
【連載 第54回】経営者が知らないとマズイ 業績を上げるためのファイナンスの裏ワザ
公開日:2025.07.30
最終更新日:2025.07.31
※以下はビジネスチャンス2025年8月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
税理士の「脳」を知ろう!
税理士の私が言うのも何ですが、税理士は経営者の皆さんと違うことを考えています。「専門家の言うことだから…」と顧問税理士の意見を尊重していると、とんだ損害を被ることになりますのでお気をつけ下さい。
■否認は絶対ダメ??
税理士の多くが、税務調査で否認されると、皆さんに怒られると思っています。顧問税理士が絶対に否認されない選択をするのは、皆さんからのクレームを恐れた末の自己防衛策なのです。
■申告納税制度の本質
そもそも法人税や所得税は、申告納税制度を採用しています。申告納税制度では、まず納税者が自らの税法解釈により申告書を作成して、そこで計算された税金を納税します。しかし、それでは納税者が申告でズルをする可能性があるので、税務調査という仕組みがあります。脱税はダメですが、見解の相違はあり得るということです。税務調査は、納税者と国が見解をぶつけ合うための場所です。つまり、税金が少ない方が良いという皆さんの申告書は、否認されるくらいで丁度良いということです。
ところが、税理士は皆さんに怒られたくない一心で、否認されない。顧問料が安くても、その分税金を払わされたら堪ったものではありません。顧問料には相場がありますが、納税額には相場がないので、「顧問料+税金」で考えたら大損もあり得ます。
この問題を回避するために皆さんが申告書をチェックするのは、税法も申告書も難しいので残念ながら無理でしょう。現実的な対応は、「税務調査で否認されてもOK」と顧問税理士にストレートに意思表示をすることです。コストはかかりません。いますぐ実行して下さい。
■税金は少ない方が良い?
一方で、顧問税理士が「納める税金は少ない方が良い」と思い込んでいるのも困りものです。例えば、顧問税理士が節税を否定して貯めさせた内部留保の行き先は退職金、という安直な節税提案がよく行われています。
確かに、退職金は退職所得控除という勤続年数に応じた所得控除が受けられますし、なにより、他の所得とは別で、退職所得控除後の金額の半分しか税金がかかりません。非常に有利なおカネの受け取り方であることは認めます。しかし、そのためには、払いたくもない法人税を払う必要があります。それより大きな問題は、退職金は経営者の現在と近い将来の生活資金にはならないということです。
税金が少ないからといって、歳を取ってから大金もらって嬉しいですか?若くて元気なうちに、たとえ税金が多くても役員報酬で受け取って、使った方が人生豊かになりませんか?(会社から貸付を受けて、将来受け取る退職金で返済するというスキームは、銀行借入が出来なくなるため推奨しません)しかし、税理士は税金の専門家なので、税金が少ない意思決定が合理的と思いがちなのです。税金が少ないことが、皆さんの幸せ度合いと完全に連動しているならば別ですが、普通は幸せの極小さな一部でしかないはずです。
申告書を自分で作るのが難しい以上、顧問税理士の存在は必要不可欠です。顧問税理士を上手に活用するためには、税理士脳(=頭の中)を知る必要があります。本稿がその一助になっていれば幸いです。
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公認会計士・税理士。経理代行のアカウンタックス代表。ビズ部・部長。債権の入金確認や振込業務を含む、経理の全機能を提供し、キャッシュ・フロー改善に貢献している。毎月開催する節税セミナーには多くの経営者が参加して好評を博している。
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