【ダイキチカバーオール】ニッチ市場を開拓したビルメンテナンスサービス

公開日:2025.09.11

最終更新日:2025.09.05

※以下はビジネスチャンス2025年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

オーナー交流の推進で10年間の事業継続率は85%

 1997年に創業した「ダイキチカバーオール」は、関西エリアを中心に法人向けの清掃サービスを提供している。主な清掃場所はオフィスビルやマンション、病院や老健施設で、契約施設は約2万6000件、24年5月期の年商は113億3000万円に上る。1997年にFCを開始し、現在は1125人のオーナーが稼働している。同社の小田吉彦社長に、増収増益の理由とFCの特徴を聞いた。

除菌清掃でコロナ禍も好調毎年100人の加盟者を獲得

--御社がFC展開する「ダイキチカバーオール」は、他社と何が違うのでしょうか。
小田 我々のターゲットは、ビルメンテナンス業界のニッチ市場です。たとえば、1~2時間で清掃が終わるような3~5階建ての小さいビル、アクセスしづらい遠隔地の物件など、普通のビルメンテナンス会社が行きたがらないところや、清掃員を募集しても集まらないような物件の案件を受注しています。
--どのような清掃基準を設けていますか。
小田 Health based cleaning systemの考え方に基づいて、すべての施設に病院並みの清掃を施しています。単純に言うと除菌清掃のことで、見えない汚れまで綺麗にしようというコンセプトで清掃しています。
―事業開始から28年が経過しますが、近年の業績はいかがですか。
小田 近年は特に好調です。除菌清掃をやっているのでコロナのときは余計儲かりました。さらには、コロナで職を無くした人が加盟してくださるケースもあり、規模も拡大しました。年間で約100人ずつ増えていて、現在は実働1125人となっています。
--業績が下がった時期はないですか。
小田 ないですね。リーマンショックも良かった。なぜなら、ビルメンテナンスはストックビジネスなので毎月必ず仕事があります。さらに、我々は月間で約1100万円の新規契約を取ってきます。むしろ、毎年100人くらいのオーナー様に加盟してもらわないことには仕事が回わらないような状況です。

ダイキチカバーオール
ダイキチ
ビルメンテナンス
清掃サービス
クリーニング
小田吉彦

害虫駆除

ダイキチカバーオール
ダイキチ
ビルメンテナンス
清掃サービス
クリーニング
小田吉彦

営業不要で清掃作業に専念できる

営業不要と売上保証 製販分離のビジネスモデル

--御社のFCの特徴の1つに、加盟店の代わりに本部が営業する仕組みがありましたね。
小田 はい。我々本部が各施設に徹底的に営業し、契約を取っています。ウェブマーケティングやセールスマーケティングが直接お電話したり、営業マンが訪問するなどして見込み客を発掘しています。そして、ご契約先の清掃管理はオーナーさんにしていただきます。仕組みとしては製販分離です。
--開業前研修ではどのようなことを行っていますか。
小田 約2週間の基本研修と実習研修を実施します。座学メインの基本研修では、ケミカルの観点を踏まえた洗剤の扱い方、そしてお掃除のコツを教えています。また、研修中の土日は先輩オーナーのもとへ行き、OJT形式で業務手順を学びます。これは良き相談相手づくりにもなります。そして、基本研修が終わったら実習研修に入ります。実習研修では本部の品質管理のスタッフ帯同のもと、契約先のお掃除をします。そのため、研修と言いながらもここから収益が始まります。
--御社には営業不要で売上保証制度もあります。これは、稼ぎたい額が100%保証されるということですか。
小田 その通りです。弊社の加盟パッケージは何通りかあって、稼ぎたい額に応じて初期投資額が変わります。たとえば、月に60万円を稼ぎたい人は「パッケージ60」で初期投資が720万円、月80万円を稼ぎたい人は「パッケージ80」で初期投資が840万円となります。オーナー様によっては別途、車両代や資機材を保管するための倉庫費用が掛かる場合があります。
 また、パッケージは30から100までありますが、後から変更することも可能です。多くの方はパッケージ60で加盟されて月60万円の収入を得た後、ご自身の身体や生活などエンゲル係数を考慮し、仕事の量を調整されます。
--スタンダードなパッケージ60で開業する場合の初期投資を教えてください。
小田 加盟金140万円、研修費90万円、資機材費130万円、顧客紹介料360万円の合計が税抜きで720万円です。無店舗型ビジネスなので、低コストで開業できます。
--この場合、オーナーの稼働時間と手残りはどのくらいになりますか。
小田 稼働時間は物件や清掃の種類によって変わりますが、朝6時にスタートして各現場を回ります、終わるのが昼2時くらいなので、稼働時間は約8時間です。
 また、手残りは売上の約8割を想定しています。主なランニングコストは月額17.3%のロイヤリティが10万3800円、ガソリン代と資機材費、その他雑費で約8%の4万8000円となり、パッケージ60の実収入は44万8000円となります。
―営業せずとも売上が保証されているのは安心です。
小田 その上、当FCのオーナー同士の仲の良さは日本一だと思います。まず、オーナー様は営業しないので客の取り合いはありません。むしろ、近くのオーナー様に手伝ってもらえるので、敵対ではなく仲間意識があります。
そして、毎年各エリアのオーナー様を集めた方針発表会を行うほか、夏にはBBQをするなど定期的な交流会を開催しています。また、各エリアを6~7ブロックに分けた地域チームを編成しており、そのチームごとに飲み会や勉強会をして交流を図ってもらい、助け合いの精神を育んでいます。こうした取り組みもあって、当FCの年間の継続率は88.57%となっています。
--今後の目標を教えてください。
小田 目標は2つあります。つは、2000年にリリースした害虫駆除のFCを伸ばすことです。これも清掃FCと同じように本部で契約を取り、オーナー様にネズミやゴキブリ類の駆除をしてもらうビジネスモデルです。
 すでに14人のオーナー様が稼働しており、うち4人は清掃と兼業です。この4人がすでに成功しているため、今後は既存オーナー様に新規事業として害虫駆除を取り入れてもらいたいと考えています。
--もうつの目標は。
小田 外国人に加盟してもらうことです。日本の在留外国人は230万人で、毎年30万人ずつ増えていく見込みです。しかし、外国人労働者の大半はワーカーで、在留外国人の約78%が年収300万円に留まっています。
 出稼ぎに来た人たちは、日本に夢を持って来たのだと思います。このまま単なるワーカーとしてキャリアビジョンも描けないのでは、日本に来たくなくなると思います。そこで、我々は外国人にもイキイキ働いていただくために、FCに加盟してもらいたいと考えています。

ダイキチカバーオール
ダイキチ
ビルメンテナンス
清掃サービス
クリーニング
小田吉彦

毎年各エリアのオーナーを集めた方針発表会を行う

ダイキチカバーオール
ダイキ(大阪府貝塚市)
小田 吉彦社長(60)
ダイキチカバーオール
ダイキチ
ビルメンテナンス
清掃サービス
クリーニング
小田吉彦プロフィール:おだ よしひこ
1964年10月生まれ。92年に株式会社ダイキチへ入社。入社と同時にフラワー事業部の立ち上げを任され、96年に同事業部を株式会社ベレーロとして分社化。99年、株式会社ダイキチのカバーオール事業部の営業部長に転籍し、02 年に同事業部をダイキチカバーオール株式会社として分社化、代表取締役に就任。22年に株式会社ダイキチと再度合併し、代表取締役社長に就任。現在に至る。

 

 

 

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