
【連載 第19回】フランチャイズオーガナイザー佐々木翔が直々レクチャー! 健全で強い本部の作り方
公開日:2025.06.02
最終更新日:2025.06.06
※以下はビジネスチャンス2025年6月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
加盟者からのFC契約解約要件
「フランチャイズオーガナイザー」としてFC本部構築のトータルサポートを行うフリグマの佐々木翔社長は、前職のFC本部で「3年間・100店舗」の出店を牽引した実践型コンサルタントだ。同氏が目指すのは優秀なFC本部の育成だが、その先には業界の健全化も見据えている。本連載では佐々木氏がこれまで培ってきた「時流に沿った本部構築方法や運営の在り方」を、実際の手順を踏みながら語っていただく。
トラブルになりやすい「中途解約」に備える
今回は、FC契約書作成前に決定するべき「加盟者からの解約要件」について触れていきます。FC契約を締結する時点で、解約のことを考える加盟者はほぼいません。明るい未来を想像し、FC契約を締結するでしょうからね。ですが、本部視点では「考えたくないケース」を想定して、その際の対応をFC契約書に盛り込んでおく必要があります。
要件が明確に定まっていないと最もトラブルになりやすい要素は、契約満了前の解約、いわゆる「中途解約」です。加盟者が中途解約を希望するケースで、FC契約書に反映が必要な事項は以下です。
①中途解約する場合の通知期限
②解約通知の方法
③通知後の合意の方法
④中途解約時に発生する違約金
⑤違約金の支払方法
⑥振込手数料の負担について
まず、①通知期限について、「今月で辞めます」がまかり通ってしまうと、利用者や近隣の加盟オーナーに迷惑が掛かってしまうため、3~6ヶ月前に解約通知を求める設定を推奨します。②の通知の方法については、エビデンスとして機能すればどんな方法でも構いません。③の通知後の合意についてですが、加盟者が通知期限を守れば解約を決定事項とする本部もあります。しかし、加盟者の意思次第でいつでも解約が可能というのは、FCチェーンのブランディングを毀損しかねないため、本部が合意して解約を決定事項とするほうがベターでしょう。
違約金の設定は蓄積されたノウハウを守る砦
④~⑥の違約金についてですが、残存期間分のロイヤリティを違約金として設定することが主流となっています。ロイヤリティが「月売上の○%」などの変動制の場合は、その解約希望時までの平均ロイヤリティ×残存期間となります。
これをフラットに御覧になると、「解約をしようとする加盟者に対してこの違約金の設定は負担が重いのではないか?」と思われることでしょう。なぜ加盟者の負担が重い設定が主流になっているのでしょうか。それは、この違約金の設定が無いと、事業への本気度や覚悟がない加盟者が出てきてしまうためです。
さらに、競合他社が加盟して運営ノウハウを得たうえで、FC契約を解約することも可能になってしまいます。直営店やそれまでに存在したFC店の努力により積み上げられた運営ノウハウを、本部は守らなければなりません。事業への本気度や覚悟を伴った加盟者とのみFC契約を締結するべく、違約金を設定することがベターなのです。
他方、本部視点としてこれらの背景やリスクを理解したうえで、加盟者を契約満了までに解約させない自信があったり、解約時の痛み分けなどの理由から、違約金を設定しない本部も一定数存在します。目の前の事業内容や本部のカルチャーを鑑み、最適な中途解約時の違約金ルールを設定していきましょう。
Profile ささき・しょう
某FC本部に在籍し、SVやオーナーコンサルチーム責任者として加盟店継続率96%を実現。その後、コンサルティングファームを経て、2017年にリユースショップWAKABAのFC本部を立ち上げた。加盟開発/店舗開発/SV/融資/法務など、全てのFC本部機能をオーガナイズし、加盟募集開始から3年で100店舗、4年で150店舗展開を達成。2021年に株式会社フリグマを設立し、3年で100店舗達成をコミットするFCオーガナイズサービスを世の中に提供するべく活動している。
加盟募集開始から3年で100店舗を実現した確かな実績とノウハウでFC本部をサポート。
株式会社フリグマ
https://flegma.jp/
FCオーガナイザーのYouTube番組
https://www.shosasakifranchisor.com/
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