単店経営オーナーが99%

夫婦加盟で“家業”に発展し、継承率は50%/「ワークマン/ワークマンプラス」


ワークマン

(東京都台東区)

八田 博史氏(52)


作業服・高機能アパレルFC大手のワークマンは、1980年に1号店をオープン。3号店目からFC事業を開始し、2021年9月末時点で全国に924店(直営43店、FC871店)を展開するまでになった。そんな同社のFC店舗内訳は、2店舗を経営する4オーナー以外の877店がオーナーで構成されている。

(ビジネスチャンス12月号巻頭特集より)


八田 博史氏(52)

Profile◉はった・ひろし

1969年生まれ。群馬県伊勢崎市出身。1990年に株式会社ワークマンに入社。販売促進や加盟店教育、バイヤーや営業企画など様々な部署で経験を積む。その後販売促進部長、商品第一部長、SV部北海道東北エリア部長を経て、2016年から現職。また加盟店開発責任者として店舗のフランチャイズ化及び、加盟制度改革を担当する傍ら、「#ワークマン女子」のプロジェクトに参加し、新業態のフランチャイズ展開も推進中。

―ワークマンの加盟条件を見てみると、①25歳以上50歳未満の夫婦②個人契約のみ③副業・兼業禁止④店舗近くに居住または地元の人⑤ワークマンプラスは通勤30分圏内、といったかなり独特な内容となっています。これを見る限り、地域密着を謳われている形ですね。

八田 作業服のお店ですから、気軽に来店していただき、店長とのコミュニケ―ションの中で商品を選んでいただくビジネスモデルが基本です。1店舗経営であれば、お客様対応など本来すべきことに集中でき、自ずと店舗ごとの質が向上します。実は以前、充分な人員体制での店舗運営を条件に複数店経営を認めていた時期もあります。ただオペレーションが疎かになる店舗が出てきてしまい、このままではいずれお客様に迷惑をかける状況になる恐れがあるとして、10年前から単店経営に絞りました。


そもそも、FC事業を始めたのは ベイシアグループの社員がいずれ独立するときの受け皿になろうという発想からで、初期から基本的に単店思考でした。いたずらに店舗を増やすと自社競合に繋がりますし、10万人に1店舗という商圏設定がある中で、出店のペースは本部が握っていきたいのです。当社のフランチャイ ズは副業・兼業が禁止となっています。そのため、現状では多角化経営をされているメガフランチャイジーさんの加盟も認めていません。


―法人でなくとも、家族で複数店舗 を持ちたい方もいらっしゃるのでは ないでしょうか。

八田 息子さんを新たに加えて2号店目を出したいという方はいました。ですが当社では、息子さんは息子さんとしてフランチャイズの契約をしていただくようにしています。なぜなら、私たちは家業として1店舗を経営して欲しいと思っているからです。これは近年盛んに言われる事業承継の問題とも密接に関わってきます。実は当社のフランチャイズは次世代に継承するケースも多く、その比率50%に上ります。加盟店さんにとっては、もう家業になっているんですよね。もちろん継承には審査がありますが、最近も30代のご夫婦が、「将来子供にさせられるのだったら」と新規加盟をされました。1店舗でやるからこそ家業となり、お店の強みが生まれてくるのです。


―フランチャイズの契約更新率がほぼ100%ということは、そういうことだったんですね。ただ地方などでは、後継ぎが仕事に東京へ出て行き、承継が難しいケースもあるのではないでしょうか。

八田 ワークマンは69歳で定年を迎えるので、継承先がない場合は直営店という形で引き継ぎます。その際は、半年前からオーナー募集をかけて次のオーナーを探します。


―加盟に際しては、原則夫婦での加盟を条件にされています。独身で加盟希望される方への特例などありますか。

八田 店長候補社員制度があります。2年間契約社員として入社して教育を受けていただき、独立が認められると繁盛店への加盟が可能になる制度です。現在、独立を待っている方は 15名程度。先ほどの後継ぎ問題も含めて解決する仕組みにしています。


―フランチャイズに加盟をする場合は、同じ業種で検討される方や開業資金で考える方など、指標はまちまちです。ワークマンに加盟される方は他のブランドも検討される方が多 いのでしょうか。


▲若い女性にも注目される「ワークマンプラス」

八田 高機能×低価格ウェアの専門店である「ワークマンプラス」の業態が始まる以前は、コンビニなど他のFCチェーンと比較される方がいましたが、今は全くないですね。ワークマンだけを志望していただける理由は大きく2つあります。まずは加盟される方ご自身がワークマンユーザーであり、商品に惚れたパターン。最近はサラリーマンの方と休日キャンプやアウトドアブームの中で接点ができ、興味を持っていただくことが増えました。


そして2つ目が働き方の観点です。なぜ独立したいのかと質問すると「サラリーマンでは朝から晩まで働いて、子供の顔も見られず夜中に帰る生活だから」と。当社は定休日こそ多くないですが、毎日 7時から20時までの営業時間でほぼ定時に帰宅できる。ご夫婦での経営ですから、家族のコミュニケーションも取れます。いわゆるワークライフバランスのメリットを見出して、加盟される方が最近は多いです。


―個人では開業時の資金面に不安がある方もいらっしゃると思いますが。

八田 「ヤング加盟店支援制度」という、40歳未満の方を対象にした融資制度を昨年3月から設けています。これは保証金100万円を用意していただければ、それ以外の加盟金・開店手数料・研修費は1・75%の低金利でお貸しするというもの。つまり、100万円と釣銭準備金などの開店経費だけで加盟が可能になります。当社の加盟時の平均年齢は38歳で、資金不足の方も多い。ですから日本政策金融公庫へのご紹介もしますし、銀行融資なども含めた様々な手段の一つとして選んでいただいています。実際にこの制度を使った加盟は昨年だけで20件程ありました。我々としては背中を押せるようなものだと思っています。



▲個人開業の支援制度も導入


―現在ワークマンとしては924店舗を展開しており、ブランド別でいうと「ワークマン」が588店、「ワークマンプラス」が329店、「#ワークマン女子」が7店舗。業態も広がりを見せるとともに、昨年は宮崎県に初出店し、全国制覇を果たしました。今後の出店戦略は。


八田 FC展開については、ワールドプラスを軸にしていきたいと思っています。#ワークマン女子は既存のワークマンが立地するエリアに出店し、一般の方をこちらに集める狙いです。さらに12月には、「ワークマンPro」という新業態を東京都板橋区で始めます。こちらは従来のワークマンよりもさらにスタイリッシュなプロ向けウェアを中心とした店舗になります。


将来的には、ワークマンプロ、ワークマンプラス、#ワークマン女子の3ブランドで客層を広げることで、現在の商圏10万人の半分となる5万人商圏で出店を重ね、目標の2000店体制にしていければと考えています。

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