【ささや 】100年の歴史を持つ老舗企業
公開日:2025.12.17
最終更新日:2025.12.07
※以下はビジネスチャンス2025年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
事業変革に取り組み新たなスタート
長野県上田市を中心に「リンガーハット」「赤から」「とり鉄」など4ブランドを運営するフランチャイジーであるささやは、食堂からスタートし100年の歴史を持つ老舗企業だ。長きにわたって結婚式や法事に利用するための宴会場「ささや」の運営を主軸事業としていたが、時代の流れが進む中、現在はFC事業に舵を切り、大きな事業変革に取り組んでいる。
地元で広く知られる老舗宴会場 FC事業に方針転換
長野県上田市を拠点とするささやは、現在フランチャイジーとして「リンガーハット」7店舗、「赤から」3店舗、「とり鉄」1店舗、「大阪ふくちぁん餃子」1店舗の4業態12店舗を運営しているほか、オリジナル業態のベーカリー「パンビ」を2店舗展開している。
同社はかつて宴会場「ささや」を運営しており、長きにわたって冠婚葬祭や企業の会合の場として地元民に親しまれていた。しかし年々進む核家族化などで徐々に法事や宴会の需要が減っていたところ、2020年のコロナの流行により大きく需要が落ち込み、更なる打撃を受けた。
そこで2023年、米津仁志社長は同店の閉業を決断し土地を売却。以前より運営していたリンガーハットをはじめとしたFC店の運営や、オリジナル業態のベーカリー事業に注力する方針を固めた。

見出しが入ります。

同社が運営する「赤から」上田店
宴会事業に危機感を募らせ 新事業としてFC加盟を決断
同社の歴史は、現職の米津社長の曾祖母が豆腐屋を創業した明治時代に遡る。大正時代の1925年に曾祖母とその息子である祖父が「ささや食堂」を開業。その後、1955年にささや食堂を建て直し「ささや本館」を竣工、1968年には新館を建築し宴会場の運営を開始した。以来、2023年の閉業まで宴会場の運営を続けてきた。その長い歴史の中で宴会場事業のみを手掛けてきたわけではなく、現在に至るまで着実な事業転換を行ってきた。
きっかけは、バブル崩壊後の90年代に宴会が流行らなくなり、結婚式の在り方に多様化が生まれたことだ。中心事業である宴会場ささやの運営に危機感を募らせた同社は新事業を模索。その結果、新事業の一つとして選んだのがFC加盟だった。
同社がFC事業を開始したのは2001年。そのために別会社ライスポートを設立した(2009年決算後にささやが吸収合併済み)。当時ささやの取締役であった米津社長がライスポートの社長に就任し、新事業に取り組んだ。
さまざまなブランドを吟味し、最初に選んだブランドが「とり鉄」だ。新会社設立の翌年、2002年に長野市で「とり鉄」、2005年には「赤から」のそれぞれ1店舗目を長野市で開店している。
現在、最も運営店舗数の多い「リンガーハット」は、2013年に加盟した。当時、同店は長野県内に3店舗存在しており、いずれも直営店だった。しかし、リンガーハット本部が地元企業に運営を任せたいと考えたことから、地元の老舗企業でもありFCで外食事業を展開する同社にスポットライトを当てた。同社としても飲み会利用以外の業態を模索していたため、相互利益に繋がるとして運営を引き受け、元直営店の運営を業務委託形式で開始した。業務委託は、店舗を本部が所有したままFC加盟企業に貸出す運営形式だ。特に、加盟店が買収すると採算が合わない場合に取る店舗運営の手段だという。
業務委託で運営を開始した県内3店舗を皮切りに多数の店舗の運営を引き受け、委託期間の終了後には買収を行うなどして、リンガーハットの店舗を次々に拡大。積極的に業務委託運営を引き受け、長野県内のみならず富山県や石川県などの県外でも店舗拡大を積極的に行い、ピーク時には12店舗を運営するに至った。

遊休地活用として無人販売FC「ふくちぁん餃子」に加盟
コロナ下でも挑戦を繰り返しオリジナル業態を拡大中
20年の歳月をかけ順調に進んでいた新たな事業柱の形成だったが、2020年のコロナウイルスの流行で風向きが変わり、再び転換期を迎える。
コロナ下での外食需要の減少により、いくつかの店舗は閉店せざるを得ない状況へと追い込まれた。また、50年以上にわたる中核事業だった宴会場からの撤退は、とりわけ大きな決断となった。
しかし、逆風を受けながらも同社は挑戦を繰り返してきた。2021年には既存の業態以外に、高級食パンやラーメン店などのオリジナルブランドを新規オープン。2022年には無人販売FCの「ふくちぁん餃子」に加盟。さらに同年、既存店の閉店・改装を経てオリジナルのベーカリー業態「パンビ」をオープンしており、より時代に合った事業の模索を続けている。
米津社長によれば、現在の年商はピーク時と比較すると約3割減。当面、現在の運営店舗の売上をコロナ前のレベルにまで引き上げることを目指す。コロナ下で閉店を余儀なくされた店舗がありながらも、多くの店舗はコロナ以降も運営を継続させている。地元に根差した企業として今後も時代の流れに合わせて事業展開し、成長を続けていく。

会社概要
ささや
代表者 米津仁志
所在地 長野県上田市
設 立 1953年5月14日
資本金 1000万円
事業内容
・飲食店事業部(「赤から」「とり鉄」の運営)
・リンガーハット事業部
・ベーカリー事業部
・食品販売事業部(「大阪ふくちぁん餃子」の運営)
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