【サンクゼール】企画から販売まで「食のSPA」ビジネスモデル確立(後編)

公開日:2024.01.06

最終更新日:2024.01.06

※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

新規出店の約90%はFC店舗400店舗までは出店拡大

 

投資効率を重視した出店戦略 商品開発等に資源を集中

――直近決算の売上比率は、直営が37%、FCが35%、ホールセール17%、EC6.1%です。
久世 規模の小さいECですが、ギフトを中心に、2020年から比較して売上規模は約3倍に拡大している。今後は、ECとリアル店舗との相乗効果を期待しています。
――主力の「サンクゼール」は16店舗中4店舗、「久世福商店」110店舗がFC店です。直営とFCの比率の理想形は。
久世 年間10店舗ほど新規出店しているのですが、そのうち9割がFC店です。今後もFCでの店舗展開を中心に進めていきます。
――FC開の考え方としては、さらに出店スピードを上げていくためなのか、それとも営業利益率を高めていくためなのか。
久世 当社がFCに力を入れる理由は2つあります。1つは物理的に全国で直営店舗をマネージメントするのは難しいという点。昨今、働き方改革が言われてる中で、例えば東京の店舗の店長に今度から鹿児島に異動してくださいって言っても、家庭を持っているとなるとなかなか難しい。やはり餅は餅屋ということで、九州は九州に強い、店舗も持っている企業にお任せする方がいい。
――ある程度、その地域を代表するような会社と組んでやっていくことが合理的でしょう。直営で出店するよりもコストがかからない。
久世 その余った経営資源を、商品開発やDX、情報といったインフラ面を支えるところに投資をしていく。あとは冷凍物流などの物流網をどうしていくかとか。その裏側の業務に経営資源を投入していくことが重要だと考えています。
――新業態の開発にもコストをかけられる。
久世 もう1つは、投資家の方たちに対するKPIですね。当社はROICやROEを、非常に重視しています。投資家の方が仮に100万円投資したら、20万円ぐらいのリターンが得られるよう、20%以上を目標にしたい。
――FCならば低コストで出店できる。
久世 当社からすれば、卸売りみたいな形に近い販路になってくるので、非常に投資効率が深まっていく。投資家の方にとっても当社のビジネスモデルが魅力的なものになるのではないかと思います。一方でお客様から見て、「なんかこのお店、いつもの久世福商店と違う」と思われないように本部から教育をしていくことは必要ですので。ここはすごく力を入れています。
――「久世福商店」の加盟店は、メガフランチャイジーが多いという印象があります。地元のメガフランチャイジーにとっても外食のFCだけやるよりも、「久世福商店」に加盟することで、事業ポートフォリオを強固にすることができる。
久世 当社は飲食店ではないのでイニシャルコストも比較的安く出店出来ますし、オペレーションコストを抑えることも可能です。
――基本的には、いわゆる食品の卸としての立ち位置です。
久世 当社の場合2つあって、商品を卸すときには、原価にある程度の利益を載せている。あとは、店舗で発生する粗利を分け合う仕組みになってまして、そこに対して何パーセントか、ロイヤリティをいただいています。

アジア食品店「メケル」新たに出店米国本格進出で海外売上増も期待

――新たなブランドとして9月にアジア食品店「MeKEL(メケル)」を出店しました。
久世 かねてから主食を発売できるようなブランドを新たに立ち上げたいと考えていました。そこで注目したのが、今伸びてる冷凍食品で、アジア発の食品を扱うブランドです。
――1号店は、長野市の若里という場所です。他のブランドとは異なりロードサイドの大型店です。
久世 売り場面積は約100坪で、バックヤードが約20坪です。イメージとしては車で10分、20万人ぐらいの商圏です。9月にオープンしたところ、想定以上に売り上げが良かったので、今後も出店を拡大していきたい。
――ロードサイド店は今後も出店の余地がある。
久世 当社のブランドで賄えない場合は、他のブランドにも入っていただいて、地方都市のパワーセンターとして成り立ちうる新しい業態の開発にチャレンジをしていきたい。一方で、「久世福商店」や「サンクゼール」は商業施設を中心に出店を考えています。
――「久世福商店」は、年間で大体店舗ぐらいの出店ペースということですが、「サンクゼール」の方は。
久世 「サンクゼール」は長野県発のメーカーズブランドのコンセプトですので、積極的な全国展開は考えていません。出店するとすれば、アウトレットモールみたいな非日常性を感じられるようなロケーションに限定していこうと考えています。おそらく年に1店舗、2年に1店舗ぐらいのペースでの出店になるでしょう。
――今後の成長戦略の中で、海外比率の向上も挙げています。現在の海外比率は7%です。
久世 中期的には売り上げの半分ぐらいが日本以外のグローバルで獲得できるような事業構造にしていきたい。そのために5年前、アメリカでジャム工場を買収しました。
――「久世福商店」のグローバル版というべき「クゼフク&サンズ」というブランドで展開しています。
久世 オリジナルブランドをメイン軸にして、現地のスーパーマーケットなどを通じて販売しています。――米国でも受け入れられつつある。久世はい、今580か所ぐらいで販売させていただいています。上場前と比べて約2倍近くに広がってきました。当社としては各ブランドをバランスよく成長させていきたいと考えています。

「サンクゼール」が扱う洋風グロッサリー

輸入食材を主に扱う業態「メケル」

 

【サンクゼール】企画から販売まで「食のSPA」ビジネスモデル確立(前編)

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