【FASTGYM24】日テレグループのティップネスがFCに本格参入

公開日:2023.02.20

最終更新日:2023.02.26

※以下はビジネスチャンス2022 年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

他社にないコンテンツ力強みに500店を目指す

 日本テレビグループのティップネスが、FC事業に本格参入する。ティップネスは1986年の設立から36年にわたり、フィットネス専業で事業を展開している。現在は「フィットネスクラブ ティップネス」をはじめとする総合型クラブを57店舗、 24時間マシン特化型ジム「FASTGYM24」を直営で110店舗運営している。今年4月にはFASTGYM24のFC第1号店をオープンしており、今後は5年間で同ブランドのFC店を500店まで出店していくと意気込む。

(ティップネス:東京都千代田区)酒巻 和也 社長(63)

Profile さかまき・かずや
1959年生まれ。1984年日本テレビ放送網入社。 2007年同社人事局人事部長。2009年同社報道局次長。2013年同社社長室長。2016年日本テレビ放送網取締役執行役員。2019年日本テレビホールディングス取締役。2020年ティップネス代表取締役社長(現任)。2021年日本テレビホールディングス上席執行役員(現任)。

 

 

 

 

 同社の柱となるのが、「ティップネス」と「FASTGYM24(以下:FASTGYM)」の2ブランド。そのうち、24時間マシン特化型ジムである「FASTGYM」のパッケージを今後FC展開していく。同業態は総合店に比べ参入障壁が低いことから、トップランナーである「エニタイムフィットネス(以下:エニタイム)」を先頭に、各社店舗数を拡大している。今後店舗数を伸ばしていくために、いかに他社と差別化を図り、FCパートナーと連携するかが鍵となる。

余地がなくなる前に出店を加速 日テレグループならではの宣伝力

ーー9月から本格的に FASTGYMの加盟オーナーを募集されています。FASTGYM の利用ターゲット層は、男性が中心ですか。
酒巻 FASTGYMは男女比が7:3で、20〜40代の男性が中心ですね。ティップネスのような総合型はレッスンがあったりするので、女性比率も高く、男女比は半々です。

総合型クラブとして年の歴史を持つ

バリバリと身体を鍛えるよりは、日常的に来やすい場所を目指す

――現役世代を対象にし、月会費の平均単価も7000円という設定は、エニタイムと同じラインを狙っている印象です。利用者の方からすると同じに見えてしまうのでは。
酒巻 おっしゃる通り、「エニタイムとティップネスどう違うの?」と言われてもなかなか説明しづらいです。ジムで無人という業態は同じですから、多少マシンに差はあるとはいえ、運動初心者の方からすれば大きな違いがあるわけではありません。きっとお客さんからすれば、家に近いところを選ばれると思います。
 だからこそ、どこに出店するかが勝負になってきます。エニタイムさんがどんどん出店されて余地がなくなる前に、我々は出店を加速したい。
――御社ならではの差別化が図れるポイントはありますか。
酒巻 一つは、どちらかというと我々のジムの方が少し柔らかいイメージを持って頂いていると思います。エニタイムさんはガチでやる人が多いので、そういうところを嫌う人もいます。我々はそこを狙っていきたい。そしてもう一つは、我々が36年に渡ってフィットネス専業の会社としてやってきたノウハウです。お客さんへのサービスもそうですし、その辺を今後FASTGYMの中で反映していくことができます。
 エニタイムさんはアメリカのパッケージをそのまま日本に持ってこられていますが、我々はフランチャイザーですから、店舗の開発において変化を付けていくことができます。
――日本テレビグループならではの強みはありますか。
酒巻 日本テレビのネットワークは、日本テレビを含めると30社あります。今回のFC展開に際し、各局に声をかけたので、日本テレビのメディアの中で露出しやすくなったということはあると思います。言い方は良くないですが、「タダで宣伝してあげます、ティップネスグループは」と言えるようになりました。
 日本テレビでは、毎年秋に「カラダWEEK」という、健康やスポーツを中心にした番組編成をする週があります。たとえばそこに、うちのインストラクターが出演するということも考えられます。そういったメディアの宣伝力については、うちのグループならではのものです。加盟していただけるオーナーの方にとってのメリットにもなりますよね。
――FASTGYMの出店立地についてですが、商圏の明確な指標はありますか。
酒巻 現状では3万2500名に1店舗は成功すると思っています。これは我々が今まで100店舗超を出店してきたノウハウをもとに、成功する立地をきちんと選定していきます。夜間人口やターゲット人口も含めて、いくつかの指標がありますので、細かい設定から物件をきちんと評価して集客予測をします。
――立地に関してはいかがでしょう。都心部と地方では、条件が異なると思います。
酒巻 車社会と東京のような徒歩、あるいは地下鉄のエリアは当然違います。都心部の平均坪数は70坪ですが、地方ロードサイドになると床が100坪で、駐車場20台以上をイメージしています。ドライブタイムで5分から10分の距離なので、都心の駅近よりも商圏は広がります。フィットネス難民が多いエリアはまだまだありますので、そうするともう少し商圏は広がると思います。
――これまではどのような場所に出店していますか。
酒巻 名古屋に出店している7店舗はロードサイドに建っています。ほかの地域でも、コンビニやドラッグストアの居抜きでやっているところも数店あります。出てきた物件にもよるので、このサイズでなければやらないと決めているわけではありません。総合型ほど敷地面積もいらないですし、駅前の空き地や空き店舗も新たにできたりするわけですから、物件は出てきます。

