グループで「業務スーパー」74店舗、「ヨシケイ」19拠点運営

「フレッシュランチ39」ブランドはFC本部として全国展開



オーシャンシステム(新潟県三条市)は、1963年に新潟県三条市で「ひぐち食品」の称号で弁当給食事業をスタート。1978年からはヨシケイの宅配事業にFC参加、2001年には業務スーパーのFCとして事業を拡大、2008年に東証ジャスダック(現東証スタンダード)上場を果たした。現在ではグループで業務スーパーを全国で74店舗、直営のスーパーマーケット「チャレンジャー」10店舗のほか、FC本部として弁当事業「フレッシュランチ39」を展開している。



オーシャンシステム

新潟県三条市

樋口勝人社長(46)


樋口勝人社長(46)

Profile◉ひぐち・まさと1976年4月22日生まれ。1997年5月日本料理しまや入社、1999年5月同社入社、ランチサービス事業部ぐるめし本舗新潟店長、ランチサービス事業部新潟店長、取締役兼社長室長、取締役兼営業本部副本部長、代表取締役副社長を経て、2015年6月同社代表取締役社長(現任)。



同社は2024年度を最終年度とする中期経営計画で、店舗展開を拡大させていく一方、「オーシャンDX」と呼ばれるネットスーパー事業を推進していく計画だ。1963年開業の食品販売店祖業今期売上高は732億円見込む同社グループは「ヨシケイ」「業務スーパー」のメガフランチャイジーとしての顔だけでなく、「フレッシュランチ39」FC本部としての顔も持つ。FCビジネスの二刀流経営のほか、「チャレンジャー」直営店運営が事業の柱となっている。




同社の2021年3月期の売上高は669億円、営業利益は15億円。2022年3月期は、同737億2000万円、同13億7000万円を見込む。事業セグメントは大きく分けて5つ。売上比率が約47%と最も高いのが、「業務スーパー事業」だ。神戸物産(兵庫県加古川市)がフランチャイズ本部となって展開する「業務スーパー」のフランチャイジーに2001年加盟。以来同事業を拡大し、4月1日時点で、同社が直営店と呼ぶ店舗を36店、同社が出店し運営を他者に委託している店舗20店、グループ会社で2017年にM&Aをしたカワサキ(茨城県水戸市)が運営している店舗18店を運営している。また、グループ会社ではないものの、その他に傘下にサブフランチャイズ12社35店があり、同社が関係している「業務スーパー」は100店舗以上になる。


次いで、約34%を占めるのは、「スーパーマーケット事業」で、食品スーパー「チャレンジャー」を、直営店として新潟県内で10店舗運営する。同店舗内には全店に業務スーパーコーナーが設けられており、幅広い商品バリエーションが強みだ。「業務スーパー」単独店と「チャレンジャー」は小売りとして事業領域が重なるが、樋口勝人社長は、「『業務スーパー』が建物で150坪、土地込みで500坪程度なのに対し、『チャレンジャー』は建物900坪、敷地を含めると3500坪前後の大型店舗で、商品構成や顧客の棲み分けができています」という。


セグメント売上で3番目に当たるのが、「弁当給食事業」だ。事業内容は、「フレッシュランチ39」ブランドでの、企業宅配弁当の製造販売や、同ブランドのFC展開など。同事業は、直営店で7店店舗、100%子会社のフーディーの直営店1店。その他に、「フレッシュランチ39」ブランドではない産業弁当店が1店あり、店舗ではないものの「フレッシュランチ39」のフランチャイズ本部を、100%子会社のサンキューオールジャパンが運営している。


他に、「食材宅配事業」として、1970年代から展開している「ヨシケイ」ブランドの夕食材料等の宅配を行っている。同ブランドでは、3支社で17営業所、2出張所で店舗拠点としては19店。その他に他社経営の代理店として3店舗となる。また割烹旅館やレストラン運営も行っている。



現社長の親族が業容拡大

2008年に上場果たす



同社は、樋口社長の祖父が開業した食品販売店を皮切りに、父親で現会長の勤氏と、叔父達が精肉販売、弁当販売、ヨシケイFC、ディスカウントストアFC、旅館などと業域を拡大してきた。「ヨシケイ」は1978年に加盟、同年に現在の宅配事業部となるヨシケイ新潟を設立。1991年には、直営店として「チャレンジャー」を新潟県燕三条店として1号店を開業、スーパーマーケット事業に進出した。


「弁当」「宅配」「小売」と業態ごとに会社を設立し、事業を拡大してきたが、1998年に三兄弟それぞれの会社6社を合併させ、オーシャンシステムを設立。2001年には「業務スーパー」のFCに加盟し、現在の事業構成となった。2002年にはエリアライセンス契約を締結、出店エリアを東日本や九州に拡大させた。そして2008年には当時のジャスダックに上場を果たした。4月からは東証再編に伴いスタンダード市場に移行した。樋口勝人社長は、1999年に同社に入社。2015年に社長に就任した。



当日注文・当日配送が武器

毎日5万人に弁当を配達



セグメント別売上高のボリュームでは、同社のメイン事業は、「業務スーパー」と「チャレンジャー」合わせて約80%を占めるスーパーマーケット運営だが、実はビジネスの根幹に置いているのは「弁当給食事業」だという。

