【Gong cha(ゴンチャ)】台湾発ティーカフェを7年間で122店舗出店

公開日:2023.02.21

最終更新日:2023.05.02

※以下はビジネスチャンス2022 年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

FC中心に7000億円市場でのシェア拡大狙う

 2006年、台湾で誕生したティーカフェ「Gong cha(以下:ゴンチャ)」。2015年にゴンチャ ジャパン(東京都港区)が設立され、日本に本格的に進出した。以来、空前のタピオカブームにも乗り、国内では急速に出店を増やしてきた。ブームの終焉とコロナ禍にあっても順調に店舗を拡大、2021年7月には100店舗に到達、今年5月末時点で122店舗を展開している。ティーカフェブランドとしては国内最大級となった同社。目指すべきターゲットを、コーヒーカフェを含め7000億円市場ともいわれるプレミアムカフェ市場に置いており、更なる成長戦略を描いている。

ゴンチャ ジャパン(東京都港区) 角田 淳社長兼CEO(51)

Profile つのだ・じゅん
1971年3月25日生
ペンシルべニア州立テンプル大学卒業後、大手自動車メーカーに勤務。その後独立し、スポーツや音楽イベントの企画やマネジメントに携わる。約10年間スポーツマネジメント・マーケティングに携わり、2010年に日本サブウェイに入社。マーケティング・経営企画などを経て、2016年、社長に就任。2021年、ゴンチャジャパン代表取締役社長兼 CEO

 

 

 

 

 アジアを中心にグローバル展開しているゴンチャは、現時点で1700店舗、2025年には4000店舗体制を目指している。日本は韓国に次ぐ規模を誇り、同ブランドが世界戦略を進めていくうえで重要な位置を占める。ゴンチャジャパンを率いる角田淳社長は、日本サブウェイ社長を経て2021年10月から現職を務めている。

タピオカブームで急成長 コロナ禍でも着実に出店

ーー日本では、タピオカブームも追い風に約2年間で年間30店舗以上を出店してきました。
角田 台湾発祥のブランドとして、国外の展開をしていきました。最初一番伸びたのは韓国で、300店を超えてきたくらいに、日本に進出しました。最初から決してタピオカにフォーカスしていたわけではないのですが、ブームに乗って一気に注目を浴びました。以来、順調に成長してきているという状況です。
――角田社長はサブウェイで5年間社長を務め、再生させた実績を持っています。新たな挑戦を後押しした理由は。
角田 お話をいただいた時に、自分でどういう可能性があるのかゴンチャを調べたのですが、非常に魅力あるパッケージだと思いました。例えば、フランチャイジーのビジネス視点で見たときに店舗規模が8坪くらいから、40坪くらいまで同じパッケージで同じ商品を売る。席の有無など非常に柔軟性のある店舗展開ができるということが一つ。
ーー店舗規模が幅広ければ、出店場所もフレキシブルに対応できるという利点がある。
角田 ブランドの露出がしっかりでき、それ自体成長性があると思いました。また、厨房もガスなどは使わないので重装備ではない。メニューは揚げ物など油を使うものもなく、火も使わない。基本電気なので様々な場所に出店の余地がある。店舗の造りも創業期にタピオカブームによってかなりのお客様に対応する設計になっていました。具体的には、自動釣銭機などのシステムや、働く側のスペースの取り方とか、スタッフの労働環境にも配慮していました。そして何よりも、お茶っていうパッケージがすごくいいと思いました。
ーーコンテンツとしてのお茶の可能性は大きい。
角田 日本はそもそもお茶文化の国です。ペットボトルや、飲食店で出てくるお茶など、裾野としてはすごく広い。しかし、その一つ上のカフェ的なお茶屋さんっていう受け皿がない。じつはこのマーケットがぽっかり空いていていたわけです。
ーー一部展開している専門店はありますが市場としては小さい。
角田 コーヒーカフェのボリューム感と比べると、まだ成長の余地があるなと。これがゴンチャを外から見た時に一番魅力を感じた理由です。