これまでは都心部中心の出店(写真上)だったが、FC展開に合わせて郊外のロードサイド(写真下)での出店も加速

 

日本テレビホールディングスが同社をM&Aしたのが2014年。それまで日本テレビグループでは、テレビ放送事業・不動産事業・コンテンツ事業の3部門構成だったが、ティップネスのグループ化により、「生活・健康関連事業」のセグメントが新たに立ち上げられた。以降、直営店の店舗展開で順調に店舗数を伸ばしてきたが、2020年からコロナの影響で風向きが変わった。ただ酒巻社長は、FASTGYMのモデルであれば、コロナ禍であっても可能性は十分にあると踏んでいた。

放送事業以外へ500億規模の投資 生活・健康分野でTVとのシナジー

――御社は1986年にサントリーの子会社でフィットネス事業をスタートし、2001年から丸紅傘下のレヴァンさんと統合しました。2014年から日本テレビグループに入り、今は100%子会社です。
酒巻 当時はサントリーが70%、丸紅が30%を出資していました。日本テレビグループに入る時は、ちょうど私が社長室長をしていたので、交渉も担当していました。
――日本テレビがフィットネス事業に乗り出した狙いは、どこにあったのでしょう。
酒巻 みなさんご存知の通り、テレビ放送事業は好調でしたが、インターネットが世の中に流布し始めて、広告宣伝費はネットに逆転され始めました。そうなると「これから先、日本テレビとしてはどうするの?」と。そこで2012年の中期経営計画で投資額500億円を設定して、テレビ放送以外の企業にも積極的に出資をすると宣言したわけです。
 投資先としてメディアとシナジーがあるのは、教育やティップネスのような健康事業など、視聴者の方の生活に関連する分野が出て行きやすかった。ちょうどその頃、ご縁もあって、サントリーさんが売却する時に手を挙げたのです。
――FASTGYMが2014年にスタートしてから8年ですから、年間店以上出店していますか。
酒巻 最初の頃の方がスピード感がありました。6年ほどで直営店を110店舗まで出したのです。コロナ以降は出店していません。