「当社は1963年にスタートさせた『ひぐち食品』が祖業に当たります。元々がデリバリーからのスタートで、『フレッシュランチ39』と名前を変え、注文を受けてから2時間半後にオフィスに届けるシステムを確立しました。当日注文・当日配送のビジネスモデルというのは、他ではあまりやっていない分野でしょう。当社は様々な事業を展開していますが、弁当配達のビジネスモデルが、我々の本来の強みと考えています」(樋口勝人社長)


「フレッシュランチ39」を運営する子会社のサンキューオールジャパン社は、1980年代後半に勤現会長が、仙台、東京、長野のオーナー4人で立ち上げた会社だ。同ブランドの名を冠した店舗は、群馬に出店した1号店を皮切りにネットワークを拡大。2000年に同社の100%子会社となり、FC本部として全国で約90店舗を運営するまでに成長した。現在ではブランド全体で年商家業を進化させ新事業領域に進出「ネットスーパー」ビジネスを開始400億円規模となり、1日あたり万食を提供しているという。


「『フレッシュランチ39』の事業で、当社では73億円を売り上げており、企業数で8000社、個人で5万人に毎日弁当を届けています」(同氏)デリバリーで築いた顧客情報基にスマホアプリで商品を自宅へ同社は、地元新潟を拠点に全国へと拡大してきた。祖父が起業した事業を父親と叔父で成長させ、上場企業となった。樋口社長はこれまで培ってきたノウハウや事業マインドを引き継ぎつつ、更なる成長戦略を描くことを期待されている。


「オーシャンDX」の普及に注力




樋口社長は就任以来、既存の事業拡大とともに、新たな事業領域進出を模索してきた。一つの解として導いたのが、「フレッシュランチ39」のデリバリーで培った強みを活かすべく、2021年秋から始めた「オーシャンDX」だ。同システムは、独自のスマホアプリから注文を受けた商品を、自社ドライバーがオフィスや家庭の玄関先まで配達する仕組みで、いわゆるネットスーパー事業になる。ユーザーは同社が展開する各ブランド店舗の商品群の中から、弁当、食料品から日用品に至るまで、様々な品を注文することが可能だ。現在の商品登録数は、約4000点だが、店舗の商品数は「業務スーパー」が約3000点、「チャレンジャー」が約1万3000点ある。将来的には全商品を登録して、同社が取り扱っている商品を、いつでもどこにでも自宅に届けていけるようにしていきたいという。


「オーシャンDXは、お客様の『困った』をなくそう、というところからスタートしました。私たちの強みは、ラストワンマイル、つまりお客様の玄関先まで届けられる体制を整っていることだと自負しています。もちろんネット上だけでなく、当社が開発した冷凍弁当や、無人コンビニなどを実際にオフィスなどに置いてもらって、リアルな商品を見てリアルに買うことができる場も設けています」(樋口社長)。


同サービスは、新潟県内からスタート。アナログなやり取りが普通だった弁当販売で、徹底したデジタル化を推進している。同社の強みは、「ヨシケイ」の3万世帯と「フレッシュランチ39」で毎日配達する5万人を含む、約10万人のデータベースを持っていること。このデータを基に拡充を図っている。「オーシャンDXでは『フレッシュランチ39』の加盟店にも参加を募り、これまでのところ、静岡、福井、宮城での契約が決まっています」(樋口社長)。「チャレンジャー」や「業務スーパー」の顧客もアプリ会員にし、データベース化することで、同社の経済圏を構築することが、当面の目標となる。



ものづくりの街・三条を拠点に

地元中小企業経営者とも連携



「オーシャンDX」を推進していくに当たり、同社では、あえて地域との繋がりを活かしながら多くの仕組を自社開発で構築した。地元のリソースを使うことによって、コストを低減させるとともに、地域の活性化にも寄与しようとする考えからだ。例えば支払いで利用する電子マネー「オーシャンpay」は、2014年時点で既に樋口社長が地銀とタッグを組んで開発していたという。


キャッシュレスが2018年頃から世の中に急速に浸透したことを踏まえ、決済システムとして導入に踏み切った。「クレジット払いでは売上の2〜3%をカード会社に支払う必要がありますが、自社payではそれがかからないため、買い物金額から2%を即時でお客様に還元しています」(樋口社長)。また、物流システムの構築では、蓄冷材や輸送ケースなどを、地元三条の中小企業と組んで独自開発した。「アイスクリームを気温38度で18時間置いても溶けない、という優れものです」(樋口社長)。


2021年10月からは、コロナで打撃を受けた地元の外食産業などの活性化を目的に、ネット通販事業「オーシャン商店街」も始めている。「今後は、当社のノウハウを、全国の各加盟店さんに販売していきます。オフィスコンビニの設置やオーシャン商店街の展開、冷凍弁当の販売では、売上というよりもロイヤリティをいただく方向に舵を切っていきたいと考えています」(樋口社長)。


同社は、創業から約60年の間に、弁当給食事業からフランチャイズ事業、直営事業、フランチャイズ本部事業と家業を進化させてきた。樋口社長はこれまで築いてきたノウハウやリソースを生かしつつ、新たな事業領域を開拓しようとしている。

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