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【連載 第21回】フランチャイズオーガナイザー佐々木翔が直々レクチャー! 健全で強い本部の作り方

公開日:2025.10.01

最終更新日:2025.09.24

※以下はビジネスチャンス2025年10月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

完全合意条項について

完全合意条項で不明確さを回避
 確かな実績を持つ弁護士先生が作成されるFC契約書には、必ず「完全合意条項」が入っています。完全合意条項とは、契約書に記載された内容のみが契約の内容であることを明確にし、契約書に記載されていない口頭での合意や効力を否定する条項のことです。契約内容の不明確さや、後々の紛争を防ぐことを目的としています。
 私自身、末端のSVから本部中枢や責任者まで、本部社員として全ての階層や機能を経験してきたため、この完全合意条項の必要性と意義を強く感じています。事例として分かりやすいのが、本部社長と加盟オーナーが会食の席などで、FC契約書に記載のないイレギュラーな内容について口約束をしてしまうというものです。
例えば、テリトリー制で運用しているFCにおいて、Aオーナーが本部社長に対し、「来年に融資が着金する予定なので、着金したら2店舗目の加盟金を支払います。それまで隣の○○市のエリアの確保をお願いします!」と打診し、本部社長が口約束で了承したとします。その直後に、同じく○○市で2店舗目を出店したいBオーナーがすぐに加盟金を支払うと申し出てきたら、どうでしょうか。Bオーナーに対して、「○○市はAオーナーが既に2店舗目の加盟金を支払い、テリトリーを確保しています」と事実を改ざんすれば局面を乗り切ることはできると思いますが、板挟みで対応する本部社員は良心の呵責に苛まれることでしょう。
 このようなことは往々にして起こることで、何も珍しくはありません。どの本部社長も加盟オーナーに好かれたいですからね。そのため、冒頭で触れた完全合意条項が重要になってくるのです。

事前に伝えることで抑止力にも
 しかし、FC契約書に完全合意条項が盛り込まれているだけでは意味がありません。この完全合意条項の意味や意義、これをFC契約を締結する前の加盟前最終面談などで明確に伝えて理解いただく必要があります。
 これをしなかった場合、先述のような口約束をした後になって、「FC契約書に完全合意条項の記載があるように、口約束は無効でして……」と伝えたら、(ルール上は問題がないわけですが)、その加盟オーナーの本部社長への信頼が一気に崩れることは、想像に容易いですよね。
「FC契約書に記載がある内容以外は効力がないこと」を本部も加盟オーナーも完全に理解していることが重要です。これが徹底されていれば、加盟オーナーが会食の場などで本部社長に交渉をしてくることも抑止できます。また、本部社長や本部メンバーも口約束は効力を有しないため、軽はずみな返答はかえって加盟オーナーに迷惑がかかると心得るようになり、そもそも口約束をしてしまうような事態を未然に防ぐことに繋がります。
 万が一、FC契約書に記載のない特約や新設のルールを設けたい場合は、FC契約書に紐づく覚書を作成し、双方合意の旨を書面化することを徹底しましょう。

 

フランチャイズ
佐々木翔
フランチャイズオーガナイザー
完全合意条項Profile ささき・しょう
 某FC本部に在籍し、SVやオーナーコンサルチーム責任者として加盟店継続率96%を実現。その後、コンサルティングファームを経て、2017年にリユースショップWAKABAのFC本部を立ち上げた。加盟開発/店舗開発/SV/融資/法務など、全てのFC本部機能をオーガナイズし、加盟募集開始から3年で100店舗、4年で150店舗展開を達成。2021年に株式会社フリグマを設立し、3年で100店舗達成をコミットするFCオーガナイズサービスを世の中に提供するべく活動している。

加盟募集開始から3年で100店舗を実現した確かな実績とノウハウでFC本部をサポート。
株式会社フリグマ
https://flegma.jp/
FCオーガナイザーのYouTube番組
https://www.shosasakifranchisor.com/

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