日本での売上はグローバル全体で20%

平均坪月商は30万円 投資回収目安は3〜5年

「ティーカフェ」のマーケットを開拓

ーー現状の売上規模は。
角田 坪月商でいえば坪あたり30万円ぐらいです。ただしポテンシャル的にはもっといけると思っています。タピオカブームの時の売上は、100万円以上という店舗もありましたから。
ーーただブームと比較はできないですね。
角田 昨年までは確かに厳しく、これがブームの終わりなのかコロナなのかわからない面もありました。しかし昨年からはかなり力強い戻りがあります。「ティー」というカテゴリーでは、当社はトップブランドになっていると思います。
――バーガー系ならマクドナルド、カフェ系ならスターバックス、アイスクリームならサーティワンのように、日本の市場を見た時に、大体1カテゴリー1ブランドと言われています。
角田 当社がティーカフェのカテゴリーのトップブランドとして、今後も成長していく可能性があると思っています。
――坪月商50万円くらいまでいけるというようなイメージですか。
角田 そこはなかなか難しい。成長してくると坪あたりの金額は上がるでしょうが、好立地は賃料も高い。一方で、賃料が安ければ利益は取れます。当社はフランチャイズビジネスですので、継続的な適正利益を確保することが一番のポイントかなと思っています。
――投資回収を考えるとどれくらいが理想ですか。
角田 投資回収の目安は、大体3年〜5年の幅で見ています。もちろん3年を切る店舗もありますが、基本的には3年〜3.5年くらいの投資回収っていうのがフランチャイズとして、投資していく上では魅力のあるパッケージかなと思っています。
――現状でいうとそれくらいで投資回収は各店舗できていますか。
角田 コロナで比較できないのですが、やはり3年〜5年ですね。ブームがあって、そこで2年以内で回収できた店舗もあります。

 同社が意識しているプレミアムカフェというマーケットには、スターバックスに代表されるコーヒーカフェも含まれ、7000億円市場規模と言われている。うち550億円規模がタピオカ含むプレミアムティー市場だが、同社は親和性の高い3000億円規模のデザート系ドリンク市場にフォーカスを当てているという。幅広いお茶の楽しみ方を提案し、新たな市場も開拓していく考えだ。

顧客は10〜20代の女性が80% アジアの「お茶」文化浸透に注力

――ゴンチャの顧客層は10代、20代の女性で約80%を占めているといいます。コーヒーと同じ市場で戦うには、顧客層を広げていく必要性があるのでは。
角田 当初我々が考えていたのはコーヒーとお茶とは市場が違うということでした。しかし調査していくうちに一緒だとわかってきました。そう考えると、最大で7000億円くらいの市場規模がある。そのうち3000億円くらいが、フラペチーノに代表される、スイーツとカフェの狭間のプレミアムデザートドリンクの市場だと考えています。ここがゴンチャの魅力が一番伝わりやすいカテゴリーだと思っています。ただし、プレミアムティーやタピオカだけだと市場規模がまだまだ小さいので、緑茶やほうじ茶といった日本でのお茶文化をベースに、広く展開していきたい。日本では砂糖を入れずにストレートに飲むのが基本ですが、アジア圏では甘くしたりとかミルクを入れたりとか、タピオカやナタデココをトッピングしたり幅広いお茶の楽しみ方がある。これら新しいお茶の楽しみ方を紹介していく。これはコーヒーにはないアジア独特の文化だと思っています。
――今後ティーカフェも含めて市場は広がりますか。
角田 広がる可能性はあると思います。コーヒーを飲めない人は一定の数います。こうした方のニーズも取り込めるのではと思っています。新しいお茶の楽しみ方として一部タピオカブームも寄与したと思います。コーヒーの他に「ティーカフェ」というチョイスも用意して、これまで縁がなかった人たちが使っていただけるような場所にしたいと思っています。
――カフェに縁がない層を増やすための施策は。
角田 まずは広くお茶の魅力を伝えていく。そもそも普段からお茶は皆さん飲んでいらっしゃると思うので、その延長線上にカフェで飲めるお茶を提供して皆さんにご利用いただきたいというのがあります。
――そういう意味で参考にしている企業はありますか。
角田 例えばスターバックスは禁煙店舗として日本に進出しました。当時の日本の喫茶店の常識でいうと禁煙だと上手くいかないというのが、大半の人の評価だったと思います。ではどういう人達がスターバックスを利用し始めたかというと、男性ではなく女性でした。これはスターバックスさんが何を大事にしているのかだと思います。そこのニーズが、日本国内でコーヒー店を展開する中で目をつけていなかった。ですので、ゴンチャの強みもそこにあるかなと思っています。今一番支持してくれる人達はこれから成長していく人達なので、ブランドも一緒に成長していけると思います。お茶の新しい自由な楽しみ方を体験していただくことが今は重要だと考えています。
――ゴンチャはタピオカブームが成長のエンジンになったことは間違いない。重要なのはブームからどう定着させていくかでしょう。
角田 文化が創れるかどうかがブランドとして日本で成長できる一番の鍵だと思います。
――新たな仕掛けも必要になるでしょう。
角田 季節限定商品をはじめ、マーケティングに基づいて年間の新商品のサイクルを作っています。日本は四季がありますので、それぞれに合うテーマ、ストーリーのある商品作りを進めてきました。
――日本でローカライズした商品開発はされていますか?
角田 季節限定商品に関しては日本のお客様を意識して日本で開発しています。韓国のゴンチャは今700店くらいで面白い商品もあるのでチェックはしていますが、グローバルだからこれをやれというのはない︒日本で開発した期間限定の「ほうじ茶ミルクティー」は、日本ですごくヒットしたので、逆に海外でも展開された例もあります。

