【連載 第19回】南部の兵法～市場を押さえたパッケージづくり～

AUN’S GYM

　フランチャイズ業界で本部構築・開発のコンサルティング事業を行うディーセント・スタイルの南部晃舗社長。これまで70社以上を成功に導いてきた同氏が、急成長を遂げる経営者に突撃取材！「時代に刺さるビジネス」に迫る。

マシンメーカー経営のジム

KONGOU 山岸 浩太 社長（39） AUN’S GYM　直営5／FC1

南部　今回は「AUN’S GYM」を手掛ける KONGOUの山岸浩太社長にお話を伺います。まずビジネスモデルについて教えてください。
山岸　24時利用できるフィットネスジムで、現在は直営5店舗、FC1店舗を展開しています。フィットネスマシンメーカーなので、全店舗に自社開発のマシンを導入しているのが大きな特徴です。月会費6980円で、平日はジム内にスタッフが常駐しています。
南部　マシンメーカーがジムを経営するのは珍しいですよね。そもそもメーカーとしてスタートした背景にはどんな思いがあったのでしょうか。
山岸　元々はライザップに勤めていましたが、パーソナルジム経営のために独立し、14年から20年にかけて直営20店舗まで拡大しました。実は、当時のフィットネスジムのマシンはすべて欧米メーカー製でした。アジア人の骨格には適さないことも多く、マシンを正しく使いこなすためには工夫が必要でした。そこで、日本ブランドでアジア人の骨格に合わせたマシンがあったら面白いだろうと思い、ジム事業は廃業してメーカーを立ち上げました。当社のマシンは使った瞬間に違いを感じられるはずです。業界に風穴を開けたと自負しています。
南部　なるほど。マシンでそれほど変わるものなのですね。再度、店舗運営に乗り出したきっかけはあるのでしょうか？
山岸　チョコザップの1000店舗目までは当社がマシンを提供していて、メーカーとしての事業のみ展開していました。契約終了を機に、ジムそのものをサポートしたいと思ったのです。ジム業界は初心者から経験者まで、全方位に配慮した結果、特徴の薄いジムが多いように思います。私たちはもっと尖った存在でいたい。マシンの導線などは玄人目線を意識して、鍛える順番が大事というセオリーに従って店舗設計をしています。

FCは脱サラオーナー中心

南部　FC事業でもマシン事業を中心に考えているのでしょうか。
山岸　そうですね。ロイヤリティはいただかず、当社のマシンを導入してもらい、リース代のみをいただく仕組みです。50坪前後のスペースで、マシンを30台程度導入いただく想定です。初期投資合計は2000〜3000万円となっており、回収期間は3〜5年を見込んでいます。
南部　加盟者にはどんな方が多いですか。
山岸　現在、加盟契約が15件決まりました。中心は個人の脱サラの方ですね。元パーソナルトレーナーや、当ジムの元会員も加盟してくれました。法人は全体の1割ほどです。
南部　今年9月に長野でFC1号店をオープンされました。収益性はどうでしょう。
山岸　初月想定400人のところ650人が入会してくれました。月商は250〜300万円ほどになると予測しています。
南部　今後の展開について教えてください。
山岸　年明けから月3店舗ペースで開業予定です。今期末までに330店舗、30年3月までに150店舗を目指しています。ジム市場は年始から新年度にかけて盛り上がるので、その時期にしっかりサポートして、着実に軌道に乗せていきたいですね。
南部　いい流れになっているので、目標達成も近そうですね。革新的なお話で勉強になりました。

Profile　なんぶ・あきお
愛知県名古屋市出身。1977年生まれ。明治大学商学部卒業後、日系コンサルティングファームにて、飲食・サービス・小売など様々な業界の診断・改善コンサルティングに従事した後、2004年独立。2社設立・売却を行った後、2008年に株式会社ディーセント・スタイルを設立し、家系ラーメン「町田商店」や800拠点を超えるデイサービス業態などの本部構築をはじめ、飲食・サービス・小売・福祉など上場企業を含めた様々な業界・業態に対するチェーン本部支援を行なっている。

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