【連載 第35回】アメリカに学ぶフランチャイズ事情
公開日:2024.01.15
最終更新日:2024.01.15
※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
北米進出候補地として注目を浴びるカナダ市場
北米市場への進出候補地としてよく検討されるのが西海岸のロスやサンフランシスコ、テキサス州のヒューストン、東海岸のニューヨークです。しかし、近年はカナダの2大都市であるバンクーバーとトロントも注目を浴びています。私は2003年に100円ショップの「ダイソー」北米第1号店の進出に関わったのを皮切りに、焼肉の「牛角」やとんかつの「新宿サボテン」、シュークリームの「ビアードパパ」、そのほか多数のラーメンチェーンのカナダ進出に携わってきました。2001年以降は毎年3回ほどバンクーバーやトロントを行き来しており、カナダ出張は60回以上に上ります。その間、バンクーバーやトロントは目覚ましい躍進を遂げ、世界を代表する都市に成長しました。まずは、両都市の概要を説明します。
バンクーバー
カナダ西部British Columbia州に位置するカナダ第3の都市。都会でありながら、自然が豊かな美しい街として知られている。北海道より北に位置し、一年を通じ雪が降ることもあるがそれほど寒くない。こうした理由から、観光客だけでなく市民にも愛され、カナダで最も住みたい都市として定評がある。
トロント
カナダの東部に位置する Ontario州の中心にあり、カナダ最大ひいては北米3位の面積を持つ広大な都市。人口は約350万人で、Greater Tronto Areaを含むと約600万人が在住している。カナダ経済の中心で、トロント証券取引所は世界第6位の規模を誇る。
カナダで日本食人気の高まり
近年は、バンクーバーとトロントで日本食人気が急激に高まっています。その理由は次のとおりです。
・両都市でアジアからの移民が年々増加。来年は移民法の緩和により年間50万人がカナダに帰化するとされている。これら移民はすでに和食が浸透している香港や上海、北京や台湾からカナダに帰化する中国人である。
・カナダはオーストラリア同様にワーキングホリデーの制度があり、労働ビザが取得しやすい。ワーキングホリデーの渡航先で最も多いバンクーバーは、トロントよりも温暖で、日本から直行便で8時間足らずで行けることも人気となっている。また、学生はワーキングホリデービザを使って、カナダの和食店で働きながら英語留学ができる理想的な環境が揃っている。
カナダはアメリカ進出への足掛かり
今後の海外進出で一番ハードルが高いとされるのは、人の雇用です。米国は学生が働けるようなワーキングホリデービザは発行していないため、気軽に働ける状況ではありません。米国の雇用は、現地に住んでいる日系アメリカ人やビザを取得しているラテンアメリカ人で、それ以外の人が働ける道は限られています。そのため、日系のワーキングスタッフはカナダをアメリカ移住への足掛かりとして考えているのです。
カナダでは和食の中でもラーメンの人気が高く、バンクーバーのメイン通りであるRobson Streetはラーメン店が密集するラーメン通りとしても知られています。今後、カナダでラーメンと並行して伸びるのは、焼肉や回転寿司を含むすし業態、とんかつで、そのほか日本のスイーツなども期待されています。今後、世界最大の市場である米国に進出する準備段階として、カナダ進出を検討するのも一つの手でしょう。
Profile藤田一郎
上智大学国際学部および南カリフォルニア大学国際学部出身。1980年にI. Fujita International, Inc.を設立。1986年から米国フランチャイズ案件の日本導入事業に着手。2000年以降から日本フランチャイズ案件の米国導入事業及び加盟店開発を行う。米国のアントプレナー誌からExcellent Entrepreneur Awardも受賞。最も米国フランチャイズ事情に精通している人物として認められ、近年は、フランチャイズのグローバル化に貢献し、多方面で講演を実施。日本フランチャイズ及び小売企業の北米進出サポートやコンサルテイングを行っている。
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