【連載 第41回】経営者が知らないとマズイ 業績を上げるためのファイナンスの裏ワザ

顧問税理士の奴隷から抜け出す方法

アカウンタックス代表取締役社長 山口真導氏

　多くの税理士が会計事務所の経営安定ため、お客様を奴隷化しています。その根源は、最初に税理士を決める悪しき慣習にあります。そして、「あとは先生のやりやすいようにして下さい」という言葉を皮切りに地獄の関係が始まります。今回は、奴隷から解放される術を説明したいと思います。

税理士に匿われたデータ

　　顧問税理士は、自分の使いやすい会計ソフトを導入します。そのデータは、会計事務所のサーバーやパソコンに保管されていて、あなたの手元にはありません。依頼すれば、必要最小限の資料が出てきますが、会計ソフトのデータがまるごと提供されることはまずありません。

e-TaxやeLTAXのログイン情報

　e-TaxやeLTAXは、社長を介さずに、税理士が代理送信出来るようになって爆発的に普及しました。ログイン情報が分からない場合、社長であっても過去の申告履歴を確認することが出来ません。

持続化給付金等の申請が出来ない

　コロナ禍で補助金や助成金、給付金が支給されました。これらの給付申請をご自分で出来ましたか? 現実には、出来ない社長が続出して、申請難民が生まれました。いずれの給付金も申請する際に、確定申告書を添付する必要がありましたが、手元に申告書の控えがないため、社長自ら申請出来ないのです。
　あなたが税理士任せにした結果、重要書類やデータは会計事務所にしか存在しない状況になってしまいました。税理士変更をしたくても難しいと、あなたに思い込ませたら奴隷化の完了です。

奴隷からの解放の手順

　自らを奴隷から解放するためには、いきなり税理士交代というやり方はオススメ出来ません。人質になっている資料やデータを取り戻さないと、新しい税理士が困るからです。資料回収の方法を一つずつ説明します。

①過去の申告書の控えを全て提出してもらう
　申告書の控えの要求に大義名分が必要であれば、「銀行から過年度の資料の提出を求められた」「過去の業績をまとめておきたい」などの理由を伝えて提出してもらいましょう。

②過去の会計データを取り戻す
　会計データの取り戻しは、会計ソフトを導入することで大義名分を作ることができます。自社で会社の数字をすぐに見られるようにしたいと言えば、顧問税理士も感心して過年度の分のデータもゴッソリ提供してくれるでしょう。

e-Tax等のログイン情報を手にいれる

　e-Tax等のログイン情報を手に入れようとしたときに、会計事務所内で共通のパスワードを設定しているので教えられないと言われることがあります。これに対応するためには、あなたがログインする必要性を作る必要があります。
　クレジットカード納税やインターネットバンキング納税など、e-Tax等にあなたがログインしなければならないサービスの利用を希望してください。そもそもあなたの会社のログイン情報ですから、勝手に設定したパスワードも変更してもらえると思います。

顧問税理士と対等な立場

　過去の申告書は税務署に行けば見ることができますし、過去の会計データが無くても業務は引き継げます。e-Tax等のログイン情報も、新しく設定し直すことが出来ます。つまり、あなたが感じるほど税理士のスイッチングコストは高くありません。奴隷と同じで逃げられないと思わされているだけです。本当は、最初から現在まで、ずっと自由の身なのです。

Profile　山口真導
　公認会計士・税理士。経理代行のアカウンタックス代表。ビズ部・部長。債権の入金確認や振込業務を含む、経理の全機能を提供し、キャッシュ・フロー改善に貢献している。毎月開催する節税セミナーには多くの経営者が参加して好評を博している。

お問い合せ　TEL.03-3237-1311
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