同じことをしても必要とされないだろうと、差別化の方法を考えました。当時の焼き鳥店は中高年男性のお店で、女性同士で来たら注目されるような雰囲気でした。そこで私は若い方、もっと言うと、女性客に来ていただけるような焼き鳥店にしようと考えました。
―若い人を取り入れるために、どんな工夫をされたのですか。
大倉 まず、店名ですね。当時は「伝助」や「助六」など、大吉を含めていかにも焼き鳥店といった名前が多かったです。そのため、おしゃれに感じていただける店名を考えました。また、お客様を大切にしたいという想いがあったので、貴族扱い。そこで「貴族」という言葉が降ってきまして、「鳥」を付けて「鳥貴族」。これだったら、焼鳥っぽさはなく安心感もあります。
―創業当時から若者や女性の利用が多かったのでしょうか。
大倉 徐々に増えていきました。それまでの焼き鳥店は、はっぴや作務衣を着た年配の店主がやっているイメージでしたが、創業時は私も25歳と若かったですし、アルバイトの大学生たちと切り盛りしていたので、安心感はあったと思います。また、当時では珍しくTシャツで営業していたこともあり、若い方や女性にも入ってもらいやすいカジュアルな雰囲気を醸し出していました。
―現在の男女比率は。
大倉 男性6割、女性4割ですね。繁華街では逆転しているようです。

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俊徳店の営業風景

空中階出店がターニングポイントに 出店の幅が広がり拡大フェーズへ

―これまでの40年を振り返って、特に苦労された時期はありますか。
大倉 1つは、1年目ですよね。ずっと赤字が続いていたため、倒産の危機でした。もう1つは、全国チェーンを目指す傍ら、思うように出店できなかった時期です。創業18年目までは、直営とFCをあわせて35店舗でした。私が描く全国チェーンのイメージは400~500店舗だったので、それからすると計画よりだいぶ遅い出店ペースでした。
―18年目以降は何が変わったのでしょう。
大倉 ターニングポイントは道頓堀店の成功です。道頓堀店は初の繁華街立地で、空中階での出店でした。道頓堀という都会で成功したことで知名度が上がり、さらに空中階でも人が呼べることも分かりました。
 それまで焼き鳥店は1階路面店が中心で、家賃が高く出店できなかった場所もありましたが、空中階という選択肢が加わり、どんどん出店できるようになりました。それから、出店場所は地下か空中階が中心になりました。出店スピードも格段に上がり、道頓堀店を出店するまでの18年間で35店舗だったものが、その後の18年間で600店舗ほどに増えました。

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初の空中階店舗の道頓堀店

エターナルホスピタリティグループ
(大阪市中央区)
大倉忠司社長(65)
1960年大阪府生まれ。調理師専門学校卒業後、大手ホテル、焼鳥店勤務を経験。1985年、「焼鳥屋 鳥貴族」を創業。その後、株式会社イターナルサービス(現:株式会社エターナルホスピタリティグループ)を設立し、チェーン展開を開始。2014 年東証ジャスダックに株式上場、2016 年には東証1部指定(2022年東証プライム市場へ移行)。2021年持株会社体制へ移行。2024年は社名を「エターナルホスピタリティグループ」に変更し、新たなビジョン「Global YAKITORI Family」を策定。「第二の創業」と位置付け、積極的な海外進出と事業領域の拡大を図っている。

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