【連載 第11回】健全で強い本部の作り方

公開日:2024.02.14

最終更新日:2024.02.14

※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

フランチャイズオーガナイザー佐々木翔が直々レクチャー!【第11回】

株式会社フリグマ 代表取締役社長 フランチャイズオーガナイザー 佐々木 翔 社長(41)

 「フランチャイズオーガナイザー」としてFC本部構築のトータルサポートを行うフリグマの佐々木翔社長は、前職のFC本部で「3年間・100店舗」の出店を牽引した実践型コンサルタントだ。同氏が目指すのは優秀なFC本部の育成だが、その先には業界の健全化も見据えている。本連載では佐々木氏がこれまで培ってきた「時流に沿った本部構築方法や運営の在り方」を、実際の手順を踏みながら語っていただく。

 

 

 

 

ノンテリトリー制の意義

 本部構築の主な目的とは、加盟募集を開始する前に定めておかなければ後にトラブルに発展する内容を予め想定し、ルールを策定するなどの準備を行うことです。その目的に照らすと非常に重要になってくるのが、「加盟契約毎のテリトリーを設定するか否か」です。
 テリトリーを設定する場合、加盟店に対して本部が定めるルールのもと、独占的に営業する商圏を付与していきます。この場合、その商圏内では本部の直営店や他加盟店が出店する事ができないため、同ブランド内でシェア競争が起きないという点で加盟店視点では安心できる要素が大きいです。
 他方、ノンテリトリー制は先述のテリトリー制のような商圏保護の概念は皆無と考えられます。極論ですが、北海道の加盟店が沖縄県で営業活動することも問題ないのがノンテリトリー制です。性質や意図を捉えず、単純にテリトリー制とノンテリトリー制のルールだけを並べた際、ノンテリトリー制に対して否定的な意見が集まりがちです。背景としては、コンビニFCを筆頭とするノンテリトリー制によるドミナント戦略が、一部の加盟店の売上不振を招いた事例が多数あるためです。
 加盟店を苦しめてしまうルールはよくありません。一方で、本部構築の局面ではノンテリトリー制の意義を理解した上でいずれかの選択を行うべきだと考えます。

狙いは競争力と認知度の向上

 まずFC展開を行う本部としては、ブランド価値を向上させ、より多くのエンドユーザーに認知もらうという使命があります。それがチェーン全体への確かなバリューとなるからです。その観点で捉えたとき、実はノンテリトリー制のほうが効果的と言われています。なぜなら、ノンテリトリー制の場合、先述のとおり同ブランド内の競争力が活発化するため、自然と営業力と競争力の高い加盟店が輩出されていく可能性が高まるからです。そして、高い営業力と競争力を持ち合わせた加盟店が多いければ多いほど、同業他社に対する競争優位性として機能していき、結果的にエンドユーザーの認知度も向上していくという構図です。これがノンテリトリー制を採用する意義と言えるでしょう。
 テリトリー制の意義は次号で触れますが、いずれにせよ重要なポイントは、「本部は加盟募集開始前の段階でどちらのルールを採用するか判断する事」です。何となく加盟募集を開始し、加盟店が5店舗〜10店舗に増えたフェーズで初めて商圏について考えるというのは加盟店のためにも絶対に避けていただきたいです。
 加えて、本部がどういった方針のもとテリトリー制 or ノンテリトリー制を採用したのかを明文化し、本部の加盟開発担当者が加盟検討者への事業解説の場でそれらをしっかり伝える事が肝要です。方針を定めた本部の経営陣だけがテリトリー制 or ノンテリトリー制の理由や背景を理解していても、加盟開発担当者がそれらを加盟検討者に伝えなければ、トラブルに発展しかねませんので留意しましょう。

Profile ささき・しょう
 某FC本部に在籍し、SVやオーナーコンサルチーム責任者として加盟店継続率96%を実現。その後、コンサルティングファームを経て、2017年にリユースショップWAKABAのFC本部を立ち上げた。加盟開発/店舗開発/SV/融資/法務など、全てのFC本部機能をオーガナイズし、加盟募集開始から3年で100店舗、4年で150店舗展開を達成。2021年に株式会社フリグマを設立し、3年で100店舗達成をコミットするFCオーガナイズサービスを世の中に提供するべく活動している。

加盟募集開始から3年で100店舗を実現した確かな実績とノウハウでFC本部をサポート。

株式会社フリグマ
https://flegma.jp/

FCオーガナイザーのブログ
https://www.shosasakifranchisor.com/

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