
【連載 第51回】経営者が知らないとマズイ 業績を上げるためのファイナンスの裏ワザ
公開日:2025.01.23
最終更新日:2025.01.23
※以下はビジネスチャンス2025年2月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
税理士が「決算書で差別化できない」はウソ?

アカウンタックス代表取締役社長 山口真導氏
公認会計士・税理士。経理代行のアカウンタックス代表。ビズ部・部長。債権の入金確認や振込業務を含む、経理の全機能を提供し、キャッシュ・フロー改善に貢献している。毎月開催する節税セミナーには多くの経営者が参加して好評を博している。
私の尊敬するコンサルタントの話で、1つだけ納得出来ないことがあります。彼は、「税理士は決算書で差別化できない」「決算書は誰が作っても同じ」といいます。彼のようなリテラシーの高い人物がそう思っているのですから、多くの方が同じ認識でいると推測されます。
利益が大きい方が良い決算書
私は税額が同じであれば、極力利益が大きい決算書を作ります。なぜなら、お客様の会社をより良く見せたいからです。顧問料を頂いている以上、当たり前のことです。これについて、中小企業倒産防止共済(以下、セーフティ共済)というよくある節税対策を例に説明しましょう。
この掛金は損益計算書上、保険料として処理されるのが一般的で、その分の利益を減少させます。一方、私はセーフティ共済の支払を、貸借対照表の保険積立金で処理します。費用処理ではないので、掛金分の利益が増えます。
税金の計算と決算書は別
私の処理では、「掛金が節税にならないのではないか?」と心配される方もいると思います。お手元に法人税の申告書を持ってきて、右上に「別表4」と書いてあるページを開いて下さい。一番上の欄に、損益計算書の当期純利益の金額が入っていると思います。その下には、「加算」「減算」という区分があり、会計上の利益に対して、足し算、引き算をする形式になっています。別表4は、会計上の「利益」を、法人税法上の「所得」に変換するための表です。この表により、会計上の費用処理をしなくても別表4の「減算」に記入すれば、所得の金額は減額されて、掛金を費用にしたのと同じく節税になるのです。この結果、利益は大きいが、税額は同じ決算書を作ることが可能になります。
税額が変わることもある
補助金を受け取ると税金がかかります。この課税を先延ばしに出来る「圧縮記帳」という処理方法があります。固定資産の取得価額を補助金分減らすことで、減価償却費が減額されて、少しずつ補助金分を所得にする手法です。
例えば、100万円の資産(10年償却)を50万円の補助金を受け取って購入した場合、初年度の減価償却10万円に対して補助金が50万円なので、40万円の利益が出て課税されてしまいます。
圧縮記帳では、資産の取得価額から補助金分を減額した簿価を基準に減価償却費を計算します。簿価50万円を基礎として耐用年数10年で計算すると、減価償却費は5万円になります。通常の償却費10万円と比べると5万円償却費が減るため、この5万円の利益が耐用年数の期間中、継続して課税されます。
受け取った補助金が一気に課税されて消えてしまう処理より、少しずつ課税対象になる方が、資金繰り上有利です。しかし、この合法な処理をせずに、いきなり納税している会社が沢山あります。
本当は「差別化出来ない」が正しい
「税金が同じなら利益が大きい方が良い、補助金にいきなり課税されない方が良い」というのは、多くの経営者の共通の希望であって、叶えられるべきものです。決算書で差別化出来る現在の状況は、顧問先の希望を叶えない税理士がいなければ成立しません。もしかしたら、冒頭のコンサルタントは、「全税理士よ、ちゃんと仕事をせよ!」と言いたいだけなのかもしれません。
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