【連載 第32回】アメリカに学ぶフランチャイズ事情

米国ホームベースフランチャイズビジネスの実情

　ホームベースフランチャイズとは主に、自宅で運営するFCの事を意味します。つまり、店舗や事務所を必要としないビジネスです。たとえば、在宅派遣介護やリフォームサービス、教育や研修、トレーニングビジネス。そのほか、コンサルビジネスや投資販売FC、リテールビジネス、飲食デリバリーサービスが該当します。最も簡素なホームベースフランチャイズは、清掃業やペットケア、フィットネスやDIY、パーソナルウエルネスになるでしょう。
　ホームベースフランチャイズは、加盟金が従来のFCより安く、2万ドル〜2万5000ドルで、投資額も、6万5000〜15万ドルが通常です。賃料や人件費が高騰する中で、今改めてホームベースフランチャイズが注目されています。

アメリカで人気のホームベースFC

ChemDry （ケミドライ）
　特許取得の特別なクリーニングと衛生技術を応用した清掃業。自宅営業で登録済クリーナーを依頼先の家庭に派遣する。本部は長年、加盟店の研修や資金調達をサポートしており、知名度も抜群である事から人気が高い。

Molly Maid （モーリーメイド）
　ChemDry同様、長年の実績と知名度を誇る自宅専門の清掃業。ハウスクリーニングスタッフを募集し、登録を行う。スタッフにトレーニングを施した後、依頼先の家庭に派遣する。加盟金はわずか1万4900ドルで、投資額は11万ドル。

The Junkluggers（ジャンクラガーズ）
　自宅や事務所のゴミ処理専門サービス。自宅営業でゴミ処理スタッフを雇用する。加盟金は5万ドルで、投資額は10万ドル前後。

Fetch! Pet Care（フェッチペットケア）
　自宅で運営するペットのデイケアーセンター。飼い主に代わって、ペットの散歩などを行う。本部は集客とペットのケア、スタッフの登録、スケジューリングを実施する。加盟金は5万9000ドルで、投資額は6万5000ドル。

Green Home Solutions（グリーンホームソリューションズ）
　住宅の消毒や空気清浄によって、カビの修復や臭気除去、ペットアレルゲンの抑制を行う事業。エコ志向の高まりから、この分野の需要が高まっている。本部は主に、加盟店の経営管理とフィールドサポートを行う。加盟金は5000〜2万ドルで、投資額は5〜10万ドルと低め。

ACASA Senior Care（アカーサシニアケア）
　 在宅介護サービス。各加盟店は一定のテリトリーが提供され、テリトリー内の高齢者に料理や散歩など、簡単でライセンスを必要としない医療アシストを行う。加盟金は3万9500ドルで、投資額は7万ドル前後。

Snap-On Tools （スナップオン・ツールズ）
　自宅で必要なハードツールや機材をトラックで運搬・販売するFC。アメリカでは、自宅のリフォームから車の修理に至るまで自力で行うことが多く、安定したビジネスと言える。加盟金は3万5000〜5万ドルで、投資額は15〜25万ドル。

GymGuyz （ジムガイズ）
　パーソナルトレーナー派遣型のフィットネスサービス。プログラムを提供する顧客を集め、本部の指導に沿ってスケジューリングする。加盟金は3万5000ドルで、投資額は8万ドル前後。通常のフィットネスジムを開業するより、はるかに低コストとなっている。

まとめ
　個人投資家が米国の大型フランチャイズに加盟するのは難しいでしょう。しかし、今後、日本にホームベースフランチャイズが導入されれば、瞬く間に支持されると確信しております。

Profile藤田一郎
　上智大学国際学部および南カリフォルニア大学国際学部出身。1980年にI. Fujita International, Inc.を設立。1986年から米国フランチャイズ案件の日本導入事業に着手。2000年以降から日本フランチャイズ案件の米国導入事業及び加盟店開発を行う。米国のアントプレナー誌からExcellent Entrepreneur Awardも受賞。最も米国フランチャイズ事情に精通している人物として認められ、近年は、フランチャイズのグローバル化に貢献し、多方面で講演を実施。日本フランチャイズ及び小売企業の北米進出サポートやコンサルテイングを行っている。