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【フランチャイズ会議2024】店舗運営の要はZ世代!

公開日:2025.08.05

最終更新日:2025.08.05

※以下はビジネスチャンス2025年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

若いスタッフと信頼関係を築くためには

 昨年開催したビジネスチャンス主催のセミナーイベント「フランチャイズ会議20214」の中で、「店舗運営の要はZ世代!若いスタッフと信頼関係を築くためには」と題した公開取材を実施した。登壇者は、関東を中心に1都8県で「カレーハウスCoCo壱番屋」と「ラーメン大戦争」を店舗運営するスカイスクレイパーの諸沢莉乃氏だ。22歳という若さで社長に就任した諸沢氏に、会社経営で心がけているコミュニケーションの取り方について聞いた。(聞き手:本誌編集部チーフ根崎栞)

独自アプリによるコミュニケーション SNS感覚で他店の従業員と交流

─諸沢社長はメディアに引っ張りだこなのでご存知の方も多いと思いますが、改めて自己紹介をお願いします。
諸沢 スカイスクレイパーは「カレーハウスCoCo壱番屋(以下:ココ壱)」を25店舗、「ラーメン大戦争」を2店舗展開するフランチャイジー企業です。私は高校生の時にアルバイトとして当社のココ壱で働き始めました。ココ壱には、ココスペシャリストというスタッフの階級があります。その最高ランクである接客スターを獲得した際に現会長の西牧から次期社長の打診を受け、2024年5月1日に正式に社長に就任しました。
─社長に就任されてからは、どのようなお仕事をしていますか。
諸沢 今回のように会社の顔として仕事をさせていただくこともありますが、アルバイト時代と変わらずに店舗での接客も続けており、従業員と一緒に汗をかいています。また、経営会議に参加するほか、新卒採用に向けた職場見学と面接は全て私が担当しています。
─御社の特徴を教えてください。
諸沢 当社には「意志あるものにはチャンスを」という言葉があります。意志がある方には年齢や性別を問わずに挑戦してもらいたいと思っています。60代で店長を目指して修行している方や、学校に通いながら店長をしている高校生など、さまざまな従業員が働いています。
─Z世代も多数在籍していると思いますが、どのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか。
諸沢 当社で独自開発したコミュニケーションアプリがあるので、それを使用しています。トップページには、従業員が日替わりで投稿する「TODAYS VOICE」という項目があります。私が推薦したスタッフに投稿してもらうのですが、内容は人によってさまざまです。店舗で頑張っていることを書いてくれる人もいれば、学校のことを教えてくれる学生スタッフもいます。コメントなどのリアクションができるようになっているので、アプリを通して他店の従業員と仲良くなれます。若い子たちはSNSのような感覚で使ってくれています。
─そのほか、アプリではどのようなことができるのでしょうか。
諸沢 会長や私、常務や店長が各店舗を訪れた際の巡回レポートを閲覧できます。そこには各店舗の良かった点や指摘などを書いています。
 また、従業員には必ずシフトインした日に日報を書いてもらっています。その日に起こったことや、先ほど紹介した TODAYS VOICEを読んだ感想が主な内容です。受け取る人によって見方が全然違うので、私もそれを見て勉強させてもらっています。

行動指針を従業員全員で共有 積極性が高まる職場環境

独自アプリでは全従業員の日報や巡回レポートが閲覧できる

─ビジネスチャンスでは御社を過去に何度か取り上げていますが、取材の中で印象的だったのは、従業員全員が各々でお店を良くしようと考え、行動されている点でした。どうしたら従業員の積極性が育まれるのでしょうか。
諸沢 私としては、トップに立っている会長の熱い思いが従業員まで伝染しているのをすごく感じます。当社では理念や想い、行動指針などが書かれているクレドを全店の朝礼で活用しています。毎日全員で行動指針を声に出すので、だんだん思いが強くなるのではないかと思います。また、会長が巡回レポートで書いてくれるアイデアを、全員で拾って行動に移していくこともよくあります。
─アルバイト経験が長かったからこそ従業員の気持ちに寄り添えると思うのですが、諸沢社長がアルバイト時代に働いていて嬉しかったことは何ですか。
諸沢 当時社長だった現会長の西牧が店舗のピークタイムに、一緒に洗い物をしてくれたことです。すごく綺麗な服を着ていたのに、腕まくりをして洗い場に入ってくれました。汚れることを厭わず、「僕にはこれぐらいしかできないから」と言って手伝ってくれたことが、アルバイトの私には非常に嬉しい出来事でした。そのため、私も社長になった時、西牧にしてもらったことをしようと思いました。
 ほかにも嬉しかったことは数え切れないほどあります。先ほどのアプリでスタッフがコメントしてくれたことも嬉しかったことの1つです。また、失敗にフォーカスするよりもどうしたら次から上手くできるかと前向きに考えてくれる先輩が多かったので、私も同じ考えで声をかけるようにしています。
─お手本にしたくなる社長や先輩方がいる環境は、積極性や成長意欲がとても高まりそうですね。
諸沢 店長が休みの日に店舗の責任者を務める店長代行という資格があります。入社した時に、憧れの先輩が店長代行の資格を持っていたので私もすぐに取りたいと思って追いかけていました。その願いが叶い、私は高校生の時から店長代行をしていました。責任者として前に出るのでお客様からお叱りを受けることもありましたが、高校生でも責任のある仕事を任せてくれる環境が嬉しかったです。
─御社には、モチベーションアップに繋がる制度やシステムが多数用意されているのですね。諸沢社長が店舗で働く際に意識していることを教えてください。
諸沢 接客業なのでお客様を観察するのはもちろんですが、一緒に働く仲間のことも同じくらい観察して声をかけるようにしています。働いている側の雰囲気はお客様にも伝わります。そのため、私は従業員の声のトーンや顔色、髪の毛を切ったとか何でも良いので、変化に気づいて声をかけることを毎回意識しています。これは私が入社した時に、年上の大学生アルバイトの女性が同じように声をかけてくれたことが大きく影響しています。店長や社長という立場があるからというよりは、当社の文化になっている気がします。
─社長としての今後のビジョンや目標はありますか。
諸沢 今はやはり現場を一番大切にする社長として、店舗に入り続けて従業員と一緒に汗をかきたいという思いが大きいです。会長としてサポートをしてくれている西牧が引退した後は、私が1人代表になるため今よりも代表としての業務が増えると思います。しかしそれでも、絶対に現場に入り続けて、全従業員とシフトインして一緒に働くのが私の目標です。

スカイスクレイパー
諸沢 莉乃社長
2001年12月18日生まれ。高校1年生でアルバイトとして勤務開始、2021年ココイチの接客スペシャリスト資格ココスペ『スター』」を全国最年少16人目として獲得。そのお祝いの席で「次期社長に」と抜擢される。2024年5月、代表取締役社長に就任。「あなたが社長で良かった」と言われる存在を目指している。

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