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【連載 第45回】経営者が知らないとマズイ 業績を上げるためのファイナンスの裏ワザ

公開日:2024.01.30

最終更新日:2024.01.30

※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

2024年は値上げの年にしよう!

アカウンタックス代表取締役社長 山口真導氏

 昨年中から、商品・サービス価格への転嫁が「大手では」始まっていますが、中小では、まだあまり値上げの話を聞きません。値上げの効果をお伝えすることで、今年を値上げの年にして頂きたいと思います。

 

 

 

 

財務モデルを導入しましょう

 値上げの効果を試算するために、簡単な財務モデルを使います。費用を変動費と固定費に分けると次の算式で表すことが出来ます。
利益=売上−変動費−固定費
 売上高と変動費は数量の関数です。つまり、売上=単価×数量、変動費=単価×数量なので、売上から変動費を差し引いた粗利益は(売上単価−変動単価)×数量になります。

損益分岐点とは

 この数式に数字を入れて見ていきましょう。客単価100万円の仕事をしている甲社があったとします。変動原価は30万円で、顧客当たり粗利益は70万円です。現在、お客様を100社抱えていて、固定費は毎年7000万円かかっているとしましょう。利益の金額を計算すると、70万円×100社−固定費7000万円=0となり収支トントンということになります。この収支トントンの売上高を「損益分岐点」と言います。
 顧客数が10社増えると、70万円×110社−固定費7000万円=700万円の利益になりますが、10社減ると、70万円×90社−固定費7000万円=マイナス700万円の損失になります。

原価上昇の影響を試算する

 甲社が原油高の影響を受けて、原価が10%上昇しました。粗利益は100万円−33万円で67万円に減りました。この場合、67万円×100社−固定費7000万円=マイナス300万円の赤字になります。
 甲社がこの原価の上昇を価格転嫁したとします。上げ幅を原価の上昇分に合わせると客単価は103万円になり、粗利益は原価上昇前と同じ70万円になります。顧客数に変動がないとすると、また収支がトントンに戻ります。真面目な中小企業の社長だと、こんな感じで値上げをするのかもしれません。

値下げの効果を試算する

 もし仮に、値上げ幅を原価上昇幅に合わせたら、利益はどうなるでしょうか? 単価を10%上げて110万円にすると、粗利益は77万円になります。すると利益は、77万円×100社−固定費7000万円=700万円に増えます。原価上昇分以上の値上げをすると、利益が増えることが解ります。

値上げをしたら客数が減るのでは?

 中小企業が値上げをしないのは、値上げによって客離れが起こることを心配するからです。そこで、10%の値上げをした場合に、何人顧客が減ると値上げ前の収支トントンの状態になるか試算してみましょう。
 700万円の利益を粗利益の77万円で割り戻すと9社分の顧客数の減少で済めば、収支トントン以上の状態になることが解ります。検算すると77万円×91社−固定費7000万円=700万円です。
 値上げ後に、仮に1件顧客を増やすと、値上げ前よりも7万円利益が増えます。これは顧客獲得のために、その分のコストを掛けても良いというシグナルです。減る顧客を心配するだけでなく、顧客を増やすことにも目を向けると、値上げの効用を理解して頂けると思います。
 これからは人件費も人手不足でどんどん高騰していきます。これは固定費の上昇に繋がります。値上げは、増加する固定費の回収にも貢献します。値上げする際は、先を見越して大胆な値上げをしたいものです。

お問い合せ TEL.03-3237-1311
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