【連載 第29回】アメリカに学ぶフランチャイズ事情

米国の新規フランチャイズで日本進出が期待されている飲食ブランド

　近頃米国でファーストフードブランドの進出が見られなかったが、年末から来春にかけてその動きが活発になりそうだ。その中で、気になる4つのブランドをここで紹介したいと思う。カテゴリーは、バーガーやフライドチキン、サンドイッチだ。

HABIT BURGER

　米国市場にバーガーブランドの新スターが誕生しつつある。そのブランド名はHabit Burger（ハビットバーガー）だ。名前の由来は「ついつい癖になってしまうほど、美味しいバーガー」である。 同店は1969年にカリフォルニア州で開業し、直営店を13州に拡大した。ここ10年間では、1店舗の売上の伸び率が40％を示している。その成長を踏まえて、KFCやTaco Bell、Pizza Hutなどの知名度の高いブランドを所有する米国最大の飲食グループYum Brandsが、3億7500万ドルで同店を2020年に買収した。
　abit Burgerは、南カリフォルニアのアーバイン市に本部を構え、2014年にはナスダックで上場も果たしている。
　同店はオープンキッチンや屋外パティオ、磨き上げられた石や広葉樹など、アクセントのあるインテリアや自然光をとり入れた造りで知られている。これにより、ランチとディナーでバランスの取れた集客が実現している。
　過去数年間でオンライン注文やモバイルアプリ、キオスクやドライブスルーも導入。新鮮な食材を使った炭火焼き調理が特徴で、オーダーメイドのハンバーガーやステーキ、サンドイッチやサラダを提供している。

POPEYES LOUISIANA KITCHEN

　日本で人気のあるフライドチキンといえば、Kentucky　Fried Chicken（KFC）だ。日本に上陸してから50年にもなり、すっかり浸透した米国の飲食ブランドといえよう。しかし、米国ではKFCの人気に負けないブランドがある。
　Popeyes Louisiana Kitchen（ポパイズ・ルイジアナ・キッチン）だ。同店は、世界有数のフライドチキンブランドとして急成長しており、約30か国で3500店舗、総額US50億ドルまで売り上げを伸ばしている。
　同店はクールな次世代チキンブランドとして、世界が認めるセレブなどのインスタグラムに数多く取り上げられ、QSRチキンカテゴリーで幅広く愛されている。

FIREHOUSE SANDWICH

　できたてのパンにフレッシュな野菜、チキンやサラミ、ハム等をカスタマイズできるとして日本で人気を上げたのがSubwayだ。日本では、数百店舗まで拡大しており、世界一の店舗数を誇るフランチャイズ会社として知られている。米国本土で、Subwayに対抗してより質の高いプレミアムサンドイッチを展開しているのが、Firehouse Subsである。名前の通り、消防団員として働いていた兄弟がスタートしたビジネスだが、米国では既に1200店舗の巨大チェーンに成長している。昨年、バーガーキングやポパイズ・ルイジアナ・キッチンなどを所有する北米最大の飲食グループであるRBI（Restaurant Brands International）に買収された。今後はグローバルチェーンとしての成長を目指しており、日本も大きな市場の一つとしてターゲットしているようだ。
　2022年から2023年にかけて久々に、日本に数多くのブランドが導入される予定だが、特に上記に上げたブランドから目を離せない。導入が楽しみである。

Profile藤田一郎
　上智大学国際学部および南カリフォルニア大学国際学部出身。1980年にI. Fujita International, Inc.を設立。1986年から米国フランチャイズ案件の日本導入事業に着手。2000年以降から日本フランチャイズ案件の米国導入事業及び加盟店開発を行う。米国のアントプレナー誌からExcellent Entrepreneur Awardも受賞。最も米国フランチャイズ事情に精通している人物として認められ、近年は、フランチャイズのグローバル化に貢献し、多方面で講演を実施。日本フランチャイズ及び小売企業の北米進出サポートやコンサルテイングを行っている。