【連載 第16回】ナニコレ賃貸借　繁友社長の知識てんこ盛　

出店で失敗しないための鉄則

　FC本部にとってもフランチャイジーにとっても、出店立地は重要だ。「地域、貸主、テナント企業、三方よし」を掲げる繁友健志社長が店舗不動産の知識をわかりやすく解説。読めば繁盛の「シゲモリ」連載だ。

エリアと物件を制することが成功のカギ

エリア選定力と物件獲得力が明暗を分ける
　フランチャイズに加盟して成功するためには、単に本部のマニュアル通りに運営するだけでは不十分です。最も重要なのは、「どのエリアで」「どの物件で」勝負するかという点です。具体的には、「エリア選定力」と「物件獲得力」が成否を分ける要素となります。

エリア選定力－勝てる土俵を選ぶ
　どれだけ人気のブランドに加盟しても、ブランドと相性の悪いエリアに出店すれば苦戦は避けられません。ブランドのターゲットがどのような層で、どこに集まっているのかを冷静に分析しなければなりません。
「エリア選定力」を養うには、加盟を検討するブランドが「どのような集客導線を想定しているか」を把握することが欠かせません。街の人の流れを実際に歩いて観察したり、同業態の競合ブランドがどの立地で成功しているかを調べることも有効です。

物件獲得力－勝てる場所を確実に押さえる
　仮に勝てるエリアを見つけても、物件を借りられなければ意味がありません。人気エリアの好物件は常に競争が激しく、同時申込や審査落ちでチャンスを逃すケースも少なくありません。そこで必要になるのが「物件獲得力」です。
　物件獲得力とは、貸主に「この会社なら安心して貸せる」と思わせる力のことです。そのためには、「貸主提出資料」を入念に準備することが重要です。貸主提出資料には、会社概要や代表者の経歴、過去の事業実績、加盟ブランドの特徴や市場優位性、さらに具体的な事業計画を明記しておくと良いでしょう。
　貸主は「誰に貸すか」を非常に重視します。家賃を滞納しないか、長期的に安定して営業を続けられるか、地域に悪影響を与えないか。こうした不安を払拭するために、申込書だけでは伝わらない熱意や信頼性を、書面でアピールすることが競争を勝ち抜くカギとなります。

エリアと物件を押さえることが成功への近道
　フランチャイズ加盟を検討する経営者の中には、「運営は本部がサポートしてくれるから安心だ」と考える方も多いでしょう。確かにマニュアルや研修制度は心強いですが、出店場所を間違えれば、どれだけ運営力が高くても売上は上がりません。勝てるエリアを見極め、さらにそこで好条件の物件を確実に借り切る力を持つことが、フランチャイジーとしての成功を大きく近づけるのです。
　ブランドに合ったエリアを選び、競合より一歩先に物件を押さえる。そのためには、ターゲットを徹底的に理解し、貸主から「ぜひ貸したい」と思われる準備を整えることが不可欠です。本部に任せきりではなく、自らエリアを歩き、データを集め、貸主に誠実に向き合う。その積み重ねが、成功を確実にするのです。

今月の一句

勝つ物件　借り切る力　夢叶う

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Profile　しげとも・たけし
1983年、神奈川県生まれ。大学卒業後に証券会社に入社し、その後、多店舗展開企業向けの不動産コンサルティング会社を2社経験。2019年に、店舗物件に特化した不動産会社「店舗情報サービス株式会社」を創業。現在は大手チェーンから新興フランチャイズの出店支援や店舗物件に特化した不動産事業を展開している。

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