【ロイヤルホールディングス】標準化されたオペレーションにより海外FCを順調拡大

公開日:2024.01.10

最終更新日:2024.01.10

※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

てんやに続きロイヤルホストなど別業態の進出も視野

 ロイヤルホールディングスは、外食事業・高速道路や空港施設などの飲食店運営にあたるコントラクト事業・ホテル事業・食品事業の事業を核としている。飲食事業では、「ロイヤルホスト」や「天丼てんや(以下 : てんや)」など複数ブランドを持ち、FC含む約600店舗を展開している(2023年9月末時点)。2013年よりてんやの海外FC展開をスタートし、現在はアジアで34店舗体制を敷く。2024年にはシンガポールにロイヤルホストを出店する計画だ。

ロイヤルホールディングス (福岡市博多区) 藤岡 聡執行役員(59)

1964年埼玉県生まれ、1988年早稲田大学政治経済学部卒業、株式会社富士銀行(現みずほ銀行)入行。2005年ロイヤル株式会社(現ロイヤルホールディングス株式会社)入社、当社 執行役員 財務経理部長。機内食事業担当、海外事業担当を経て、2023年1月より現職。ロイヤルマネジメント店舗設計開発担当兼海外事業開発兼ロイヤルマネジメント副社長執行役員。

 

 

国の所得水準に合わせた戦略 産地やメニュー構成を工夫

-御社は「ロイヤルホスト」や「シェーキーズ」など、複数の飲食ブランドを展開されていますが、海外事業のメインは「てんや」です。2013年のタイを皮切りに、フィリピンや香港などアジアの国々に進出されています。
藤岡 当社はロイヤルホストを旗艦ブランドとし、てんやを本目の柱としています。てんやが海外進出した2010年代は、飲食ブランドの東南アジア進出が盛んな時期でした。海外マーケットの開拓を考えると、天ぷらは日本の主要な食べ物ですし、アジア系の方は日本の食べ物との親和性も高く、揚げ物もよく召し上がります。てんやでのアプローチは十分可能だろうということで海外展開を始めました。
-てんやの海外店舗はすべてFCとのことですが、なぜFCによる海外進出を選ばれたのですか。
藤岡 てんやのオペレーションが標準化されているためです。たとえば、調理はてんや用にプログラミングされたオートフライヤーを使用することで、熟練の職人でなくても一定レベルの天ぷらが作れるようになっています。そのため、こちらから人を派遣する必要はなく、現地の飲食事業者様にお任せできるのです。実際、駐在員はおらず定期的に現地に行って確認やサポートをしています。
-食材は現地調達されているのですか。
藤岡 戦略は国によって異なります。所得が高い香港やシンガポールはオーセンティックなものを選んでいます。日本の食材を好む傾向があるので、割高になっても日本産を輸入しています。お米やソフトクリームなどもフロムジャパンというだけで、お客様が喜んでお金を払う傾向があります。
 一方、タイやフィリピンは所得水準が香港やシンガポールと違います。国特有の食べ物が根付いているため、状況に応じて天丼以外のメニューをローカライズした部分もあります。
 ただし、天丼で味の一番の決め手となる丼たれは、どの国も日本で作ったものを使って味を安定させています。天ぷら粉も日本からの輸入、あるいは同等のスペックを持ったものを使っています。
―国内では和食のファーストフードという形で展開されてきましたが、海外も同様なのでしょうか。
藤岡 使われ方はだいぶ異なります。日本では駅前や商店街に出店するケースが多く、サラリーマンなどがお一人でさっと食べて、すぐ出ていかれるのが前提です。テーブル席もありますが、カウンター席が中心の店舗設計です。
 一方、海外でお一人様は珍しく、メインはファミリーや会社員複数名での来店です。基本はテーブル席で、カフェやファミレスのような形で運営しています。
―メニュー構成も変えているのですか。
藤岡 そうですね。タイやフィリピンはローカライズしないと入り込めない部分がありました。天ぷらの認知度が高いわけではないので、他のメニューを用意して総合的に受け入れられる構えが必要です。そこで、一部店舗では巻き寿司や餃子なども提供しています。大家族やグループがテーブルを囲んで食事するフィリピンでは、パーティーセットが人気の商品です。

海外では高価格商品が人気 次は海外初の直営に挑戦

―日本との収益構造の違いを教えてください。
藤岡 香港やシンガポールの人件費は日本並みかそれ以上で、賃料は日本より高い傾向があります。利益が出ないのかと思われますが、そうではありません。日本と異なり、香港やシンガポールはドリンクセットが好評なのに加えて、価格帯上位の天ぷら定食や天ぷら蕎麦・うどんといった定食類が人気です。
 一方、フィリピンは人件費が比較的低いですが、お客様が色々なメニューを注文されるので客単価は日本より少し高いくらいです。このように国によってFLRのバランスは変化していますが、利益が残るように売価を設定しています。
―御社は2024年にロイヤルホスト直営店をシンガポールに出店されるそうですね。これまで海外はFC展開でしたが、なぜ直営店を出そうと考えられたのですか。
藤岡 グループの成長を考えると、事業基盤のグローバル化は不可欠なので、今後も積極的に海外事業に取り組みます。そうした中、ロイヤリテ ィ収入のみとなるFC展開だけだと、海外ビジネスは広がりません。そこで、私たちのフラッグシップであるロイヤルホストを出店することになりました。
 ロイヤルホストを出店する際に重要となるのは、セントラルキッチンの製品を使いこなすことです。国内222店舗で安定した商品を出し続けられるのは、セントラルキッチンで設計された商品を使っているからです。さらに、店舗で最後のひと手間を加えることで商品に付加価値を加えています。これを再現できるのがシンガポールでした。貿易都市であるシンガポールは関税がなく、セントラルキッチンの製品を現地で使えます。そのため、オペレーションが安定し、かつ、フロムジャパンというバリューにも繫がります。そうした理由から、ロイヤルホストのシンガポール出店は合理的だと考えています。
 今後、海外事業はてんやFCと併行しながら、ロイヤルホストやその他業態の直営出店に注力し、ロイヤルグループにとって一定の規模を占める成長事業にしていきたいと考えています。

海外の一部店舗では巻き寿司や餃子も提供している

タイで提供しているトムヤムうどん

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