Top Interview テイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)


テイクアンドギヴ・ニーズ 岩瀬賢治 社長(51)

Profile いわせ・けんじ

1967年10月生まれ。愛知学院大学卒業後、名古屋観光ホテル入社。2002年、テイク

アンドギヴ・ニーズ入社。2007年、営業統括部長就任。以降、取締役ウェディング

事業本部営業統括部長、取締役運営統括本部長などの要職を経て、2015年6月に社

。長就任。現在は、アンドカンパニーとDressmoreの社長も務める



国内ウェディングの取扱数、売上において業界トップを走るテイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)。2017年に開始したホテル事業も好調で、年商は668億円(2019年3月期)に到達した。縮小の進むブライダル市場で、これからどのような事業展開を進めていくのか。


年率1.1%~1.5%で市場は縮小と分析


—— 市場規模1兆4000億円と言われる国内ブライダル産業ですが、近年は少子化や晩婚化などの影響などもあり、縮小傾向にあります。婚姻組数もピーク時と比べるとだいぶ減少していて、この4、5年でも65万組から59万組まで減りました。


岩瀬  結婚式の実施率も下がっていますし、今後も年率で1%から1.5%の割合で市場場は縮小していくと見ています。これだけだと、ブライダル産業は斜陽産業のように見えて

しまうかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。市場規模は確かに縮小していますが、海外リゾート婚や家族婚のように、結婚式そのものは多様化してきているのでまだまだビジネスチャンスはあると思います。新たな需要に対応しながらどうやって市場でのシェアを伸ばしていくか、今後の成長はこれにかかっていると思います。


—— 競争はこれからますます厳しくなっていきます。


岩瀬  最近は勝ち負けの差が今まで以上にはっきりしてきています。例えば「ゼクシィ」には、5年前まで約2500の結婚式場が掲載されていましたが、今では2000にまで

減少しています。市場の縮小率よりも高い2割近いペースでプレイヤーは減ってしまっているわけです。これは、裏を返せばそれだけ大手がシェアを伸ばしているということです。


——  御社の市場シェアは。


岩瀬 年間で行っている結婚式が2万組ほどですから、そこから計算すると2%ほどになると思います。最近、力を入れているホテルや宴会場などともうまく絡めながら、今後もシェアを伸ばしていきたいと思っています。


目指すは2027年、年商1000億円 

海外ウェディング事業を強化


——  2027年までに、国内ウェディング事業で500億円を含め、グループとして年商1000億円という長期目標を掲げておられます。他の事業も含め、これからどうやってッ業績を伸ばしていく計画なのでしょうか。


岩瀬  まず国内ウェディングですが、こちらについては既存施設の利益率の改善が不可欠だと考えています。我々は現在、国内で67ヶ所102の施設を運営していますが、中には古くなって利益率が低下してしまったものもあるので、まずはそれらを閉店し、全体の底上げを図っていきたいと思います。去年は2店舗閉めましたし、今年も1店舗の閉店を予定しています。


——  施設の利益率が低下する原因はどこにあるのでしょうか。


岩瀬  地域性ももちろんありますが、その地域の婚姻組数の減少や、競合の出店なども影響しますね。


——  今後は新たに施設を作ることは考えていないのでしょうか。


岩瀬 まったく考えていないわけではありませんが、今はそれよりも、利益は出ているけれども古かったり、デザインなどが今の時代に合わなくなってきているものをリニューアルしていく方を優先しています。施設ごとにリニューアルのタイミングは違うのですが、競合の出店状況や過去3年くらいの業績などを踏まえて判断しています。早いところは5年でリニューアルする場合もあります。建物自体が歴史的価値を持っているものであれば、投資効率も非常に高いですしね。


― リニューアル工事には、1施設あたりどのくらいの費用をかけるのでしょうか。


岩瀬 これも施設によってまちまちですが、チャペルのリニューアルだけで済む場合は5000万円程度、宴会場なども含めた大がかりな工事を行う場合は2億円かけることもあります。リニューアルだけで、年間25億円程度の費用をかけています。


― 地方では、経営破綻する結構式場が増えていますが、そうした施設をコンサルティングしたり、あるいはM&Aすることはないのでしょうか。


岩瀬 まずコンサルティングについては、すでにいくつかやってきた実績があり、今も東京会館のお手伝いしてています。他にレストランのウェディングもいくつかやっています。いずれも売り上げについてはかなり寄与できていると思います。

M&Aについては、以前からお話はよく頂くのですが、今のところ具体的な予定はありません。なるべくしてなったわけですから、そもそも我々にとって魅力的な案件はほとんどありませんしね。それよりも行政が持っている公的資産をリノベーションして運営する方が、ずっと少ない投資でできるので興味があります。


