【フレンズ】コロナ禍で経営体質の改善を図り業績回復

公開日:2025.12.22

最終更新日:2025.12.09

※以下はビジネスチャンス2025年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

地域住民の「育・食・住」を支える企業への発展目指す

 1983年創業のフレンズは「ミスタードーナツ」や「串カツ田中」、「CONA」など飲食FC5ブランドに加盟する三重県松阪市のフランチャイジーだ。現在はFC19店舗とオリジナル業態1店舗を展開しており、今期の売上高は約20億円を見込んでいる。また、2024年に設立した子会社のファンでは2020年に加盟した「ハウスドゥ」に加盟して不動産事業を営んでおり、育食住をトータル的に関わる企業を目指している。同社の沿革や人材育成への取り組み、今後の展望について、2代目である中村保之社長に話を聞いた。

入社時は社員ゼロからのスタート 教育体制を整備しスタッフ獲得へ

--御社は「ミスタードーナツ(以下:ミスド)」を中心に飲食FCを多数運営していますが、ミスドの加盟前はコンビニに加盟していたそうですね。
中村 当社の創業は1983年で、私の母が「マイショップ」というコンビニに加盟したのが始まりです。コンビニ大手の「ローソン」や「セブンイレブン」などにも問い合わせたようですが、あまりに時代を先取りしすぎて三重では出店が難しいと断られてしまったためマイショップチェーンに加盟しました。
 その後、母はコンビニをクローズし、ミスドに加盟してその地でミスドの1号店を出店しました。また、得々うどんのFCにも加盟。私が経営に関わるまではそれぞれ1店舗ずつ運営していました。当時加盟したコンビニと得々うどんの2業態はいずれも現在は撤退しています。
--2代目である中村社長は、いつから経営に参画されたのでしょうか。
中村 当社がミスドに加盟していたため、修業としてダスキンに入社してミスタードーナツ事業部で勤務していました。しかし、当社社員の退職を受け、ダスキンを退職。30年前に入社し店長としてミスドの店舗に入りました。しかし、当時は女性社長がまだ珍しかったため社員がついてこず苦労していたようで、社員が0人という状態でした。入社早々、社員を一から集めるという大変な仕事でしたが、むしろ自分が会社を立ち上げたような気持ちになってやりやすい面もありました。
 経営に携わるようになり、私が社長に就任してから、現在運営している「串カツ田中」や「CONA」などに加盟しました。
--中村社長の入社直後のような状態ではスタッフの教育体制も整っていなかったのではないでしょうか。
中村 当時のアルバイトは、販売担当者がドーナツの作り方を全く知らなかったり、製造担当者は細かい温度管理をせずドーナツを作っていたりと、全く教育が行き届いていませんでした。
 そこで基礎を整えるため髪型や服装の基準を厳しく定め、接客向上を目指してロープレを実施しました。その結果、身だしなみや礼儀からしっかり指導する会社だと地元では評判になり、子どもを持つ親御さんから「子どもにアルバイトをさせたい」と言われるようになりました。それ以来、アルバイトに困ったことがないほど多くの人が働きに来てくれています。

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同社が開業したミスタードーナツ1号店

コロナが業績回復への転換期に出店ありきの経営から脱却

--飲食業態が中心の御社は、コロナで大きく打撃を受けたのではないでしょうか。
中村 むしろ、コロナが良いきっかけになったと思っています。私が代表になる前に経営に携わっていた両親は、昔ながらの考え方で出店ありきの経営を続けていました。たとえ赤字でも、営業を継続するため会社の体力が無いまま店舗数ばかりが増えている状態でした。6年前までは赤字続きで倒産寸前でしたが、コロナを機に赤字店舗を一気にクローズすることができ、経営体質の改善を図るきっかけとなりました。
 加えて、当社の主力事業であるミスド事業はコロナ禍のテイクアウト需要により売上が上がりました。これにより、営業利益率が大幅に改善し業績回復に繋がりました。
--業績のほか、店舗運営の質なども改善が図れましたか。
中村 店舗を増やすだけ増やす方針では管理が徹底されておらず、店長の教育すら行き届いていない状態でした。ですから、出店ありきで人を揃えてはいけないという教訓を得ました。また出店に注力したことで、疎かになっていたQSCTMについても改善が図れたのは良かったです。

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MD松阪ショップ改装後外観

関西圏への出店も視野 育食住の三本柱で地域に貢献

--今後の出店計画は。
中村 時代の流れを読み、以前まで加盟していた店舗を業態転換し、「銀だこハイボール酒場」を新規オープンしました。今後は名古屋と岐阜を中心に出店拡大を進め、関西圏も視野に入れています。
ただトップが勝手に出店を進めていると社員に思われてしまうと嫌なので、目的無く出店しているわけではないことを説明しています。会社の収益を上げるために必要なことだと知ってもらうため、売上シミュレーションや商品が売れる仕組み、投資回収や借入れした場合の返済などの事業計画を話しています。
--御社のブランド選定の基準を教えてください。
中村 FCには知名度やスケールメリット、商品開発力や信用力など多くのメリットがありますが、当社が最も重視しているのは商品開発力です。当社はオリジナルの業態を出店していたこともありますが、商品開発や販促には膨大な時間と労力がかかり、自社では絶対に真似できないと感じました。その分、お客様へのサービスなどに注力できることへの感謝を社員に伝えています。
 ちなみに、新入社員が入社する際には当社の事業内容を説明するのですが、「FCの意味を知っているか」聞くと、半分以上が知らないと答えます。FCという仕組みを利用してどういうメリットがあるか、FCを活用することでどのようなリソースが削減されるか。このようなことも社員がしっかりと意識できるように話しています。
--当事者意識が生まれやすい環境を作っているのですね。
中村 現在当社は創業43年目ですが、27年以上続いている店舗は1つもありません。それを新入社員全員に説明しています。今展開している店舗や事業も、時代や環境の変化、運営力の問題も含めて、流れが変わることで撤退もあり得るからです。就職した段階で希望していた事業が無くなってしまっても、新しい事業でステップアップできることが絶対にあると伝えています。極力、事前に伝えていたことと差が生まれないよう気を付けていますし、社員の要望もできる限り聞くようにしています。「フレンズ」という社名の通り、社員の友達のような存在でありたいと思っています。
--今後の展望を教えてください。
中村 育食住の三本柱で地域社会の暮らしを支える企業グループを目指しています。子会社では「ハウスドゥ」を2店舗運営しており、年内には3店舗目を出店予定です。これで食と住の領域をカバーできたので、次は「育」だと思っています。食育や人材育成、就労支援など、将来を見据えて食をテーマに新業態を5年以内に立ち上げたいと思っています。

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銀だこハイボール酒場に新規加盟し増店に注力

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(三重県松阪市)
中村 保之 社長(55)
Profile 株式会社フレンズ代表取締役社長。1969年大阪府生まれ。小学校3年から松阪市で育つ。札幌学院大学卒業後、株式会社ダスキンを経て1994年に株式会社フレンズ入社。ミスタードーナツ事業で現場経験を重ね、2012年4月より現職。地域に根差した経営を推進している。

 

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