“我々はすでに100店以上の直営がある” フランチャイザーとしてフレキシブルな対応も検討


――現在、総合型のティップネスが54店舗、FASTGYMが111店舗。総合店の方は、買収した時と大きく店舗数は変わっていませんね。
酒巻 総合店は昨年も駒沢大学やイオンモール川口などに出店していますので、出していないわけではないです。ただ実は総合店に関しては、ここ3年くらいコロナ禍で畳んだ店の方が多く、7店畳みました。
――フィットネスの大手3社(コナミ・セントラル・ルネサンス)をはじめ、各社は今コロナで苦労されています。御社もだからこそ新たな領域に参入したのだと思いますが、FC進出はいつ頃から考えていましたか。
酒巻 僕がここの社長になったのが、2年前の2020年。まさにコロナが始まった年です。うちは日本テレビから資金を借りられますが、積極的に自前で出店していくのはなかなか難しい状況でした。
 しかし一方で、フランチャイズをやれるとなれば、FASTGYMのモデルであれば可能性はあるなと以前より思っていました。我々はすでに100店以上の直営がありますから、テストマーケティングは直営でやりながら、成長戦略はFCに舵を切ろうと今は考えています。
――このタイミングでFCを始めるのは業界でも話題になると思います。
酒巻 我々はティップネスを直営展開していますが、直営だと関東までしか目が届かない。そうなると我々の目が届かないところは、フランチャイズできちんとしたオーナーさんにお任せした方が、利幅は少ないですが、ビジネスとして大きくしていけるチャンスがあると思いました。
 それに放っておくと、日本中にエニタイムさんが建っていってしまいます。同業の競合がどんどん建っていくのを指を咥えて見ているのか、という思いがあったのは事実です。
――今後5年間でFASTGYMの目標FC店舗数を500に掲げられています。全国展開の方法は。
酒巻 これまでティップネスは東京を中心に東名阪エリア、FASTGYMは名古屋エリアまで出店しています。これをできれば全国にも広げていきたいと思っています。
 実は最初、全国の日本テレビ系列局に仁義を切るためにも声をかけたんですが、反応があまり良くなかった(笑)。中には積極的になっていただいている会社もありますが、まだ実績はありません。
――法人で何店舗か運営するオーナーが出てくれば早いですね。いつ頃からFCの出店は始まりそうですか。
酒巻 「他社さんにいくよりうちのほうがいいんじゃないですか」と、どうやって口説くかという話ですね(笑)。FCはすでに1店舗ありますが、オープンまで6カ月くらいかかりますから、今期3月末までに3〜5店まで出せればと今動いています。

 同社がコロナを機にスタートしたのが、オンラインフィットネスの「トルチャ」だ。このようなコンテンツ制作や動画配信は、日テレグループならではの強みとなる。今後は同サービスを FASTGYMの会員向けに提供するなど、独自の店舗開発を進めていく。飽和状態に見えるフィットネス市場は、格安のコンビニジムやオンラインフィットネスなどの新業態も続々と出てきており、依然成長路線だ。そんな中、ティップネスが目指すところは―。

会費とバンドルでレッスンを提供 フィットネス事業で健康寿命を延伸

――加盟店の出店コストやロイヤリティは。
酒巻 初期投資は物件によっても変わりますが、約6800万円〜8300万円です。内訳としては加盟金や開店監修費、店舗開発費として700万円。その他、設備投資や開業前販促、人件費や備品等々で約6100万円〜7600万円です。ロイヤリティは25万円。システム料金などを含めると45万円です。
――モデルパターンで1店舗の会員が650人ということですが、会費7000円平均で月商455万円(オプション収益含めると500万円弱)です。収益モデルは。
酒巻 採算分岐点は、営業利益ベースで大体450人くらいになります。基本的に3年目の営業利益で1000万円です。3年償却のものが結構ありますので、4年目からは大体1店舗あたり2000万円くらいの利益をみています。投資回収は大体3年〜4年です。
――御社にはフィットネス事業での36年間のノウハウがあるとおっしゃっていましたが、具体的には。
酒巻 まず、長年にわたって我々が貯めてきた知見や知財があります。人の教育やサービス、ホスピタリティ、またはコンテンツをどう作り込んでいくか、それをどのようにマーチャンダイジングしていくかなど色々あります。今は24時間ジム型のスタイルで10年間やってきていますが、これが変わらないかというと、そういう保証はないです。
 そしてそういう時に、我々は引き出しが沢山あるということです。今はまだこのパッケージでいけますが、これを今後変えていく必要があると思います。
――実際、店舗での具体的な取り組みはありますか。
酒巻 一つは、直営店の中でテストを始めている「ソナエルトレーニングクラブ」です。FASTGYMの利用者層は年齢が若く、昼間も働いているため、ゴールデンタイムは夜になります。
 そこで昼間はシニア会員の方を少人数集めて、軽運動を一緒にしていただきます。総合店でやっているライト版です。これはまさに総合店でやってきたノウハウが生きている事例です。FASTGYMを箱にして、マシンを置いて運動をして終わったらシャワー浴びて帰る、だけじゃない使い方が出来る可能性を秘めています。
――加盟オーナーからすると二毛作ができますね。

