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【連載 第15回】FC弁護士が答えるランチャイズ法律相談 

公開日:2025.12.01

最終更新日:2025.12.06

※以下はビジネスチャンス2025年12月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

フリーランス保護法

 フランチャイズに加盟する、本部を構築または運営する。いずれの場合も法律の知識は欠かせない。「知らなかった」では済まされない失敗を防ぐために、法に基づく考え方を知っておきたい。チェーンビジネスに詳しい現役弁護士が、実例を交えてわかりやすく解説する。

Q: 最近、厚生労働省から、「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」が発表されました。事業者はどのような点に注意すればよいでしょうか?

1.スポットワーカーとは、「短時間・単発の就労を内容とする雇用契約のもとで働く労働者」のことを言います(一般社団法人スポットワーク協会)。契約方式としては、使用者と労働者との間の労働契約です。スポットワークでは、スポットマッチングアプリにおいて、求職者との契約がなされます。労働契約はあくまで使用者と求職者(スポットワーカー)との間で成立するものであり、仲介者(タイミー、シェアフル、LINE スキマニなど)との間に成立するものではありません。
 使用者にとってスポットワークは、①人手不足対策、②シフト調整の容易さ、③働く時間・働く期間の短さ、④人件費の削減、などのメリットがあります。他方、①面接等がなく企業側で労働者を選べない、②教育・研修時間がないため単純労働しか任せられない、③他の社員とのコミュニケーションを取る時間がほとんどない、などのデメリットが指摘されています。

2.これまでは、あくまでアプリ上で労働契約が成立し、業務当日に就労場所のQRコードを読み取ってチェックインした時点で労働契約が成立するとされていました。
 そのため、当日に事業主から急に仕事をキャンセルされても、求職者は事業主に対して休業手当を請求できず、求職者がそのスポットワークのために他の仕事を断った場合などに不利益が生じていました。
 そこで、令和7月4日に、厚生労働省は「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」を発表し、使用者向けのリーフレット(※1)において、「面接等を経ることなく先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立する」と述べました。この解釈に立てば、スポットワーカーが求人に応募した時点で労働契約が成立するので、就労場所に到着する前に事業主の都合で仕事をキャンセルした場合、事業主はスポットワーカーに対して休業手当を支払う義務を負うことになります。

⒊厚労省の発表を受けて、一般社団法人スポットワーク協会も、「スポットワークサービスにおける適切な労務管理へ向けた考え方」を公表し、「2025年9月1日以降、スポットワークサービスについて、働き手が求人への応募を完了した時点で解約権が留保された労働契約(解約権留保付労働契約)が成立するとの考え方に立って、順次、各社において必要な対応を進めていきます。」と発表しました。
 スポットワークを利用している事業者としては、今後、スポットワーク各社のキャンセルポリシーに注意してください。また、スポットワーカーに対して労働条件や解約条件を明確に伝えるために、自社の業務内容を正確に反映した労働条件通知書を用意することが必要となります。

4.その他にも、厚労省が発表した使用者向けのリーフレット(※1)には、賃金・労働時間に関する注意点、労働災害防止対策や、ハラスメント対策の必要性が書かれています。スポットワークを利用している店舗では一読をお勧めします。
(※1)『「知らない」では済まされない「スポットワーク」の労務管理』

 

弁護士法人心斎橋パートナーズ

フランチャイズ
弁護士法人心斎橋パートナーズ
フリーランス保護法Profile かんだ・たかし
1963年大阪生まれ、早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。チェーンビジネス法務を専門とし、多くのFCチェーン、レギュラーチェーンの顧問を務める。現在、弁護士法人心斎橋パートナーズ代表社員。(社)日本フランチャイズチェーン協会研究会員・専任講師。(社)中小企業診断協会東京支部フランチャイズ研究会特別会員。経営法曹会議会員。(株)あさひ社外取締役。趣味は筋トレと格闘技。2023年度全日本マスターズレスリング選手権78㎏級3位。
 「ケース別 法的交渉の実務」(共著・青林書院・2020年)「フランチャイズ契約の実務と書式(改訂版)」(三協法規・2018年)
「事例で分かる外食・小売業の労務戦略(増補版)」(第一法規・2018年)
「フードサービス店長法律ハンドブック」(商業界・2013年)「よくわかる!フランチャイズ入門」(共著・同友館・2011年)

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