多業態展開がコロナ禍のリスクヘッジに/焼肉坂井ホールディングス

更新日:9月9日

「日常食」を強化し「焼肉」以外の柱を構築



「焼肉屋さかい」「肉匠坂井」の焼肉ブランドはじめ、「村さ来」などの居酒屋、寿司といった多業態にわたり、60ものブランドを展開する焼肉坂井ホールディングス(愛知県名古屋市)。コロナ禍による受けた打撃は依然として大きいものの、焼肉ブランドが堅調な売上を維持し、2023年3月期は連結で売上高236億2800万円を見込んでいる。同社の阿久津 貴史社長は「焼肉事業が好調なうちに、日常食といわれるブランドを第2、第3の柱にする」と今後の成長戦略を描いている。


焼肉坂井ホールディングス

愛知県名古屋市

阿久津 貴史社長(51)

阿久津 貴史社長(51)
PROFILEあくつ・たかふみ 1971年2月生まれ、立教大学卒業。暖中カンパニー取締役FC営業部長を経て、ダイニング企画社長に就任。2018年4月、ジー・テイスト(現焼肉坂井ホールディングス)社長に就任。


23年3月期売上は前期比約30%増

客足ほぼ戻るも第7波が懸念材料



――御社は焼肉、ファストフード、寿司、居酒屋と大きく4つの業態を展開していますが、コロナ禍でのそれぞれの状況は。

阿久津 この2023年3月期第1四半期は、全体的に想像していたよりも早く売上が戻ってきた印象です。焼肉業態はコロナ前の水準に完全に戻っています。郊外居酒屋は依然として厳しい状況ですが、都心の海鮮居酒屋ブランドは、コロナ前の90%くらいまで戻っています。コロナの最中、食事需要を見て、寿司メニューを強化したのですが、それが上手く当たったようです。寿司、ファストフード業態もそれぞれ80、90%くらいまで戻ってきました。


――コロナの状況が不透明ながら、今期の売上高は、前期比29・1%増の236億2800万円を見込んでいます。

阿久津 山場を乗り越えられた要因は、苦労しながらも様々な業態をやってきたことでしょう。焼肉もあれば、寿司もあり、居酒屋もある。そして都心型もあれば地方型もある。これがリスクヘッジになっていたと感じます。ただこの7月までは順調に戻ってきていたのですが、ここにきてまたコロナ第7波があり、まだまだ楽観視はできない状況ですね。


――こうした中で今期の売上見込みを達成する施策は。

阿久津 なんだかんだ言っても主軸の焼肉が順調なので、まずはこの焼肉業態をしっかりとやり切ること、これが一番重要だと思っています。6年前に始めた食べ放題の「肉匠坂井」がそれなりの評価をいただいているので、このメインの柱を守れば予算は達成することができるでしょう。


――DX化によるオペレーションの効率化も進めています。


阿久津 消費者ニーズの変化に対応していくため、様々な施策を打っています。昨年11月には、「肉匠坂井枚方店」で商品提供に特急レーンを導入したほか、「肉匠坂井」既存店4店舗で配膳ロボットを試験導入しています。これらは感染拡大防止だけでなく、エンターテイメント性による顧客満足向上、人手不足対策にも期待しています。




「壁の穴」は百貨店等高級路線に

「アンニョン」はフードコートへ出店




――御社は昨年、ジー・テイストから社名変更しました。文字通り焼肉業態をメインでいくことを宣言しています。

阿久津 もちろん今後も主軸を焼肉業態に置いていきますが、同時に定食、うどんなど日常的に食べる、いわゆる日常食を徹底して強化していく方針です。日常食が第2、第3の柱になるブランドを作り上げることが今年のテーマになるでしょう。


――具体的に力を入れていくブランドは。

阿久津 手ごたえを感じているのがスパゲッティ専門店の「壁の穴」と石焼ビビンバの「アンニョン」です。「壁の穴」は3、4年程前にグループ傘下に入ったブランドです。当初はあまり調子が良くなかったのですが、メニューを刷新して研修をやり直した結果、現在はここ数年で過去最高売上を出しています。昔流行ったブランドなのですが、60代くらいの人が懐かしがって、喜んで来てくれていますね。ここ数年は百貨店に出店をしていて、客単価が高く、利益率が高い。


――そもそもブランド力があるので、柱に成り得るポテンシャルがある。

阿久津 もう一つの「アンニョン」は、石焼ビビンバのブーム時に100店舗を超えた業態です。ブームが去った後、名前だけ承継して3店舗だけずっと残して塩漬けにしている状態でした。どうしたら展開できるか研究していたのですが、コロナ中にフードコートにピッタリとハマるモデルに作り込みができ、今店舗が続々と増えています。


――初期投資を抑えられれば、容易に出店が可能になる。

阿久津 居抜きが前提で、デザインは一新しますが、中のレイアウトは一切変えません。ビビンバコンロを持ち込むだけの簡単な設備で、最安値300万円程度の投資で出店をすることができました。これは今後うちの戦略業態になっていくと思います。現在7店舗になり、今後3店舗の出店が決まっており、すぐに20店舗くらいにはなると思います。


――「アンニョン」はFCでも展開していく考えですか。

阿久津 現在は直営店のみで展開していますが、FCでの展開ももちろん考えています。その場合でも低コストで出店ができると思います。どのブランドもFC展開はもちろん考えていますが、今は直営にしろ、FCにしろ、無理に店舗を増加させる時期ではないと思っています。今は何よりも既存店の地盤を固めていくこと。お客さまに満足いただいて利益を出すことが一番重要だと考えています。




既存店舗の収益性高め

中期計画ではブランド再編成進める



――現在は中長期戦略の中で地ならしをしている最中といいます。実際、事業の再編を進めている。

阿久津 目に見えてわからないかもしれませんが、実際すごい勢いで再編を行っています。コロナ禍では、業態転換も含めて多くの直営店を閉めています。当社の方針は明確で、当面は焼肉を核にしっかりと利益を出せるブランドに集中していく。ただ、単一食材に頼ってしまう業態はどうしても原材料の影響を受けやすい。それに比べて、調理性の高いものは付加価値を乗せられるので、原材料の吸収がしやすい。そのため、主軸の焼肉が安定しているうちに、「日常食」を強化していこうという訳です。


――同じ業態でずっと上手くいくことは難しい。

阿久津 投資回収が確実にでき、いかに利益率の高い業態を作っていくかが、今後の勝負の分かれ道になっていくと考えています。

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