店舗規模は8坪から40坪まで、立地に応じて柔軟に

日本の売上規模は全体の20% グローバルでの存在感高まる

顧客層は10~20代の女性が80%

――グローバルから見た日本での位置づけは。
角田 ゴンチャはグローバルで1700店舗あり、日本は122店舗です。しかし、こと売上に関しては、日本はグローバルに占める割合が20%を超えています。ですので、日本がゴンチャの成長を引っ張れるというやりがいというか、モチベーションとして一つあります。
――グローバルでの日本の存在感は大きい。
角田 開発チームも比較的強く、各ディベロッパーさんからも良い立地を紹介いただいています。やはりコーヒー店はたくさんありますが、お茶のブランドって数えるほどしかない。それでまず当社に声がかかる。
――フランチャイジーはどのくらいですか。
角田 現在28社くらいです。1社あたりは平均3店舗くらい。直営店は17店舗です。商業ディベロッパーはじめ、多業種多業態の企業に参加いただいています。「ティーカフェ」は新しく、魅力がある。上質なお茶を気軽に楽しむスタイルに共感して加盟いただくことが多い。
――直営店舗は、敢えて重要エリアに絞っているイメージです。
角田 特に東京と大阪を重要視しています。我々がブランドを作っていく上で直営店は必須だと思っており、最大20%ぐらいの割合で展開していきたい。
――中長期での出店計画は。
角田 出店目標は特においていません。我々はやっぱり文化を作っていきたいと思っていますので、確実に1店舗あたりのファンの数を増やしていくというのが今の目標です。現状では新しく9店舗オープンしました。年内に予定しているのが全部で16店、あと7店は出店が確定しています。
――出店エリアはやはり大都市圏になりますか。
角田 まだまだ小さいブランドですので、あまり全方位で一気に出店すると適正なサポートができません。ある程度エリアを絞って確実にやっていきたいなと思っています。
――店舗の規模は立地によって変わってくる。
角田 スタンド型の席のない8坪、10坪程度の店舗も出店していきたい。もちろん席のあるカフェ型のものも出していきます。店舗の規模に限らず、利便性の高い立地に適した出店を進めていく。そこがゴンチャの強みでもあります。
――商業施設にも出店している。
角田 ただ商業施設でもフードコート内ではない、どちらかと言うとアパレル店寄りの立地が理想です。
――フランチャイジーとしての条件は。
角田 継続的に運営できる基盤というのはもちろん、それと同じくらいブランドを作っていくというマインドが一番大事で、それがないと逆にパートナーとしてはやっていけないでしょう。
――結局、企業の理念に賛同できるかできないかが重要になる。
角田 短期的なリターンだけを求められる方は難しいでしょうね。理念のところで共感していただいて、ご理解いただく、そこが最優先です。長く文化を一緒に作って継続的な適正利益を確保する、というところを共感していただける、そういったパートナーと直接お会いしてお話させていただいています。

 

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