【JR四国ステーション開発】四国で展開する地域活性化を目指したFC戦略

公開日:2026.01.06

最終更新日:2026.01.05

※以下はビジネスチャンス2026年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

居酒屋ブランドで月間売上全国1位を達成

 JR四国ステーション開発は、四国の主要駅における駅ビル開発や、商業施設・飲食物販店舗運営の役割を担う、JR四国グループの企業だ。ほかにも、ゴルフ練習場や駐車場、保険代理業などを手掛けており、飲食事業では、オリジナルブランドに加え、複数ブランドのFC店を展開している。飲食事業の売上は前期32億円のうち、14億円を占めている。現在はオリジナルブランドとFCを合わせて、14店舗を展開。FCは居酒屋業態の「鮨・酒・肴 杉玉」が2店舗、「コメダ珈琲店」が1店舗、「PRONTO」が1店舗、「リトルマーメイド」が4店舗ある。同社の、これまでの歩みと経営戦略を聞いた。

#フランチャイズ
#JR四国ステーション開発
#コメダ珈琲店
#PRONTO
#リトルマーメイド
#杉玉

駅直結型の商業施設「高松オルネ」

飲食店最大134店展開 利用者層を考えた店舗設計

 JR四国ステーション開発の歴史を紐解くと、国鉄時代にまで遡る。当時、国鉄が行っていた不動産貸付、弁当やカフェなどの構内営業事業が、1987年の国鉄改革によってJR四国に引き継がれた。鉄道以外の収入源が必要だったことから、引き継いだ事業を拡大し、10年余りで飲食店を延べ134店舗出店した。しかし、1990年代には高速道路が延伸され、年々加速する人口減少が重なったことで鉄道利用者が減った。これにより、飲食事業の売上が落ち、閉店が相次いだという。
 1997年、店舗を地域ごとに運営する「ステーションクリエイト」を、四国各県に設立した。この時の「ステーションクリエイト香川」が同社の起源となる。2000年代後半から他県のステーションクリエイトを吸収合併し、2022年に現在のJR四国ステーション開発として再編した。
 同社の事業は、「SC事業」と「飲食事業」が二本柱だ。SC事業の売上は前期億円のうち半分ほどを占める。現在は商業施設8拠点を運営。駅直結型の高松オルネ、高架下のピコ丸亀、ホテルを兼ね備えた徳島クレメントプラザなど多様な形態で展開している。同社はSC事業を単なる商業施設づくりではなく、「地域の再生拠点づくり」と位置付けている。
 近年は高松駅周辺の開発が進み、人流が増加している。2024年に同社の駅直結の商業施設「高松オルネ」が開業。翌年に香川県立アリーナと徳島文理大学高松駅キャンパスがオープン。さらに、2027年にはマンダリンオリエンタルホテルが完成予定で、学生やイベント、観光目的などさまざまな層が高松に来訪することが見込まれる。
「高松駅周辺は鉄道と海上交通の結節点であり四国の玄関口として栄えました。しかし、近年は大学やアリーナなど新しい都市機能が集まり、街の構造が大きく変わりました。高松駅周辺の人流は、居住者やオフィスワーカーに加え、イベントや観光を目的とした来訪者が一気に増加しています」(杉浦崇史社長)
 一方で、地元住民の数は着実に減少しており、それとともに商圏縮小が進んでいると杉浦社長は話す。新しい商業施設を建てても20年先の採算を見据える必要があり、観光客はもちろん、地域住民など幅広い層の支持が必要だという。
 それを意識して「高松オルネ」に出店したのが、オリジナルブランドの「shikokumeguru(しこくめぐる)」だ。店舗内には四国の食材を使ったメニューのフードコートや、四国の生産者や事業者から集めた1300点を扱う物販コーナー、地元の有名店が日替わりで出店するコーナーを構える。「四国の人も知らない四国を!」をコンセプトに作られ、地場の魅力を発信してファン化、リピート来店の好循環を狙っている。
「周辺に住む日常の利用者、イベントや観光など非日常の利用者、どちらにとっても特別感を感じていただくことが重要です。商品構成はプロダクトアウトの発想で『ここならではの商品』を念頭に置いています」(杉浦社長)
 同社は、地元事業者や行政、大学など多様なプレイヤーと連携しながら、地域開発を進める。
「まだ先になりますが、高松と同じ『オルネ』を松山と高知で計画しています。地域初出店となるテナントに入ってもらいたいですが、私達でもオリジナルブランドとFCの両面から検討したいと考えています」(杉浦社長)