オンラインレッスの「トルチャ」は週に500本の動画を配信

酒巻 もう一つは、オンラインフィットネスの「トルチャ」です。これはティップネスもFASTGYMも、会員になると月額3980円(税別)を月額1500円でご利用いただけるというものです。
 現在、テストで展開していますが、四街道・名四丹後通りの店ではトルチャをオンエアするブースを作って、自由にお客さんがレッスンを受けられます。従来の24時間型ジムのサービスにはないものを提供しています。
――ジム会費とオンラインレッスンをバンドルで安く提供し、利用してもらうと。
酒巻 総合店だとスタジオレッスンはありますが、FASTGYMは会費7000円を払ってもそれがないじゃないですか。その点トルチャは、ヨガのレッスンなどもあるので楽しんでいただける。これもグループで動画配信の仕組みを持っている会社があって始めた事業ですが、今も毎日ライブ配信をして、週に500本ほど配信しています。
――それらのサービスを、今後は順次パッケージに反映していくイメージですね。
酒巻 フランチャイズを始めたばかりなので、今後オーナーの方たちとも色々なお話をさせていただきます。「こんなこと、あんなことできないの?」ということに対して、我々は回答やご提案ができると思います。このモデルでしかやらない、とまだ決めているわけではないです。オーナーさんとのコミュニケーションが今後活きていくのではないかと思っています。
――フィットネス参加率は、北欧やアメリカが約20%に対し、日本は3〜4%に留まっています。
酒巻 3%の壁と言われますよね。おそらく日本は皆保険で、アメリカは皆保険でないという違いももちろんあると思います。ただ日本テレビグループがこの業界に進出した時の一つの考え方でもあるのですが、「日本国民みんなの健康寿命を1日でも長くする」。
 すなわち、医療費も下がるし国益にも合致している、というのは常に一番遠くの北極星としては考えています。そこに向けて我々の事業が貢献できることはいくらでもあるはずと思っています。
――ジム特化型ではない、格安のパッケージなども増えています。今後、参加率は何%くらいまで伸びると期待していますか。
酒巻 今の3%の参加率を超えなければならないのか、また3%の参加者の中でも色んなことをやっていくことによって、国民医療費を下げるような仕組みができるのか、考え方はいくらでもあると思います。そこをどういう風に乗り超えていくかは、この業界に出てきた以上、考えていかなければいけないことだと思っています。
 個人的には、単純に参加者を増やせばいいという話でもないような気がします。やり方はいくつかあると思います。
――コンビニもそうですが成熟化すると大体3つか4つに集約されます。その点、フィットネスはいまだにこれだけのブランドがある。依然として成長しているのが分かりますね。
酒巻 総合型は1店作るのに10億円くらい初期投資がかかりますが、マシンジム特化型は1億円ですから、昔より随分フィットネスクラブへの参入障壁は低くなりました。ですから、今は事業者の数も増え活況ですが、今後はどんどん淘汰されると思います。

企業データ

社名 ティップネス
ブランド名 ティップネス/FASTGYM24 ほか
設立 1986年
店舗数 168店舗(ティップネス含む総合型店舗:57店舗/FASTGYM24:111店舗)

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