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【連載 第14回】FC弁護士が答えるランチャイズ法律相談 

公開日:2025.10.01

最終更新日:2025.09.24

※以下はビジネスチャンス2025年10月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

フリーランス保護法

 フランチャイズに加盟する、本部を構築または運営する。いずれの場合も法律の知識は欠かせない。「知らなかった」では済まされない失敗を防ぐために、法に基づく考え方を知っておきたい。チェーンビジネスに詳しい現役弁護士が、実例を交えてわかりやすく解説する。

Q: フリーランス保護法とはどのような法律で、どのような場面でFCに適用されていますか?

⒈フリーランス保護法の目的
 働き方の多様化に伴い、従来の労働法の範疇に入らない契約で働く個人の保護が必要となりました。そこで、そうした個人等を保護するために「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(以下、「フリーランス保護法」)が制定されました。

2.フリーランスとの取引の適正化
 企業がフリーランスと取引をする場合、以下の3点を遵守しなければなりません。
(1)企業はフリーランスが提供する業務の内容や報酬の額、支払期日などの9つの重要な取引条件を、書面又は電磁的方法(電子メール等)によりフリーランスに対して明示する。
(2)企業はフリーランスから給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に、報酬支払期日を設定して支払う。
(3)フリーランスに対し、1カ月以上の業務委託をした場合、フリーランスの責めに帰すべき事由なき受領拒否、報酬減額、返品、相場より著しく低い報酬額の設定、自己の指定する物等の購入強制をしない。また、フリーランスに経済上の利益を提供させたり、フリーランスの責めに帰すべき事由なく業務をやり直させることによりフリーランスの利益を不当に害しない。

3.フリーランスの就業環境の整備
(1)広告等により募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保つ。
(2)6カ月以上の業務委託(継続的業務委託)については、フリーランスが育児介護等と両立して業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をする。
(3)ハラスメントについての相談対応など必要な体制を整備する。
(4)継続的な業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに、書面の交付、ファクシミリの送信、又は電子メール等の送信により、フリーランスに対し予告する。

⒋違反に対する行政の対応、罰則
 フリーランス保護法に定められる義務に違反した場合には、公正取引委員会・中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、違反行為について立入検査などの命令ができます。命令に違反した場合や検査を拒否した場合等には、50万円以下の罰金が科せられる場合があります(24条、25条)。

⒌FCへの影響
 サービスFCの中には、店舗も従業員も持たない個人の加盟者もいます(例:ビル清掃FC、美容室におけるスタイリスト、パーソナルトレーニングにおけるトレーナー)。そのようなサービスFCにおいて、本部が依頼者から業務を受注し、加盟者に対してその業務の実施を委託する場合は、フリーランス保護法の適用対象となります。また、本部が店長に対して直営店の店舗運営を委託する場合(店長業務委託)もフリーランス保護法の適用があります。
 多くのサービスFCでは、最初にFC契約書を作成した後、本部が加盟者に個別の取引について業務内容や報酬の支払時期を書面で伝えていないことがあります。令和7年6月には小学館、光文社、島村楽器などがフリーランスに取引条件を書面で明示していなかったとして公正取引委員会から勧告を受けています。

弁護士法人心斎橋パートナーズ

フランチャイズ
弁護士法人心斎橋パートナーズ
フリーランス保護法Profile かんだ・たかし
1963年大阪生まれ、早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。チェーンビジネス法務を専門とし、多くのFCチェーン、レギュラーチェーンの顧問を務める。現在、弁護士法人心斎橋パートナーズ代表社員。(社)日本フランチャイズチェーン協会研究会員・専任講師。(社)中小企業診断協会東京支部フランチャイズ研究会特別会員。経営法曹会議会員。(株)あさひ社外取締役。趣味は筋トレと格闘技。2023年度全日本マスターズレスリング選手権78㎏級3位。
 「ケース別 法的交渉の実務」(共著・青林書院・2020年)「フランチャイズ契約の実務と書式(改訂版)」(三協法規・2018年)
「事例で分かる外食・小売業の労務戦略(増補版)」(第一法規・2018年)
「フードサービス店長法律ハンドブック」(商業界・2013年)「よくわかる!フランチャイズ入門」(共著・同友館・2011年)

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