【連載 第20回】知識ゼロでも今からできる! 世界一わかりやすいフランチャイズ加盟入門

　東京大学を卒業後、日本と外資の金融機関でキャリアを形成してきた古川暁氏は2015年に独立。選んだ起業方法はフランチャイズだった。まったく知識のない状態からスタートした古川氏だが、現在では４つのフランチャイズに加盟し、6店舗を運営している。
　同連載では、そんな古川氏が体当たりで経験してきた情報をまとめた著書「フランチャイズ投資入門」（秀和システム）から、フランチャイズ加盟に関わるイロハを伝授してもらう。
　今回は、マッサージFC経営での失敗談について、経営者Bさんに伺った。

先輩たちに学ぶフランチャイズ投資（その2）～マッサージFCで失敗したBさんに聞く「閉業した理由」～

人間の永遠の悩みに着目

古川：マッサージ業態を選んだ理由を教えてください。
B：人間の悩みは、健康かお金か人間関係の事が大半だと思っていて。その中で健康をテーマにした方が真っ当なビジネス感があると思い、医療的な側面にスポットを当てたマッサージFCに加盟しました。健康寿命を伸ばすのは国策ですし、高齢化社会で市場としても悪くなさそうだと思ったからです。
古川：似た業態のFCもある中で、その本部に決めた理由は？
B：結局は制度ビジネスなので、どこでやってもある意味内容は一緒です。もちろんサポートメニューや料金など細かな違いはありますが、何が決め手になるかというと、人間的な相性だと思っています。

ビジネスモデルの誤算

古川：実際に加盟して事業をスタートしてから閉業するまでの間、「こんなはずじゃなかった」という誤算はありましたか？
B：大きく3つあります。1つは業界分析が間違っていたということです。私が加盟したFCは高齢者向けのマッサージ業態で、ストック型だと言われていました。
古川：契約した高齢者のところに行って、定期的にマッサージをするというビジネスですよね。
B：はい。基本的に高齢者の方は引っ越すこともないし、施術者との相性が悪くなければ継続してくれるので、ストックとして積み重なっていくはずでした。しかし、高齢者の方なので入院されたり、残念ながらお亡くなりになられたりなど、様々な問題が起こりました。
古川：ストック型ビジネスである点が勝ち筋だったのに、案外ストックされないというのは痛手ですね。

期待はずれだった本部のノウハウ

B：2つ目は、本部にノウハウがないことでした。加盟した本部はそのビジネスの経験値が高く、そのノウハウを活かしてFCを運営しているという触れ込みでした。しかし、加盟店と本部の繋ぎ役となるSVが新人で経験値が浅かったため、ノウハウが共有されていなかったのです。
古川：ナレッジ化されていなかったのですね。
B：はい。年に数回、本部によるノウハウの講習会もありましたが、その内容も1店舗で成功した事例をセオリーとして話しているだけなんだろうなという感じでした。

クビにしづらいスタッフの問題

B：3つ目は、スタッフ間のトラブルです。私の運営していたマッサージ店は、最低1人は国家資格者が必要だったのですが、その資格を持つ人と他のスタッフの間で金銭トラブルが発生したのです。
古川：あくまで当事者間の問題なので、他人が介入しづらいですよね。
B：その資格を持つスタッフをクビにすると事業を続けられない。新しい人を雇うにも、国家資格者なので募集をかけてもすぐには見つかりません。同様の業態でFCをやる方は、こういった点に気を付けてください。

Profile Bさん
大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加後独立。一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、インタビュー記事寄稿・コラム執筆、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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Profile 古川 暁 開成高校・東京大学を卒業後、住友信託銀行、ロイヤルバンクオブスコットランド、BNPパリバにて金融マンとしてキャリアを積む。銀行員時代の2014年に仲間達とFC業界を投資という観点から研究し、準備期間を経て独立。4つのFCに加盟、6店舗運営中。FC加盟候補者として多くのFC本部と出会い、実際にFCオーナーとして会社を運営している経験を投資家、将来の起業志望者につなげる意思を持つ。フランチャイズ加盟者の為のビジネス研究会主宰。