
【マックトレス】病院や高齢者施設の給食事業を手掛ける企業がFC加盟
公開日:2025.08.21
最終更新日:2025.08.21
※以下はビジネスチャンス2025年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
食を扱った2業界の親和性と反面性に驚愕
栃木県小山市を拠点に、病院給食や高齢者施設向けの食事サービスを展開するマックトレスは、1999年6月に設立。現在は高齢者施設を中心に220施設、1日約1万8000食を提供。給食事業を手掛ける傍ら、ホテルレストラン事業やFC加盟による外食事業を拡大している。FC加盟は、小山市に宇都宮敬餃子店の「オリオン餃子」1店舗と、月島系もんじゃ店の「てっぱん」を心斎橋に1店舗展開。大谷公輝社長と、FC事業を担当する青山剛外食事業部部長に、給食業界での歩みからFC展開の戦略、そして今後の目標を伺った。
給食事業とFC加盟の親和性
─まずは、マックトレスの成り立ちについて教えてください。
大谷社長 弊社は父が創業し、私は23歳で新卒入社、25歳で代表を引き継ぎました。事業の柱は給食の委託業務をしています。従業員は1100人ほど。参入しづらい中小企業主体の業界で、信頼を築き事業を拡大してきました。
─給食会社の企業規模はピンキリのように思うのですが。
大谷社長 はい、星の数ほどあると言われています。中小企業の数が多く、大手10社の売り上げのシェア率が、10%を切ると言われている業界です。一方で参入障壁が高く、調理師や管理栄養士の採用、栄養価計算や男女比率を加味した献立作りなど専門的なノウハウが必要で、今日明日に始められるものではなく、地方の中小が長く続いているという印象です。
─業界には学校や商業などの事業がある中、どの分野で給食事業をされていますか。
大谷社長 病院や老人ホーム系などの介護給食を行っています。業界の中でも365日、朝昼晩で違う食事を提供する分野で、父からのこだわりで続けております。取り扱う商品数・材料が非常に多く、じゃあこれだけやっているんだからと、給食業者が外食やりがちっていうところはありますね。
─高齢者向け給食のニーズは年々増えているそうですね。
大谷社長 そうですね。特に病院や福祉施設は休日もなく食事提供が必須のため、景気変動にも左右されにくく、コロナ禍でも安定していました。医療の進歩などもあり高齢者施設が増え、マーケットニーズは2040年まで続くと言われています。薄利多売の業界ではありますが、誰かがやらなければならない必要な仕事だと感じています。
フランチャイズによる多角化
─本業の見通しも明るい中、なぜ外食フランチャイズ事業に参入されたのでしょうか。
大谷社長 外食事業部は、最初はホテルの朝食業務の受託からスタートし、その後、外食ブランドのFC加盟という形で展開を広げました。それと同時期に給食のノウハウを外食に活かそうとFC事業をスタートしています。もともと他社で外食事業をしていた青山と出会いこの事業を展開することを決めました。
─FCについては全面的に青山さんが担当されているそうですが。
大谷社長 外食について私は全くの門外漢でして(笑)。彼との出会いが無ければホテルも外食もやっていなかったと思います。給食とFC加盟は取り組み方が全くの真逆で、たとえば給食は開業の初期投資がほとんどかからず、新規の参入は難しい業態。対してFC加盟は初期投資が高額で、参入障壁が低い業態など、給食事業を長くやっていた私は不安が大きかったのですが、信頼している彼がやれるというので始めました。
─具体的には、どのようなブランドに加盟されているのですか。
青山部長 現在はオリオン餃子とてっぱんの2ブランドを運営しています。まずオリオン餃子は2021年に栃木県小山市に開業。駅前の好立地に構えており、月商700~800万円、月の繁忙期には1000万円を超えることもあります。昼は学生、夜は居酒屋使いという形で幅広い層に支持されています。
─「てっぱん」についても教えてください。
青山部長 2023年6月に大阪の心斎橋にてっぱんを出店しました。月島もんじゃ焼きを中心とした鉄板焼き業態で、特に訪日外国人観光客の来客が多く、インバウンド需要を狙った戦略が奏功しています。開業当初は認知の壁もありましたが、Googleレビューの獲得など地道な施策を積み重ね、3カ月目くらいから一気に右肩上がりになりました。
─飲食業は投資額もリスクも大きい分野ですが、導入には迷いはありませんでしたか。
大谷社長 飲食は一店開業に2000~3000万円が必要と聞いて、最初は「3000万もかけて本当に回収できるのか?」と懐疑的でした。その金額が高くない水準だということも知らなかったんです。青山がリードし、店舗が結果を出してくれたことで、会社全体として投資する価値を実感するようになりました。
─FC加盟の決め手は。
青山部長 ブランド力と再現性です。特にてっぱんは大阪の出店で本社から遠く、自社ブランドでは不安だったので、ブランド力が決め手になったのに加え、本部の丁寧なサポート体制が魅力でした。さらにホテル朝食会場の夜利用での出店だったので、初期投資を抑えられることも後押しになりました。

小山駅の駅前という好立地にあるオリオン餃子
福祉・外食・IoT・衛星商品の融合
─今後、フランチャイズ事業はどのように展開していきますか。
青山部長 自社ブランドでも外食を展開していますが、私自身ブランドを作ることには長けていないので、フランチャイジーとしての出店を増やしていきたいです。外食は景気に左右されやすい面もありますが、地域性やターゲット層を見極めれば堅実な収益モデルになると考えています。
─給食や外食以外にも取り組まれていることはありますか。
大谷社長 最近では、関連会社のコスモにて給食業界向けの発注・献立管理システムを自社開発し、展示会出展も予定しています。これまでアナログ管理が主流だった業界に、IoTで効率と品質を両立させる仕組みを導入することで、当社だけでなく業界全体の底上げにも貢献していきたいです。
─最後に、今後のビジョンをお聞かせください。
大谷社長 食を通じて、魅力的な会社作りをしていきたいと考えています。時代に合わせられる会社が魅力的な会社だと考えているので、福祉や外食、IoTに加えグループ会社で行う衛星商品の開発などを融合し、未来の食と健康を支える企業でありたいですね。
青山部長 外食事業では100店舗を目指したいです。社内での売上でいうとFC事業は1%前後です。外食は給食と違って、日の目を見やすい反面、口コミに左右されやすいなどの危うさもあります。社内からもお客様からも信頼を得て、事業として確立していきたいと考えています。

配食部門で提供する料理。365日朝昼晩提供する
大谷 公輝社長(33)
Profile◉おおたに・こうき
1991年埼玉県生まれ。2014年マックトレス入社。2015年に共同代表に就任し、翌年代表取締役社長に就任。就任後、売上を15倍に伸ばす。関連会社を設立し、さらなる事業拡大を図る。
青山 剛外食事業部部長(35)
Profile◉あおやま・たけし
1990年栃木県生まれ。高校卒業後、フリーターを経て2009年宇都宮市内の飲食会社に入社。店長職・マネージャー職を経験後、2015年取締役に就任。2019年には店舗数が100店舗に。2017年頃大谷社長に出会い、 2020年マックトレスに入社。自社ブランドを含めた店舗数を、3店舗から9店舗に拡大。
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