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【連載 第2回】ワークマン式ホワイトフランチャイズ経営論

公開日:2024.01.15

最終更新日:2024.02.20

※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

加盟店への要求を減らすため本部の従業員数は最低限に すべては〝継ぎたくなる働き方〞を提供するため

 ホワイトフランチャイズ提唱し、実践するワークマン。近年の目覚ましい成長ぶりは、2018年に初出店したワ ークマンプラスのヒットが皮切りとなった。そしてその火付け役を担った同社専務取締役土屋哲雄氏の連載企画が今号からスタートする。初回はワークマンのFC本部としての経営論について語ってもらった。

ワークマン(東京都台東区) 土屋 哲雄 専務取締役

PROFILE つちや・てつお
東京大学経済学部卒業後、三井物産入社。三井物産デジタル社長、三井情報取締役を経て2012年にワークマン入社。 19年専務取締役(現職)。WORKMAN Plusや#ワークマン女子など仕掛け、大ヒ ット。22年からは東北大学客員教授も務める。代表的な著書に「ワークマン式『しない経営』」(20年ダイヤモンド社)。

 

 

加盟店に余計な作業をさせない

 今回は加盟店の負担を減らし、継ぎたいと思える働き方を提供するために我々が実践しているFC本部の体制づくりについてお話したいと思います。
 2012年に私が入社してから、基本的に本部の従業員数を増やさないことを方針としています。本部に余計な人間が増えると、加盟店から「こういうデータを取ろう」「こういう調査をしてもらおう」などと考え、加盟店に余計な作業が増えてしまうからです。
 当社の店舗は今でも全店舗の決済方法は現金とクレジットカードのみですが、それも電子決済など決裁方法を増やすと端末も増えて、それだけで負担になるからです。
 本部が最低限の人数で運営をすれば、加盟店に対する要求が減ります。接客と品出しに集中できる環境を提供することが、私たちの役目なのです。
 本部の従業員数を最低限にすることを徹底していますが、一方で加盟店に直接関わる部署は増員しています。特に人数が多いのはSV部。昔はSV1人で12〜13店舗を担当していましたが、1店舗1店舗のサポートを手厚くするため、人数を増やしました。今は SV1人当たり8店舗程度の担当になっています。
 また製品開発部は私が入社してから人数が3〜4倍に増え、現在は人ほどになっています。売れる商品を作ることが加盟店のためになるので、商品開発にもっと力を入れるべきだと判断したためです。
 SV部と製品開発部は加盟店にプラスになるため増員をしましたが、それ以外はほとんど増やしていません。むしろ私がCIOとして特に管轄する情報システム部は当初6人在籍していましたが、3人に減らしました。経営企画部は私が入社した際2人で、現在も2人のまま。しかし、売上は当時の3倍くらいになっています。

データ経営取り入れ自動発注化

 もう一つ私が入社して大きく変わったことは、データ経営をするようになったことです。それまでワークマンではデータがまったく活用されておらず、在庫の数もしっかりと把握ができていませんでした。
 SVも売れ行き商品の在庫はいくつあるのか、臨店の際に目視で数え巡回報告を行っていたのです。またシーズンの発注に関しても、「去年これくらい売れているから、何となくこれくらい発注しよう」と、資料もほぼなく決めているような状態でした。このアナログなやり方を変えるため、データ経営に切り替えることにしたのです。
 社員のみんながExcelを使ったデータ分析ができるよう、一通りの Excel関数を覚え、独自に分析ツールを作るようになりました。そして最近さらに進化をして、現在はPython(パイソン)というプログラミング言語を使った分析ツールを活用しています。そしてSVを中心に、社員の10%を「AI-Ready」(※内閣府が発表した AIを人間が安全に活用できる状態のこと)にする方針を掲げています。
 Pythonを使ったシステムを使うようになったことで、ボタン一つで発注が完了するようになりました。在庫リストが表示され、自動的に発注する商品を推薦してくれるので、それに納得すれば一括発注ボタンを押すだけ。
 データ経営にする前は、お客様が一番多く来店される夕方にオーナーが発注業務をしており、夕方以降の忙しさが大きな負担でした。しかし自動発注ができるようになってから、発注業務があっという間に終わり、負担が大きく軽減されたのです。それまで店長にとって一番重要な仕事が発注でしたが、現在は〝商品の品出しをして、それをいかに店舗に並べるか〞。これが一番重要な仕事に変わりました。

データ経営を進化させ、加盟店の労働負担を削減

閉店後5分で帰宅してもらうため

 自動発注を利用すると利用していない店舗に比べて、売上が2〜3%高くなることが分かっています。しかし自動発注を導入したのは、売上を伸ばすことが目的ではなく、オーナーに早く帰ってもらうためです。真面目なオーナーは忙しい時間帯を避けて、20時の閉店後に発注を行っていました。すると家に帰るのが22時を超えてしまい、ご飯が冷たくなり、小さいお子さんは寝てしまっています。それは本部にとって非常にまずいこと。
 私たちは20時に閉店したら、20時5分には家に帰ってほしいのです。そうすることで家族みんなで食事がしやすくなりますし、少なくともお子さんが起きている時間に帰ることができます。オーナーの時間を増やすために、自動発注を取り入れているのです。
 しかし加盟店のためにやっていることなので、加盟店が自動発注を使いたくないと言えば、特に無理強いはしません。店長の中には自分の物は自分で発注したいというこだわりを持っている方がいますし、この発注業務こそが生きがいだという方もいます。その生きがいを奪ってはいけません。使った方が売上は伸びると思いますが、売上よりもオーナーのやりがいの方が重要ですから、それはそれで良いのです。
 店舗をショッピングセンターへ出店しないのかという声をいただくこともありますが、FCに関しては出店を控えています。これもオーナーの年間休日が減ってしまうことが理由です。確かに集客力のあるショッピングセンターに出店すれば、それだけで売上は倍増するでしょう。
 しかし一方で休みが取りにくく、正月すら休めなくなってしまいます。そうするとその両親の姿を見たお子さんが継ぎたくないと思ってしまうため、あえて出店していません。本部にとって一番重要なことは、お子さんに継ぎたいと思わせる働き方を提供することなのです。

 

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