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【連載 第44回】経営者が知らないとマズイ 業績を上げるためのファイナンスの裏ワザ

公開日:2023.12.11

最終更新日:2023.12.11

※以下はビジネスチャンス2023年12月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

インボイス制度の被害者はアナタです

アカウンタックス代表取締役社長 山口真導氏

 令和5年10月1日から「インボイス制度」が始まりました。この制度は「年間売上高1000万円以下の免税事業者潰し」という側面がクローズアップされていますが、それだけが本質ではありません。

 

 

 

 

免税事業者への影響

 インボイス制度とは、適格請求書を発行できる事業者だけが消費税を請求できる制度です。
 これまで免税事業者だった小規模事業者でも、適格請求書を発行すると強制的に課税事業者になります。適格請求書を発行して消費税を請求する以上、消費税の納税までがセットです。今まで免税事業者は消費税を請求しておきながら、納税せずにポケットに入れていました。この益税が無くなる話がよく報道されています。しかし、税金で儲かるというのは「課税の公平」という観点から問題があります。免税事業者当人は今まで合法だった益税を正当化するかもしれませんが、個人的には間違いを正しただけだと思います。

課税事業者への影響

 インボイス制度の問題の本質は、課税事業者の側で発生します。
 今までは免税事業者でも消費税の請求が出来たので、課税事業者はその分の消費税を消費者から受け取った消費税と相殺して納税することができました。しかし、インボイス制度の導入によって、適格請求書に基づく支払いだけが消費税を控除できるように変わります。この結果、適格請求書を発行「できない」事業者を利用すると、その事業者が納税するはずだった消費税を課税事業者側が納税することになるのです。
 文章だと分かり難いので数字を使って説明しましょう。課税事業者の100円の売上には、消費税10円が課税され、課税事業者は10円の消費税を預かります。この仕事を適格請求書発行事業者に70円で依頼したとします。その際、消費税7円が課税され、課税事業者はこれを支払います。この取引によって課税事業者が納税する消費税額は、預かった消費税10円から、支払った消費税7円を差し引いた3円です。
 一方で、外注先が適格請求書を発行「できない」場合には、課税事業者は消費税を支払えません。つまり、納税額は預かった消費税10円になります。納税額の差額は7円です。この7円は、外注先が課税事業者から受け取って納税するはずだった消費税の金額です。インボイス制度の問題の本質は、このような形で課税事業者に「免税事業者がポケットに入れていた消費税」を納税させるところにあるのです。

本当の被害者は課税事業者

 これまでも消費税の納税は間接税の割には支払い負担の大きい税金でした。なぜなら、赤字の場合でも納税が必要な税金だからです。そこにインボイス制度が導入されたことで、さらに納税負担が増します。インボイスの保管や様々な特例処理など、事務負担の増加も問題です。
つまり、課税事業者のアナタが最大の被害者なのです。税金で得が出来なくなった免税事業者の涙ながらの訴えに、真の被害者であるアナタが同情している場合ではありません。財務省はこれからも巧妙な手口で、一生懸命稼いだアナタのおカネを奪い取りにくるでしょう。インボイス制度は導入されてしまいましたが、同じことが起きないように注視していく必要があると思います。

 

お問い合せ TEL.03-3237-1311
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