【前編】鯖料理の専門店「SABAR」が300店舗を展開する大手外食グループとタッグ


鯖や 右田孝宣社長(47)

コズミックダイナー 平松明洋社長(39)



鯖料理の専門店「SABAR」が300店舗を展開する大手外食グループとタッグメディアで取り上げられるや否や、瞬く間に人気店となり、店舗数を増やした鯖料理の専門店「SABAR(サバー)」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で直営店の一部を閉店するなど、この2年は苦しい時期が続いたが、ここにきて新たなパートナーとともにFC募集を再開させた。「SABAR」の生みの親である鯖や(大阪府豊中市)の右田孝宣社長と、今後、実店舗の運営を取り仕切り、FCの加盟募集の窓口となるコズミックダイナー(大阪市北区)の平松明洋社長に、新たな事業戦略などについて話を聞いた。


右田孝宣社長(47)    平松明洋社長(39)

写真左:Profile◉みぎた・たかのぶ1974年生まれ。大阪府出身。オーストラリアで料理の修業をした後、帰国。2004年に居酒屋を開店。メニューの一つして提供していた鯖寿司が好評だったことから、鯖寿司の製造会社・鯖やを設立。2014年にオープンした鯖料理専門店「SABAR」を大ヒットさせ、現在に至る。


写真右:Profile◉ひらまつ・あきひろ1982年生まれ。飲食店勤務などを経て、2010年にコズミックホールディングスに入社。2017年、コズミックダイナー代表取締役に就任。

 

妻の一言がきっかけとなり鯖寿司の会社を設立


―鯖料理に特化した、他ではあまり見かけない珍しい業態「SABAR(サバー)」を展開されています。

右田 2014年に、大阪市内の福島区で最初の店舗をオープンしました。一番多いときで、フランチャイズも合わせて23店舗あったのですが、コロナ禍の影響で直営店は一部を残して閉めたため、現在は18店舗となっています。


―そもそもなぜ、足が早く、扱いにくそうなイメージがある鯖をメーンにした事業を行うことになったのでしょうか。

右田 きっかけは妻の一言でした。今から17年前、私は妻と2人で、豊中市内で焼き鳥や海鮮などを出す小さな居酒屋を営んでいました。最初は近所に住む顔見知りの方だけが来ていたのですが、あるときから全然知らない方も来るようになったため、不思議に思って「どちらからいらっしゃったのですか」と尋ねてみました。すると、少し離れた茨木市や高槻市からという返事が返ってきました。みなさん、お店で出していた鯖寿司が美味しいという評判を聞きつけて、わざわざ遠くからお越しになっていたんです。私達が知らないうちに、メニューの一つに過ぎなかった鯖寿司が口コミで広がって評判になっていたので、とても驚きましたね。それからというもの、鯖寿司目当てのお客様がどんどん増えて、テイクアウトも含めて、1日に20本から30本売れるようになりました。当時は1日の売上が7万円くらいでしたが、鯖寿司はそのうちの3割を占めていました。それで妻から「美味しいと評判の鯖寿司でがんばってみたらどうか」と言われ、鯖寿司の会社を設立しました。


―鯖寿司はそれほど珍しい料理ではないと思いますが、なぜそれほど、右田社長が作った鯖寿司が評判になったのでしょうか。

右田 関西では、上に松前昆布や白糸昆布を乗せた京風の鯖寿司が一般的です。でも私は見た目も味もそれとはまったく違う、〝とろさば〞と呼ばれる非常に脂の乗った鯖を、お客様の目の前で炙って乗せたものを出していました。京風に慣れていた方には、それが新鮮だったと思います。


―鯖自体の魅力については、どう考えておられますか。

右田 例えば、京都には300年以上続く老舗の鯖の姿寿司専門店があるのですが、そこでは、1本の値段が5000円以上します。一方で大阪市内のスーパーで売られているものはたったの300円とか400円程度です。同じ鯖寿司なのに、ものすごい値段の差ですよね。鯖そのものを見ても、〝関さば〞は1匹で5000円くらいするのに、そうでないものは旬でもたった200円です。もちろん、細かく見ればいろいろ違いはあるのですが、それでも価値の付け方次第でこれだけ大きな差が出る。おまけに鯖は他の魚と違って夏と冬、年に2回、旬があるので、年間を通じて手に入れやすい。扱いにくい側面は確かにありますが、やり方次第で、ものすごい大きなビジネスになる、こんな魅力的なものは他にないと思います。


―一念発起して立ち上げた会社は、順風満帆とはいかなかったようですね。

右田 駅弁の販売店やスーパーなどに卸していたのですが、普通の米飯会社のようにいろいろなものを作らず、鯖寿司しか作っていなかったため生産効率が悪く、工場の稼働率もなかなか上がりませんでした。それなりに売れてはいたものの、正直、利益率が低く、ほとんど儲かりませんでした。分かってはいたのですが、鯖だけでどこまでやれるかチャレンジしたい気持ちが強くありましたし、理念に反してまでマグロやサーモンなどを扱いたくはありませんでした。でも結局、経営は立ち行かなり、会社は危機的な状況に陥ってしまいました。そんなとき友人から「どうせなら鯖料理専門のお店をやってみたら」と言われ、「SABAR」の出店を決意しました。



会社が危機的状況の中、クラウドファンディングで資金調達



―会社の経営がうまくいっていない中で、新たにお店を出すのは大変だったかと思います。資金調達はどうやって行ったのでしょうか。

右田 金融機関もお金を貸してくれませんでしたので、その点は相当悩みました。そんなとき、偶然テレビの番組で「ミュージックセキュリティーズ」という投資型クラウドファンディングの会社が取り上げられているのを目にしました。「これだ」と思って、すぐに問い合わせました。当時はまだ飲食店での成功事例がなかったものの、先方も私の想いに賛同してくれました。これがうまくいって、4カ月後には約1800万円の出資が集まり、どうにか1号店の出店にこぎつけることができました。その後も、3号店までクラウドファンディングを利用して資金調達を行いました。


―1号店はオープン当初からメディアでも頻繁に取り上げられ、大繁盛したそうですね。

右田 最初の店舗は、テレビ局の近くに出そうと決めていました。ブランディングのために、メディアの力を最大限に利用しようと考えたからです。それで在阪テレビ局の近くを探していたところ、たまたま福島区にあるABC(朝日放送)の前の物件に空きが出ました。今思えば、非常に運が良かったと思います。目の前に新しいお店ができれば誰だって気になるはずです。狙い通り、オープン日に朝の情報番組で取り上げられ、その日からずっと予約でいっぱいになりました。クラウドファンディングでお店を作ったこと、そして鯖料理の専門店であったことは、相当話題になりました。


大阪市福島区のABC前に出店した「SABAR」1号店

 

後編へ続く

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