#フランチャイズ
#JR四国ステーション開発
#コメダ珈琲店
#PRONTO
#リトルマーメイド
#杉玉

四国ならではのこだわり商品1300点を扱うマルシェ

地域の発展が売上に追風 年1店舗ペースの出店目指す

 同社の2つ目の柱が飲食事業だ。現在はオリジナルブランドとFC店を合わせて14店舗展開している。近年では自社の商業施設を中心にFCによる展開が増えている。2020年にJR四国と、ブランド本部のタカキベーカリーの合弁会社だったウィリーウィンキーを吸収合併した際に、ウィリーウィンキーが展開していた店舗を「リトルマーメイド」にFC化した。そのほか「鮨・酒・肴杉玉」と「コメダ珈琲店」、「PRONTO」に加盟している。グループ会社からの譲渡で開始した店舗もあるが、ブランド選定の基準は、地域の特性に合わせた課題解決にある。
「どのブランドがその土地のニーズに合うかを判断しています。たとえば、高松駅では幅広い層が立ち寄りやすいカフェ業態の『コメダ珈琲店』が合っている。松山駅ではビジネス客やファミリー層が中心なので、『杉玉』のような食事やお酒を楽しめる店を選びました」(杉浦社長)
「コメダ珈琲店」は四国においても広く出店されており、馴染みのあるブランドだ。インバウンド客を始め、主婦や高校生といったさまざまな層の来客がある。提供されるメニューを知っていることが、来店のしやすさに繋がっているという。売上は、平均月商が900万円と好調だ。
「杉玉」は2024年7月と9月にJR高松駅店、JR松山駅店を出店している。JR松山店は、開店当初は昼の時間帯と夜の時間帯で営業時間が分かれていたが、週末や祝日は通し営業にして増収を図った。さらに、デリバリーを導入し、食材の在庫管理においても最小ロットで行うなど、本部と協議をしながら省コストで運営できる仕組みを模索している。「杉玉」は加盟店の事情を踏まえて、店舗に合わせた営業形態やメニューの考案などを一緒になって考えてくれるところがありがたいと杉浦社長は話す。
 JR高松駅店の月商平均は1300万円ほどで、常に「杉玉」の全国店舗の売上で上位に位置づける中、2025年8月の売上が1760万円を記録し、95店舗中1位を達成した。それを実現できた理由には、こうした営業努力に加え、外的要因もあったという。
「当社の営業努力もあったかと思いますが、高松駅周辺の開発が追い風になりました。近隣施設が充実したことに加え、瀬戸内国際芸術祭が開催された効果が予想を大きく上回りました。こういったものが重なり1位を達成できたのだと思います」(杉浦社長)
 同社は、2030年の飲食事業売上22億円に加え、FC店舗を毎年1店舗ペースでの出店を目指している。

#フランチャイズ
#JR四国ステーション開発
#コメダ珈琲店
#PRONTO
#リトルマーメイド
#杉玉

「杉玉」JR高松駅店、8月に全国1位の売上を達成した

#フランチャイズ
#JR四国ステーション開発
#コメダ珈琲店
#PRONTO
#リトルマーメイド
#杉玉JR四国ステーション開発
(香川県高松市)
杉浦 崇史社長(60)
Profile◉すぎうら・たかし
1965年香川県生まれ。慶応大学理工部卒業。89年4月に四国旅客鉄道株式会社に入社。2012年4月事業開発部担当長就任。12年6月総合企画本部担当部長。19年6月事業開発本部副本部長。22年10月JR四国ステーション開発社長就任

 

関連記事

【JR九州ファーストフーズ】九州の「駅」から商業施設とロードサイドの両輪でエリア拡大(前編)
【JR九州ファーストフーズ】九州の「駅」から商業施設とロードサイドの両輪でエリア拡大(後編)
【ルミネアソシエーツ】ルミネの戦略的子会社が運営するFC15店舗

 

次なる成長を目指す
すべての経営者を応援する
フランチャイズ業界の専門情報誌

フランチャイズ業界唯一の専門情報誌として、毎号さまざまな切り口をもとに新興本部から大手本部までをフォーカス。またFCを自社の新たな経営戦略として位置付け、中長期的な経営を目指す経営層に向け、メガフランチャイジーの情報も提供しています。

ビジネスチャンス
最新号
2026年2月号
12月22日発売

チェーントップが語る2026年の展望

詳細はこちら

定期購読お申込み

記事アクセスランキング
次なる成長を担うすべての起業家を応援する
起業&新規事業の専門情報誌

“起業のヒント” が毎号充実! “ビジネスチャンス” の宝庫です。
すぐにでも役立つ独業・開業・転業・副業サポートの雑誌です。
資金をかけずに始められる新しいビジネスの紹介、FC、経営・会社運営のノウハウなど、多くの経営者からの“起業のヒント”が毎号充実。

定期購読お申し込みはこちら