【アクセルワン】チェーン最優秀賞評価を獲得したCoCo壱番屋の加盟店
公開日:2025.11.04
最終更新日:2025.10.21
※以下はビジネスチャンス2025年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
勤務形態の幅を広げ、良好な労働環境を整備
2004年に設立したアクセルワンは、静岡と愛知で「カレーハウスCoCo壱番屋(以下 : ココイチ)」を6店舗運営するフランチャイジーだ。同社は従業員が働きやすい環境を整備するため、労働時間や労働内容など勤務形態の幅を広げている。その結果、従業員の定着率が高まり、採用も順調だという。同社の尾藤慎也社長に経営戦略や人材育成への取り組みを聞いた。
店舗業務の洗練を継続 チェーン最優秀賞評価を獲得
--尾藤社長は2000年に新卒で、壱番屋に入社されたそうですね。入社の決め手は。
尾藤 もともと25歳で経営者になると決めていたんです。僕の父親はサラリーマンでしたが、それを踏襲するよりも違った生き方をしてみたいと思い、経営者になると決めました。そして、若き日の僕は25歳で独立したら30代で借金を返済できると考え、漠然と25歳を起点にしました。25歳で経営者になれる業種を考える中で可能性が見えたのは、不動産とカーディーラー、外食FCの3つでした。
--外食FCの候補はいくつありましたか。
尾藤 外食FCの候補は壱番屋だけでしたね。僕には担保として提供できる資産がなく借入ができない状態でしたから、債務保証制度があることは有難かったです。また当時、壱番屋の加盟企業の幹部に話を聞きにいったのですが、その方に「資本なしで開業できるが、独立できるのは全体の7%しかいない」と言われました。はっきり言ってくれたので、信頼できました。それがきっかけとなり壱番屋に入社したのですが、蓋を開けてみたら3%の社員しか独立できない世界でした。
--そんな中、尾藤社長は当時の最短記録となる3年で独立を果たしています。オープン初期は順調でしたか。
尾藤 開業直後はオープン景気で賑わいましたが、その後の売上は今一つでした。最初は認知度が低くお客様も少なかったですが、営業を続けるうちにお客様の支持が増えていきました。そして、2015年に本部が定める店舗評価で、全国で唯一のA評価をいただきました。この滅多に出ないA評価を獲得したことで評判となり、全国から壱番屋関係者の人が来るようになりました。当時の月商は800万円に上り、オープン当初の2倍近い額となりました。
--何がA評価に繋がったのでしょうか。
尾藤 接客や運営、掃除などすべての業務を突き詰めて、真摯に仕事をしたことだと思います。お客様からお金をもらっているので、真摯に仕事をするのは当然です。これはスタッフにも厳しく言っています。

静岡と愛知でココイチ6店舗を運営
原価と人件費のWパンチ デジタル化が活路を開くか
--前期の売上高は5億4000万円でしたが、今期は過去最高の売上水準になりそうですか。
尾藤 今はピークを少し更新していますが、値上げなど色々な要素が重なり、客数は少し下がっています。そのため、ここからが正念場だと思います。
--理想の利益率は確保できていますか。
尾藤 今の段階ではできていないですね。原価が高騰しすぎてしまって。特に当店は米が主食なので思いっきり打撃を受けました。
--原価率が高くなった分、タブレット注文などデジタルツールの導入で人件費率を抑える工夫をしています。
尾藤 人件費も上がってきていますし、現状ではあまり抑えられてないですね。そのため、今後の生産性や集客性を決める鍵はデジタルだと考えています。
 ただ、何でもかんでもデジタルにすればいいという考えではありません。たとえば、紙で注文を取った方が店にとっては生産性が高く、お客様にとって便利ならその方が良策に決まっています。なので、今後はデジタルを正しく使って、正しい生産性の上げ方をした店舗が勝ち残ると思います。
--原価と人件費高騰のWパンチで、利益を確保するためには値上げしかありません。
尾藤 FC本部としても苦渋の決断だったとは思いますが、われわれ加盟店の経営状況を考慮して値上げをしてくれたので、すごく有難く思っています。

従業員が健やかで豊かに働ける環境を作り続ける
働き方の多様性を重視 選択できる環境を提供
--FC店を運営するうえで、大切にしていることはありますか。
尾藤 加盟店の立場からすると、しっかりと信頼関係を築ける本部を選ぶことが大前提ですが、本部の経営理念を体現できるよう、自分たちの責任を果たすことです。要は、加盟店は加盟契約に基づいて行動し、ブランド理念を実現できるよう一生懸命に努力します。その上で、本部に対して言うべきことがあれば、しっかりと意見します。
 また、当社で言えば、社長である僕と従業員がお互いに責任を果たし合う関係でいられるよう、従業員にも日々指導しています。
--社長と従業員、それぞれの責任とは。
尾藤 従業員が果たすべき責任は、お客様に対してチェーンが考えるサービスを提供することや、当社が定めた管理方法を実践することです。そして僕は、これに誠実に取り組んでくれる従業員に対して、福利厚生や労働環境を年々高めていく責任があります。従業員を本当に大切に思うなら、言葉で示すよりも彼らが働きやすい環境を実現してこそだと思います。
--良好な労働環境を作るうえで、重視していることを教えてください。
尾藤 選択できることです。たとえば、休みの日を選択できる、労働時間を選択できる、転勤の有無を選択できる。さらに、能力的に通常の業務が難しい人は、可能な範囲で働くことも認めています。こうすると給与体系が複雑になり管理が大変ですが、働き方の多様性は大事だと思います。
--人材採用は順調ですか。
尾藤 おかげさまでかなり潤沢だと思います。当店を利用して応募してきた人も一定数います。紹介も多いですね。また、時給は地域の相場よりも高く設定しています。
--人材育成に関する取り組みを教えてください。
尾藤 パートアルバイトの研修にかなりのお金と時間をかけています。自社で研修動画を作っていて、数日はマンツーマンで店舗業務を教えます。また、1人前の基準に達するまでは研修時給となりますが、研修修了のジャッジを下せるのは僕と幹部の3人のみです。
--今後の目標は何ですか。
尾藤 僕が目指しているのは店舗数や売上高などの数ではなく、ただ単に当社の従業員が健やかで豊かに働ける環境を作り続けることです。従業員の満足度を上げ、店の質を上げ、お客様の満足にも繋げます。こうして満足を積み重ねていくことで、本部にも当社に任せてよかったと思ってもらえるようになりたいです。
アクセルワン
(静岡県浜松市)
尾藤 慎也社長(47)
Profile◉びとう・しんや
1977年、静岡県生まれ。2000年4月株式会社壱番屋入社。岐阜県中心の店舗経験を経て2003年5月、独立1号店を地元静岡県浜松市にオープン。2004年法人設立。現在は静岡県、愛知県にて「カレーハウスCoCo壱番屋」を6店舗経営。
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