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【連載 第5回目】外食のプロ経営者が伝授する労務管理 虎の巻

公開日:2025.12.01

最終更新日:2025.12.06

※以下はビジネスチャンス2025年12月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

人件費アップに負けない店舗経営

人時生産性で見える効率化のヒント

 コロナ禍が明け、2024年の訪日旅客数は過去最高を記録した。しかし、飲食業界は今も試練の中にいる。当連載では、外食FCに長きに渡り携わってきた安田隆之社長が、現場の「気づき」から得たノウハウを綴っていく。

広がる人件費の負担

 今年10月から最低賃金が改訂され、全国平均では1055円から6%のプラスとなって1118円となりました。東京を例に取ると、6%アップしたときの最低時給は1226円。仮に、売上高人件費比率(お給料やボーナスなどの直接人件費)が35%の企業ですと(決算期のタイミングでの期ズレはありますが)、売上高に対して約2%のインパクトとなります。それに加えて、法定福利費も増加します。直接人件費に対する法定福利費率は業種や企業によって異なりますが、概ね15〜20%程度なので、これらを合計したインパクトは売上高に対して約2.5%程度を覚悟しなければなりません。つまりそれだけ営業利益率が低下するということです。だからこそ、労務費をきちんと管理して効率的に店舗経営を行うことが重要になってきます。

見える化でムダを修正

 前回は、労務費が効率的に使われているかをチェックする手法として、「人時生産性」と「人時接遇人数」という指標をご紹介しました。今回は、その具体的な使い方についてお話ししたいと思います。
 おさらいですが、「人時生産性」とは、売上額を労働投入時間数の総和(=正社員やアルバイトを問わず全従業員の総労働時間数)で割ったものです。従業員1人1時間あたりの売上を示すことができるため、労働投入量が適正かどうかを判断できる指標となります。
 POSデータを抽出して、①時間あたり、②日時あたり、③月次あたり、でそれぞれの「人時生産性」を計算してみてください。すると、1日の中でも時間帯ごと、1週間の中でも曜日ごと、あるいは1年でみても月ごとに、驚くほどバラツキがあることに気づかれるはずです(当社の例では4000円/人/時から6000円/人/時というほどのバラツキがありました)。
 言い換えれば、もしも「人時生産性」が極端に低い時間帯や曜日、月があれば、それは「労務費が効率的に使われていない=改善の機会点」だということです。もちろん、例えばアルバイトの短時間シフトを組むのが難しい場合、全ての時間帯で同じ「人時生産性」を維持することはできません。それでも「人時生産性」のデータがあれば、月次でのバラツキがあったとしても、それを最低でも週次で調整したり、その目標を店長とともに設定し、フォローすることが可能になります。

日々のチェックが重要

 一方で、従来型の月次の労務費(労務費額あるいは労務比率)だけで管理しようとすると、月の前半に労務費を入れすぎてしまったために、月の後半になって慌てて労務費を絞るという事象が発生してしまいます。労務費とは、月給制の正社員と時給制のアルバイトとの労務費が混在したものの合計額のため、いわば「月次での仕上がりの結果」を見る指標としては適切でしょう。しかし、「日々投入する労働量が売上に対して適正かどうか」を日々動的に判断する指標としては、あまり効果的ではないように思います。
「人時生産性」とは、売上額を労働投入時間数の総和で割ったものですから、これを逆算して「人時生産性」の目標値を設定し、日々動的にフォローしておけば、月の後半になって労務費を絞るような事態を防ぐことができます。当社では、これを加味した「人時生産性」の目標を月次で設定しています。次回は、「人時接遇人数」についてお話しします。

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安田 隆之社長(64)

1960年生まれ。86年3月、中央大学大学院法学研究科修士課程修了。同年4月にモービル石油株式会社入社。2005年、日本マクドナルドホールディングス入社。08年に同社取締役管理部門統括上席執行役員に就任。11年に同社を退職し、株式会社コメダの代表執行役社長に就任。13年に株式会社Kissaco設立、代表取締役社長に就任。

 

 

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