― 2017年5月に開業したブティックホテル「トランクホテル」は、結婚式もできる大規模な会場を併設するなど、ウェディング事業とのシナジー効果も高いように思います。


岩瀬 もちろん、そこの部分も視野に入れています。ただし、ホテルで行う結婚式についてはあくまでもホテル事業の売上としてカウントするので、先程のウェディング500億円という数字には含まれていません。ホテル事業はいずれは300億から400億円規模の売り上げまでもっていきたいと考えています。


外国人1万組の取り扱いを目指す


― 海外事業は現在、25店舗で111億円の売り上げがあります。こちらは今後、大きく伸ばしていく計画のようですね。地域的にはどのあたりを強化していくのでしょうか。


岩瀬 いずれは50店舗まで増やそうと思っています。今までは日本人のお客様を主なターゲットとしてきたため、需要の多いハワイやグアム、バリ、国内では沖縄などに力を入れてきましたが、今後は香港や台湾、中国など、アジアの方々も視野に入れた展開を進めていきます。直近では、中国の方が年間で250万人も訪れているタイのぷーケットに、新しいチャペルを3つオープンさせました。現状では、外国の方の利用はグループ全体で1000組ほどしかありませんが、いずれは海外リゾートウェディングの領域を2万5000組まで拡大させ、そのうち1万組を、アジアを中心とした海外の方で占めるようにしたいと考えています。


― 海外の方を呼び込むための営業施策には、どのようなものがあるのでしょうか。


岩瀬 基本的な考え方は、日本でJTBやHISが一般のユーザーの窓口になっているのと同じように、現地の大手旅行代理店などにBtoBの営業をかけて、そこを通じて我々の施設をご案内して頂きます。


― ウェディング事業は、海外と国内で違いはあるのでしょうか。


岩瀬 同じようでいて実は全く違うビジネスです。例えるなら不動産業のようなもので、どれだけ良い立地で魅力のある場所にチャペルを作れるかで、ほとんどが決まってしまいます。これは日本人の方にも言えることなのですが、国内で結婚式を挙げる場合は式場の下見もすれば、担当する方の接客を受けたり、出す料理を味見したりしますよね。でもハワイで式を挙げる人は、わざわざ現地まで下見に行くことはほとんどありません。何も見ずに決めるからこそ、例えばホテルの敷地内やガーデンにあるチャペルが選ばれます。


― 単価は110万円程度と、国内と比べるとずいぶんと低い印象を受けます。


岩瀬 日本と違い、少ない人数でやるので一般的ですから。それでも一施設の回転数が多いため、利益はきちんと出ます。挙式自体は30分くらいで終わりますから、非常に効率は良いですよね。


― ウェディングの多様化は今後も進んでいくと思いますか。


岩瀬 もちろんです。最近だと例えば街の公園にケータリングなどを呼んで行う結婚式が増えています。結婚式はするけれども安価に終わらせたいという考えをもった方々がいる以上、これからも多様化は進んでいくでしょう。


― ブライダルビジネスでは、結婚前、結婚後のフォローアップを含め、生涯顧客をどのように作っていくかが大きな課題となっています。


岩瀬 その部分については、他社よりも力を入れて取り組んでいます。そもそも結婚式場は、顧客を獲得するのに多大なコストがかかるビジネスです。広告宣伝をたくさん打って、接客をして、それで実際にお客様になるのはそのうち4割とか5割くらいです。だからこそ、一度顧客になってくれた方々とは長くお付き合いしていく必要があります。ただ、今まではそうした方々に情報を伝える手段がありませんでした。そこで我々は1年をかけて、仕組みを作りました。今は13万人から14万人の方々にアプローチすることができるようになりました。


― 結婚記念日は子供が生まれた日など、節目に色々な案内を送ることができるわけですね。


岩瀬 もちろんそれもできます。ただ、それだけで大きな売り上げになるのかというとそうではありません。我々が今進めているのは、この仕組みをBtoBの営業に活かすことです。引っ越し業社や化粧品メーカー、住宅メーカーなど、我々のもつデータベースに興味のありそうな企業とのタイアップを増やしていければと思っています。

 また、今後はこの仕組みを他の結婚式場に販売していくことも視野に入れています。先程も申し上げたように、結婚式場はこの5年で2500から2000にまで減っています。競合が減っていくことは、我々にとってプラスになりますが、小さくなり過ぎると今度はこの業界そのものがシュリンクしてしまうことになりかねません。そうした事態を避けるためには、我々のような大手が率先して、他の式場のお手伝いしていかなければなりません。どこの式場もやりたいと思っている生涯顧客を作るための仕組みを、販売していくわけです。









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